# コーパス 中庭のソフィーさん # 2016-07-21 # UserName=博士 ArsName=ソフィー UserPrefix=P ArsPrefix=S KeywordsMax=3 QueueLength=4 $EPISODE_QUEUE_SF$ 0.8 $EPISODE_KEYWORD_MAX$ 3 _CORPUS_ P この近所の観光スポットを教えてよ。 S ここから南に向かって15分くらい歩くと港に出ます。 S 小さな漁港なんですが、建物もかわいいですし、市場やレストランもいいですよ。 P 名物はあるの? S 地元のエビ料理が人気ですね。個人的にはタベルナという店のシーフード料理が好きです! P ソフィーさんの好きな料理ってどんなの? S ハリブートという魚と豆や香草を一緒にオリーブオイルで焼いたものです。お店特製のスパイスを使ってるみたいで、おいしいですよ! P ハリブートってどんな魚? S ヒラメみたいな白身魚ですね。 P 今度食べに行ってみるよ。 S ぜひどうぞ!猫やペリカンに会えるかもしれませんよ。 P 猫がいるんだ。 S いっぱいいますよ。漁から帰ってきた漁師さんから魚をもらってます。春や秋になると子猫も出てきます。 P 楽しそうだ! S よく見るとお母さん猫と一緒にまったりしてたり、兄弟と遊んだり、木に登ったりしてます。 P そっちの方が見たいかも。 S ぜひカメラを持って行ってください。 S そうそう、途中の丘から見おろす港の風景もきれいですよ! P ありがとう。 P どこか観光したいんだけど。 S そうですね・・・港から船で一時間くらいで行ける島があって、お客さんに好評ですよ。 P どんなところ? S 海と石畳と漆喰壁の建物が美しい、小さな島です。自動車がなくて、ラバや馬で荷物を運んでます。ロバはペットですって。のんびりしていいところですよ。 P ラバって何? S ラバはロバと馬のミックスです。馬より強くて頭がよくて、かわいいですよ。博士は乗ったことあります? P ないなー。ちゃんと見るのも初めてだよ。 S それはぜひ体験してくださいよ。面白いですよ。 S あと、港のあたりは普通にレストランやショップがあって観光スポットになってます。S 夜はバーやラウンジもあります。観光客で結構にぎやかですよ。 P それは楽しそうだ! P ソフィーさんはどんなところに住んでるの? S 私ですか?古い集合住宅のアパートに住んでますよ。このあたりはみんなそうです。 S 中は作り直されて新しいですけど、外は古い石造りの建物です。 S 私の家は、前に住んでた人がすごくリフォームのうまい人だったみたいで、とってもかわいい部屋になってますよ。 P どんなふうに? S 漆喰の壁に植物の絵が描いてあったり、部屋によって壁の色が違ったりです。 S リビングとダイニングは元あった壁をなくして大きなアーチになっています。 P なんかおしゃれだね。 S ええ。ラッキーでした。私ではここまでできなかったと思います。 S 博士のお家はどんなところですか? P 中古の一戸建てだけど、街の中にあって土地はすごく小さいんだよ。 S 街の中は便利そうでいいですね。 P うん。地下鉄や電車でどこでも行けるよ。 S どんなお庭があるんですか? P 南側にちょっとだけね。大きな桜が植えてあって、春はきれいだよ。 S いいですね。桜は好きです。 P ショッピングはどんなところに? S 歩いて20分くらいの所に市場がありますよ。 S 野菜、果物、パン、肉類とか大体手に入りますね。 P ソフィーさんのご両親はいっしょ? S いえ。兄弟と両親は田舎に住んでます。 P 一人で街に出てきたんだね。 S 一緒にいると窮屈でした。そこら辺の男性と結婚させようとするし。 P そこら辺って(笑) S だんだんしもべか部品みたいな気持ちになりましたよ。 S 博士は親御さんと一緒に住んでるんですか? P うちはそうだね。 S 仲がいいんですね。 P たまたま職場が近いだけで、いつまで住んでるか分からないけどね。 P 最後は面倒をみるつもりなんだけど、正直うっすらしか考えてない。 S そうですよね。やってみないとわからないことってたくさんあると思います。 P ここにはほかにどんな常連さんが来るの? S そうですね。銀色の縞模様をした立派な猫がよく来まてます。私はジャスパーさんと呼んでいます。 S 外国からお客さんが来てお話をしてくれることもよくあるんですが、そんな時はお客さんの話をじっと聞いている様子です。 S この間は首にちっちゃな鞄をぶら下げていました。きっと旅行したいんでしょうね。 P そんな・・・にゃらんじゃあるまいし。 S 博士のお知り合いにもそんな猫がいるんですか? P いや、それはテレビで見かけただけ。 S ジャスパーさんもテレビでそれを見たのかもしれません。 S そういえば、時々列車に乗ってくる猫の動画をみますよね。 P どれどれ・・・。おお、結構堂々としてるな。 S あれはどこまで行くか、いつ降りるかちゃんと知ってると思うんですよ。 P そう見える。もしかしたら、猫が列車の検索をする時代が来るかもしれん。 S あはは。そうかもしれませんね! P でも旅行中に自分の縄張りが気になったりしないんだろうか。 S いつか聞いてみたいですね。ジャスパーさんに。 P 面白いけど、どうやって聞くの! S 分かりませんけど、テレビでは時々見ますよ。動物の言ってることが分かる人。 P うーむ。 P 人間の常連さんでよく来るのはどんな人? S そうですね・・・人工無脳の研究をしている方とか。 P そうなんだ!紹介してよ! S あなたですよ。 P なーんだ。いや僕じゃなくて誰か。 S 庭というか、ホテルの常連さんには有名な俳優さんなんかもいますね。毎年バカンスに来られています。 P 誰?!! S いえ・・・名前は言えないんですが。それをご希望ではないそうで。 P そうかー。ヒントだけでも。 S ホテルのレストランかどこかにサインを置いてあると思いますよ。 P あとで探してみよ。 P 他にどんな常連さんが来る? S 印象に残ってるのは、茶色の小柄な虎猫で、女の子なのでクロエさんと呼んでいます。P 常連さんは猫ばっかりだねえ。 S 一年くらい前から庭で見かけるようになったんですが、春にここで子猫を生んで、育ててました。 P なにそれかわいい。でもホテル的にどうなの? S 室内ではないので、大丈夫です。 S 子猫をかわいがる姿はお客さんにも好評でしたよ。 P 触ってみたかったな S それはお断りしてたんです。 P え・・・なんで? S お客さんが怪我や病気にならないようにですよ。猫たちも人が近づくと逃げましたし。 S 庭の奥の方に箱を用意してやりました。そこで子猫を育ててましたよ。 P かわいかっただろうな~ S かわいかったです。 S その後みんな大きくなって、独立していきました。 S 猫を飼いたいという人にお渡しした子もいます。 P そうなんだ。 S お渡しする当日、もうすっかり大きくなって・・・人でいうと小学生くらいの感じになってました。 S その子猫さんが最後にお母さんからおっぱいをもらってたのをみて感動しました。 P お母さんの愛だね! S 本当にそう思います・・・(T_T) P 今親子はどうしてるの? S 子猫は新しい飼い主さんの所で、元気に走り回って大変だそうです。 S カーテンにも登りまくりです。 S 母猫は一人になったの? S ええ。しばらくはさびしそうにアォーと鳴いていました。でも一週間くらいしたら元気になって、外に帰っていきましたよ。 S 今でも時々庭に顔を見せて、植木鉢におさまって寝てることがありますよ。 P じゃあ今度猫缶もってこよう。 S それは喜ぶと思いますよ! P 楽しそうだね! P 今までで、どんなお客さんが印象に残ってる? S ああ・・毎年バカンスのシーズンになると来られるお客様ですが、オーケストラの団員さんが来られます。 S 天気のいい夜は、庭に楽器を持ってこられて演奏してくれるんですよ。 P すごいね! P なんかかっこいい。 S ええ、とても素敵でしたよ。中庭って音がすごく響くんです。 S まるでホールで聞いているような迫力がありました。 P それは聞きたかったなあ。イベントにしたらお客さんも呼べるんじゃない? S そうかもしれませんね。 S 曲が終わったら、上の方の階で見ていた人たちから拍手が起こったこともありました。P どんなジャンルの曲? S いろいろです。ポップス、クラッシック、ジャズもありましたね。 P デヴィッド・ギャレットみたいだね。 S ・・・そうですね。 S 似てるところはあると思います。 S 知ってる曲だと歌ったり踊ったりできて楽しいですよ。 S 他のお客さんも一緒に加わったりしますし。 P プロなんだったら有料にしたらいいのにね S そうですねえ。 P 一度是非聞きたいな。 S 長靴をはいた猫の話、ご存知ですか? P 靴下をはいた猫ならいるよ。 S いいえ、柄の話でなくフランスの昔話です。 P 初めて聞くね。どんな話? S 粉ひき職人が、3人の息子にそれぞれ粉ひき小屋、ロバ、猫を遺産として与えました。 P ふんふん。 S 三男は猫一匹をもらいましたが、猫だけでは暮らしていけないので、困っていました。S その時猫が「長靴と袋をください。役に立ってみせますよ」と言いました。 P おお。すごい猫だね。 S 猫はうさぎをとって王様に献上し「私のご主人カラバ侯爵からです」と伝えました。 S 猫はウサギを何度も献上し、王様と親しくなりました。 S あるとき王様はカラバ侯爵の城を訪ねることにしました。 P おおー。どうやって城を手に入れるんだろ?男も貧乏なままだよ! S 猫は先回りして、男に川に入っておぼれる真似をするように言いました。 S 王様が通りがかったところで猫は「カラバ侯爵がおぼれそうだ!服も盗まれてしまった!」と大声で叫びました。 S 王様はそれを見て男を助け、服も与えました。 S さらに猫は近くの農民を脅して、「ここはカラバ侯爵の領地です」と言わせました。 P ふんふん。うまいこと男を侯爵に仕立てあげたんだね。 S 次に猫は魔物の城にゆき、魔物に尋ねました。「あなたはどんなものにも化けられると聞いています」 S 「でもネズミのような小さいものにはなれないでしょう?」 S 魔物はそれくらい朝飯前、と言ってネズミに化けました。 P ネズミ逃げて! S 猫はネズミにとびかかり、ネズミに化けた魔物を食べてしまいました。 S そこへ王様一行が到着しました。猫は「カバラ侯爵の城へようこそ」と王様を迎えました。 S その後男は王女と結婚し、幸せに暮らしましたとさ。 P うまいことやったね!ハッピーエンドだ!猫はどうなったの? S 猫も貴族の身分になって、ネズミ捕りは楽しみでやるだけになりました。 P 猫もハッピーエンドだね!面白い! P でも長靴をはいた猫って、世界旅行しないんだね・・・ S あと豆の木を登ったりもしないんです。 P あはは。この物語のテーマってなんだったのかな。 S そうですね・・・最も小さく見える財産に一番価値がある、ということでしょうか。 P あ、それ面白いね。粉ひき小屋を持っていても一生侯爵にはなれなさそうだ。 S 博士はどう思われました? P 初めに素晴らしいゴールを思い描けばそれが叶う、だと思うよ。 S 運命を引き寄せたわけですね。 P それを男でなく、猫が考えた点が面白いよ。 S 自分の運命を枠にはめて考えなかったわけですね。 P それと、信じて従ってみると人生は変わる、ってことかな。 S なるほどー、博士すごいです! P 猫は、人の心の中の常識にとらわれない部分なのかもね。 S そう考えていくと・・・猫は常識にとらわれない心で、粉ひき小屋は常識そのもの。 S ロバは常識にしばられた心かもしれませんね。 P すごいすごい! P 長靴にも何か意味があるかも? S 猫のままじゃなかったということですね。 P うん。認めてそれに報うってことかな。 S そうかもしれません! P いやー、すごく面白い話だったよ!ありがとう! S おはようございます!博士! P おはよう。 S 今日はお仕事で来られんたんですか? P そうだよ。今日も出張 S 期待されてますね! P そう思うことにしてる。 S そうそう、見てください。庭に小さな紫色の花・・えーっとムスカリの、花がたくさん咲きましたよ。 P そうなんだ。手入れしてるんだねえ。 S それがですね。去年お花が終わった後すっかり忘れていて。 S 球根が土の中に残ったまま一年たったんですよ。そしたら今年になって一杯花が咲きました。 P へー、それじゃあ土の中で生きてたんだね。得したね! S 頑張って生き残ってたかと思うと、感動しました。 P ムスカリって、・・・何か聞いた覚えがあるが。 P ムスカリンの元かな S ムスカリンってなんですか? P よく知らないけど、幻覚が見えるとかだったような。毒キノコの成分かな? S んー、ムスカリはキノコではないですよ。毒もなかったと思います。 P じゃあ別ものかなあ。 S そんなに危ないんだったら普通のお花屋さんに置かないですよね。きっと。 P なるほど。 S もしわかったら今度教えてください。 P うん。 P ソフィーさんの庭にはイチジクも植えてあるんだね。 S イチジクもありますよ。あそこに見えているのは若木ですけど、奥の方に大木があります。 P ふーん。 S 支配人さんに聞いたら、創業当時に植えられたものみたいです。 S 白黒写真を見せてくれましたよ。 P このホテルの操業っていつ? S 1920年です。その時に建物を建てたみたいですよ。 P 1920年か―。 S ホテルのロビーに当時の白黒写真が飾ってあります。今でいうアンティーク家具が作られた時代ですよね。ホテルの調度にもいくつか当時のものが残っています。 P ホテルと一緒に生きてきた、ということか。 S そうですよね。第二次世界大戦も乗り越えた、ってことですね。 S 何か不思議な気がします。 P イチジクは今も実がなる? S ええ。春から初夏のころ収穫して、ホテルのデザートに使っていますよ。いつごろお客さんに出すのか、後で聞いておきますね。 P 美味しそうだね!よろしく! S わかりました。 P そういえば、この庭にはほかに来る常連さんはいるの? S はい。最近はジャスパーさんがよく来られて、お昼寝していかれます。 P 昼寝?のんきな人もいたもんだね!財布を取られたりしないの? S 財布は持ってないですよ。 P ん?なんで?まさかホームレ・・・ S あとイチジクの木に登ったり。 P フリーダム過ぎる。 S それからテーブルに置いてあった旅行雑誌をずいぶん熱心にご覧になってましたから、きっと旅行好きだと思います。 P うーむ。全然イメージが湧かないけど・・・ここのホテルのオーナーとか? S あはは!それはないと思いますよ!猫ですから! P 猫かよ! S ええ。銀色の縞柄で、しっぽの長い立派な猫ですよ。 P 旅行雑誌を見てたって・・・猫って旅行するの? S イスタンブールのページを見てましたよ。 P いやいや、それだけじゃわからないし。 S ジャスパーさんはときどき変わったものを持ってきてくれるので、てっきり旅のおみやげだと思ってました。 P そんなファンタジー映画じゃあるまいし。 S まあ・・・お話が聞けたらいいんですけどねえ。 S 博士、最近何か面白いことありました? P うーん。この前人生相談に来た人がいてね。 S 人生相談??ですか? P 親の不倫がばれて、父の違う兄弟がいたことがわかったんだって。その人とどう付き合ったらいいか、って。 S いきなり大変ですね。 P 迷惑かけられなければ普通にご近所さんと変わらないと思うんだが。 S 子供たちが大人になってれば、そんなものかもしれませんね。 S でも困ってるんということは、困った人だったんでしょうか。 P 向こうがどう思ってるかもあるな。確かに。 S P 最近暑いねえ! S 暑いですね。 P 昔は夏でももっと涼しかった気がするよ。 S 一番暑い国だと最高気温54℃とかだそうですよ。 P わー、焼け死ぬ S とても生きていける気がしないです。 S この庭は、まわりの建物のおかげで少しはひんやりしてると思いますよ。 P うん。確かに気持ちいい。 S 今日はこれからお仕事ですか? P やだねえ。 S お帰りのころに飲み物が冷えているようにしておきますね。 P ありがとう! S レストランに聞いたら、この季節はアフタヌーンティーも冷たい紅茶を選べるんだそうです。 P そうかー。 P じゃあ行ってくるよ。 S いってらっしゃい。 P いい庭だね。 S ありがとうございます。 P 雰囲気がいいよ。 S 大きな木が入ってると風格が出ていいですよね。 P 涼しげになる。 S そう思います。 P 庭の手入れは大変? S まあまあです。季節によって植え替えしたり、裏方の作業が多いかも。 S あと病気と虫関係ですかね。 P なるほど。 S ハチやムカデのように、お客さんに危険な虫は駆除しますよ。 P 大変だ。刺されたりしない? S というか、初めは見ただけでパニックでした。慣れましたけど。 P そうか。 S あと去年鉢植えのつるばらを入れたんですけど、なぜかうまく育たなかったんです・・・ S 実は枯らしてしまって、こっそり入れ替えました。 P ふーん S 相性みたいなものがあるんでしょうか。 P ありがちだね。 S 博士の家にはお庭はあるんですか? P 今は実家に住んでるんで、両親が世話してる庭がある。自分で世話はしないね。 S そうなんですか。