ちょこれいと
ぽーん…ぱす。
ぽーん…ぱす。
綺麗な放物線を描くように阿含は持っていた箱を投げながら寮の廊下を歩いていた。
(…どうしたもんかねぇ)
阿含が持っている箱の中身はチョコレート。
でも、ただのチョコレートではない。媚薬入りだ。
たまにつるんで遊ぶ悪友に貰ったらしい。
そんな物に頼らなくても相手をめろめろに出来る自信は十二分にあるが、これを使ったら雲水はどんな乱れ方をするのか…非常に興味がある。
阿含と違い堅物の雲水はsexに対して免疫がほとんどない。
恥ずかしいのは分かるが、いつも拷問を受け耐えているような表情をされるとさすがの阿含でも傷つく…。
(折角貰ったんだから…捨てるのも勿体無いよな)
なんて言い訳をさっきから心の中で呟き納得した阿含はちょうど辿り着いた自分と雲水が使用している部屋のドアを開けた。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「おかえり、阿含」
部屋の中に入ると、雲水はベットに寝転がりながら雑誌を読んでいた。
「お前がこんなに早く帰って来るなんて珍しいじゃないか…もしかして、明日は雨か?」
「うるせぇ」
いつもならそんな憎まれ口を叩かれたら何倍返しにも出来るのに今日はこのチョコレートをどうやって雲水に食べさせるかというミッションで頭の中がいっぱいだったため素っ気無い返事になってしまう。
そんな阿含の様子に雲水はおかしいと小首をかしげるが、まぁたまにはそんな日もあるだろう。とすぐに頭を切り替える。
「それ、何なんだ?」
雲水が阿含が持っているものに興味をしめす。
あまりにもナイスな展開!
阿含は心の中で大きくガッツポーズを取った。
「…知り合いに貰ったチョコレート」
ドキドキしているのを悟られないように冷静に冷静にと思いながら阿含が答える。
「へー…お前がプレゼント受け取るなんて珍しいな。普段は中に何が入ってるかわかんなくて怖いとか言って絶対に貰わないくせに」
「う…うん、まぁ。たまにはいいかな〜なんて…なんか珍しいチョコみたいだからちょっと興味があってな」
痛い所を突いてくる雲水に焦りながら答える。
「雲水も食べてみねぇか?こんなチョコ滅多に食えねぇしよ」
箱の中からチョコを取り出し雲水に渡す。
「そんなに珍しいのか?…じゃぁ、貰おうかな」
何の疑いも無くチョコを食べる雲水に砂粒ほどの良心が少し痛んだが、それ以上にこれからどんな反応が返ってくるかという期待に胸を躍らせ阿含はこくりと小さく喉を鳴らした。
次へ続く…
次はE・R・O(希望)
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