柊家の野望〜革新〜
最終話 勇気と誇りを胸に
―――1583年 観音寺城。
「いよいよ大詰めだね」
「長かったなぁ」
「まだ油断するのは早いぞ。親父殿の事だ、様々な策を弄してくるに違いない」
「申し上げます!」
「ん?」
「堺港が陥落致しました!」
「ちっ、親父めー」
「うむむ、一進一退だのう」
「埒があかんのう」
「そうだね……って、親父!?」
「よう、愚息」
「な、何しに来やがった!?」
「何しに、とは冷たいなあ。父さん悲しいぞ」
「心にも無い事言うな!」
「まあ、そう言うな。今日は提案を持ってきた」
「提案?」
「ホレ、そこの堺港だが」
「我が軍の殆どを集結させた」
「うわ、まだこんなに居るのかよ」
「ここいらで、天下分け目の合戦といこうではないか」
「天下分け目の合戦か……」
「なんだピーナッツ、臆したか? 情けないのう」
「んだと! その挑戦受けた!」
「……単細胞め」
「いい度胸だ、待っておるぞ。はーっはっは!」
「くっそー、親父のヤツ! ギャフンと言わせてやるぜ」
「正面からぶつかるのは面白くないわね」
「そうだねー。兵士は私達の方が多いんだから、二面作戦を取るのもいいんじゃないかな?」
「二面作戦?」
「今、ウチの主力はこの筒井城に集結してるわけだけど」
「この熊野港にも、そこそこの戦力が駐留してるから、ここからも出陣して挟撃するのがいいんじゃないかな」
「なるほど、海と陸から攻め込むわけか」
「そういう事」
「んじゃ、海に強い沖縄組に熊野港に行ってもらって……」
「ワタシ、がんばるわね、空也ちゃん」
「クーくん、がんばるよ、私」
「まかせとけ! なあ、イエヤス」
「うむ、我が友よ」←洗脳された。
「よーし! 決戦だ!」
―――堺港。
「怖気ずに、よく来たなピーナッツ! とりあえず褒めてやろう」
「うるへー! 叩きのめしてやる!」
「これでも喰ら……」
「効かぬわ!」
「く、くっそー!」
「これでも喰らえ! 千成衾!」
「だぁっ!」
「はっはっは、弱い! 弱いぞピーナッツ!」
「それ! 車懸り!」
「アッチョンブリケーー!」
「ねぇねぇ!」
「空也をいじめるのは、許さないよ!」
「ぬぅ、やるな瀬芦里!」
「親父殿、覚悟!」
「ここをお父様の天目山にして差し上げますよ」
「それ! 大砲、撃て撃て!」
「チィッ! 海からも来やがったか!」
「おりゃぁ! 撃て撃てー!」
「調子に乗るな!」
「きゃぁっ!」
「おあーっ!?」
「おお、来たか誠!」
「こちらも大砲を開発したぞ。甘く見るなよ!」
「しっかりせい、我が友よ!」
「おお、イエヤス!」
「長よ、お主の力はこんなものではないはずだ!」
「イエヤス……なんかお前、カッコいいな」
「なに、貴様こそ漢の中の漢よ……あの夜に語り合った日を余は忘れはしまい」
「きゃーきゃー! 歩笑ちゃん、たーすーけーてー」
「慌てないで姉さん。大丈夫、威力はこっちの方が上……撃て」
「な、なかなかやるっ!」
「よし! 勝てる! 勝てるぞー!」
「い、いかん!?」
「堺港獲ったどーーーーーー!」
「くーっ! ピーナッツのくせにー!」
「へへんだ。とっとと退散しやがれー」
「無念じゃー!」
「よーし! こっから一気に攻めるぞ!」
そして始まるは、空也の総攻撃。
戦力の殆どを失った翔は、その前に為す術もなかったのであります。
ベベベン(三味線の音)
「おりゃー! 岡山城獲ったどーーー!」
「ピーナッツめー!」
「わーい、征夷大将軍になったよ」
「すごいねー」
「えっへん」
「イカのくせに将軍だなんて、生意気っ!」
「うわああん、蹴るなよう、姉貴」
「ぜーはーぜーはー」
「ようやく追い詰めたね」
「親父のヤツ、ゴキブリ並にしぶとい」
「さあ、最後の戦いだね」
「よーし、親父のヤツ、キッタギッタのメッタメッタにしてやる」
「待ちなさい」
「な、なんですか? お姉様」
「ここは私に任せなさい。降伏勧告してくるわ」
「は、はい」
(要芽姉様の説得なら、あっさり寝返るんだろうなあ、親父の奴……)
「お久しぶりですね、お父様」
「うむ、要芽か」
「もう、勝負は決しました。降伏してください」
「ふふふ……ははは……はーっはっは!」
「クックック」
「!?」
「見くびるなよ要芽!」
「オレ達の返答は、とうに決まっている!!」
「よう、ピーナッツ。降伏したぞ、丁重に扱え」
「ジュネーブ協定は守れよ」
「ホント、分かり易いなあ、アンタら」
「はぁ、ようやく終った……」
「いや、ホント長かったねぇ」
「ホラ、始めに私が言った通りだった」
ごめんなさい、ごめんなさい。
( ´・ω・`)
「ほら、山田! さっさと俺達を元の世界に戻せー」
あれ? 今回はハーレムとか言わないんですか?
「そう何度もお姉ちゃん達にフクロにされてたまるか」
ちぇ、んじゃ戻しますよー。
ロリコン ショタコン シスコン ブラコン
仲間はずれはどーれだー♪
「え? なぞなぞ……? ってわあっ!?」
……や。
「う、ううーん」
……うや、……きて。
「う、ん……まだ眠いよ」
「…………」
「……ん?」
「……んっ?」
「……んんんっ!?」
「息ができんちゅ−ねんっ!?」
「あ、起きた」
「ぜーはーぜーはー、ね、ねえや……貴女のお尻は殺人兵器です」
「空也ちゃんはオオゲサねぇ。冗談よ、冗談」
「お願いです、冗談で可愛い弟を窒息死させないで下さい」
「ようやく戻れたのう……しかし、やはり戦国の世は良いのう。我は満足だ」
「ふぅ、こんな茶番はこれっきりにして欲しいわ」
「けっこー楽しかったよ」
「懐石料理……覚えた」
「もう、こりごり……」
「やっぱ、戦略SLGはいいねぇ」
「やっぱ、筋肉ムキムキの男達に命令するって、いいわー」
「私、クーくんの役に立てた……よね?」
「ほへー。やっぱりこっちの世界はいいですねー」
「要芽様の為なら、地の果てまでも付き従いましょう」
「はぁ、やっと終った……」
「ふむ、息子を相手に戦うというのも良いものだな」
「ああ、悪くない」
「あれ? 団長は?」
「ん? そういえば居ないわね」
「団長だけ沖縄に戻されたのかな……・?」
―――沖縄。
「……んっ」
イエヤス「お、団長、気がついたか!?」
「ん? ここはオレの部屋……戻ってこれたのか」
イエヤス「ビックリしたぜ、一緒にエロゲ批評してたら、いきなり倒れるんだから」
「気を失った? どれくらいだ?」
イエヤス「5分くらいかな。もう少しで救急車呼ぶところだったゼ」
「ご、5分か。半年以上は経ったと思ったんだが……って、イエヤス、お前、顔がないぞ?」
イエヤス「あん? 何言ってんだ? んなの前からだろ?」
「あ? ……そういや、そうだったな」
イエヤス「なんか悪いものでも喰ったんじゃないか? 団長」
「んなわけあるか。いや、なんつーか、少し夢を見てたみたいだ」
イエヤス「夢? 今時、夢オチかよ、ダセーな、団長」
「うるせーよ」
イエヤス「それよりも、話の続きだ。妹、姉ときて次にくる萌えは、やっぱ従姉妹か?」
「いやいや、やっぱ次はママ萌えだろ?」
イエヤス「あれ? 団長、ツマズキーだったっけ?」
「最近な」
イエヤス「そうか。しかしオレの考える次世代萌えは……」
「いや……オレは……だな」
イエヤス「否! これは外せな……で、コレが……」
―――続かない。