PET

それはいつもと変わらない日常…のはずだった。

子供の頃からのライバル、リボーンに今日も勝負を挑みあっけなく完敗。
己の力量のなさに自己嫌悪を感じていたら、リボーンが珍しく俺に話しかけてきたのだ。

いつもなら俺の存在なんて無視して居なくなるくせに何で今日は…。



「…まったく、俺は格下は相手にしないって何度言わせれば分かるんだ?そんなに俺に相手してもらいてぇのか?」

人を馬鹿にしたように(…実際馬鹿にしてるんだろうけど)鼻で笑いながらリボーンが言った。

「俺に相手してもらいてぇなら強くなれ…って言ってもそんなの一生かかっても無理そうだけどな」
「…っそ、そんな事ない!!」

確かに今は悔しいけど、リボーンにはまだ勝てないかもしれない。
でもそれは今の話し。これから一生懸命、頑張って、努力すればリボーンにだって勝てるはずだ!

俺はぎりっとリボーンを睨み付ける。

するとリボーンは、口の端だけで笑うと俺の胸倉をぐいっと掴み、顔を近づけてきた。

「相変わらず、度胸だけはあるよな…お前」
「…………」
「まぁ、怖いもの知らずの馬鹿ってだけなんだろうけどな…」
「…………っ!!」

また馬鹿って言いやがった!!
やっぱりこいつは俺の事、馬鹿だと思ってるんだ!
と、年下の癖して〜〜〜

「ん?何か文句がありそうだな」
「べ…別に」

ぎらっとリボーンの目つきと一緒に声のトーンが下がる。
たったそれだけなのに、文句を言えなくなってしまう小心者な俺…

「まぁ、良い…今は話しを戻そう」

その言葉に俺は、大きなため息をつき体の緊張を解く。

「お前、俺に相手してもらいてぇんだろ?」
「…あ、ああ」
「ならすぐにそれが叶う方法、教えてやろうか?」
「え?」

そう言いながら、リボーンの顔がゆっくりと近づいてくる。
ゆっくり、ゆっくり…吐息が顔にかかるくらいまで…





「俺のペットになりゃ、相手してやるぜ?」





頭の片隅でチカチカと危険信号が点滅していた。
そんな馬鹿げた方法のめるはずがない!!
今すぐこの場から去らなきゃ!!

でも、俺の体はピクリとも動かなかった。
まるで蛇に睨まれた蛙のように


「なぁ、ランボどうする?俺は優しいからな…めちゃくちゃ可愛がってやる」


かすれた声、熱い眼差し…

リボーンは不思議な力でももっているのかな?

駄目だと分かっているのに、抗えない。


気づいたら俺はゆっくりと首を縦に振っていた。


「よし…良い子だ」



今まで見た事がない、リボーンの笑み。
そして生まれて初めて交わす、キスの感触…

それを最後に俺の意識が途絶えた。





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