ニュージーランドフェレット |
「野生のフェレット」としてよくニュージーランドのフェレットがあげられますが、厳密に言うとニュージーフェレットはフェレットとは別種になります。フェレットは人の手で交配を繰り返して生まれた種で、犬や猫よりも完全な家畜です。母フェレットには子供達に狩りの仕方を教える習慣がありません。わずかに遊びの中に狩りの名残が見えますが、自然の中で生き抜くだけの技術も知恵も十分にはありません。ヨーロッパにいる「野生のフェレット」はケナガイタチと他のイタチとの交配種であり、動物学的にはフェレットとは違う種です。
1882年〜86年、当時イギリス領だったニュージーランドで、約4000匹のフェレットが放逐されました。これは入植者が持ち込んだうさぎが爆発的に増えたのと、農作物を荒らすねずみが多かったため、これらの天敵であるフェレットを放つことで数を抑制しようとする試みでした。この時のフェレットは主にイギリスとヨーロッパから出荷されたそうです。けれど、フェレットそのままでは野生では生き残れないことは知られてました。なのでフェレットとケナガイタチを交配させた混血種が多く使われました。船便で移動する数ヶ月の間、船内で交配させたそうです。ケナガイタチの母親は子供達に狩りの仕方を教えることができますから。この交配種はよりケナガイタチに近い種だそうです。 ケナガイタチとフェレットの違いは。 ・フェレットの方が小さく、骨が華奢。顎も小さいです。 ・フェレットの毛色の方が明るい色が多い。目の回りのマスクは首まで届きません。 ・フェレットの耳の後ろは色が薄いのに対し、ケナガイタチの耳の後ろの毛色は濃い色です。 ・フェレットは同種複数の生活に慣れているけれど、ケナガイタチは単数生活者。 ・ケナガイタチは天性のハンターだけれど、フェレットはハンターではない。うさぎ狩りに使用するフェレットもうさぎを捕まえ殺すことはしません。フェレットの役割は、うさぎの穴に入ってうさぎを追い回し、巣穴の出口で網をかけて待っている主人のために追い出すことです。 ニュージーランドと同時期、オーストラリアでも同じ理由でフェレットの放逐がありました。が、気候の問題やタカやディンゴなどの大型肉食動物がいたため、オーストラリアではフェレットは野生化しませんでした。ニュージーランドの気候が合っていたこと、うさぎよりも簡単に捕まえられる飛べない鳥(キウィーやペンギン)が多くいたこと、天敵の動物がいなかったことで増え、現在100万匹のニュージーランドフェレットがいるとされています。ニュージーフェレットによる生態系の破壊の被害は深刻で、フェレット居留地以外では害獣として駆逐され、また一般家庭での飼育は禁止されています。現在飼っている家庭では去勢手術をした上で、寿命まで飼うことは許されているそうですが、新たにフェレットを購入することはできません。 |
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