お出かけ日和

 久々に何の予定も入ってない日曜日。
天気もよく最高のお出かけ日よりなのにただ部屋でぼーとしてるのも勿体無くて阿含は雲水でも誘ってどこかへと出かけようと雲水の部屋へと向かった。
 練習大好きなお兄ちゃんはどうせ今日もどこかへ出かけずに筋トレでもしてるに違いない。そう思っていたのに…

「今日は予定があるから駄目だ」

 一緒に出かけようと誘ったら即答でそんな答えが返ってきた。
確かによく見るとやっぱり地味目ではあるがいつもよりも着飾っているように見える。
 まさか女か?
 内心の動揺を隠しつつ阿含は誰と出かけるのかと雲水へ詰め寄った。

「何勘違いしてるか知らんが、出かける相手は一休だ。大分前から一緒にスポーツ店に付き合うって約束しててな」

 にっこりと嬉しそうに今日の予定を語る雲水。

「悪いけど今日は無理だから…お前と出かけるのはまた今度な」

 阿含の頭をぽんと軽く叩いて部屋から出て行こうとする雲水を阿含は背後から抱きしめ腕の中に拘束する。

「こら。阿含!約束の時間に遅れるじゃないか」

 首を捻りながら阿含を睨みつける雲水。

「一休と会うのは許せねぇ」
「我侭も大概にしろよ!」
「うるせえ!」

 阿含は叫ぶと、雲水の口を口付けで封じた。

 いきなりの口付けで思考が停止したのか、雲水がおとなしくなったのを好い事に阿含はやりたい放題。
初めは軽く触れるだけの口付けだったのが徐々に色を変えていき今はまるで欲望を引きずり出すような濃厚なものへ…。
 阿含と違い、恋愛に奥手な雲水は頬を赤く染め阿含の服を強く握り締めながらただ早くこの口付けが終わるのを祈るのみ。

「ん…あ…ご…んん…」

 口付けの合間に零れる吐息にまた刺激され更に口付けが深くなる。
 歯並びを確かめるようにゆっくりと舌でなぞられ、頬の裏、上あごと下あごをねっとりと舐めあげると最後に奥へと引っ込んでる雲水の舌を柔く甘噛みする。

「も…や…だ…」

 鼻で息をすればもっと楽しめるのに…。
 経験値の浅い雲水はまだそんな余裕はないようで目尻に涙を溜めながら激しく背中を叩いてくるので名残惜しいが今回はここでおしまいだ。

 ぴしゃりと恥ずかしい音と共に口付けから開放されると雲水はその場にへなへなとしゃがみ込んでしまった。

「…………」

 阿含はその様子を満足げに眺め携帯を取り出し一休へとダイヤルする。

『もしもし?』

 数コールの後に元気な声で一休が電話に出る。

「もしもし、俺。阿含だけど」
『阿含さん?どうしたんスか?』
「お前さー、今日雲水と出かける約束してたんだって〜?」
『っえ?あ…はぁ…い、一応」
「でもさ、残念な事に今日雲水は出かけられなくなっちゃったんだよ。理由は…わかるよな?」
『へ?』
「俺の許可無く二人っきりで雲水と出かけようなんて百年はえ〜んだよ」

 阿含は言うと一方的に電話を切る。

「それにこんな状態、一休や他の連中に見せられねぇしな」

 快楽で上気した頬。
 微かに乱れる吐息。
 涙で濡れた瞳。
 そして少し角度を上げた………。

「お前は本当に勝手な男だ」

 唇を噛締めながら悔しそうに睨みつける雲水とは対照的に阿含は飛び切りの笑顔を浮かべる。

「そう言ってても、俺の事嫌いになれねぇんだろ?」

 唇が触れそうなくらい顔を近づけて阿含が言うと雲水は更に悔しそうに顔を歪め「くそ」と小さく呟いた。





嫉妬する阿含が大好きです。




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