エヴァンゲリオン特集


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■TV版の頃

ここからはTV版の頃を当時のアニメ事情や製作事情の点から書いておく。

とあるブログで本作の「犬神家の一族」の字体を引用し、アニメを観ているんじゃない。ミステリーを観ているんだ。と誤魔化した。という文章をみたことがある。それぐらいアニメは今ほど市民権がなかった。
しかしこの作品が人気になるや否や、野に埋もれたアニメファンたちはこれまでの鬱憤を晴らすかのように熱狂した。これがこの作品に人気が出た理由の一つ。

TV版が放送された頃、アニメの潮流は変っていた。ガンダムブームは去り、SFはうる星やつらのラブコメ路線に変更。宮崎駿作品が人気になり始め、金田一少年の事件簿や名探偵コナンが出てきていたはずだ。SFは過去のものとなり、ファンタジー路線やミステリー路線が人気を博していた。

そんな中、本作は放送された。本格SFを目指した筈だが、なんとか人気を得ようとラブコメ要素と謎解き要素満載になっている。ロボットアニメ自体がオワコンになっているのだから、今思うと放送開始時からすでに本作はオワコンだったと言えなくもない。

監督は庵野秀明。オネアミスの翼のスタッフだ。オネアミスの翼は、日本最高峰のアニメクリエーターによるアニメ。という宣伝文句につられ、映画館に観に行った。ロケット発射シーンは凄かったが、地味だった。今思うと結構いい映画だったように思う。それには四半世紀以上必要なわけだが。

その後トップをねらえを観るがいい印象がない。ラストは映像だらけで難解。一見さんお断り。お得意様だけにみせるような作品だった。まぁ無理もない。OVA作品であるから一般受けを狙う必要はないのだ。

後年ウィキペディアを読む。オネアミスの翼が興行的に不発だったため、ロボットと美少女を出したら人気が出たらしい。

これで庵野監督の方向性は決まってしまった。本当に作りたかったものはオネアミスに違いない。しかしそれでは飯が食えないので、アニメファンに媚びる作品を作るようになる。パクリ上等。ラブコメ路線にお色気シーン。サービス。サービスだ。

トップをねらえの人気からかナディアを監督。
前半は普通に冒険活劇。後半はパクリオンパレード。アダムもここから登場。

その後に本作。ナディアはNHKということもあってCMもなく清く正しく放送規制一杯の作品。

その反動なのだろう。エヴァはCMを効果的に使い、CM前では思わせぶりオンパレード。
わざわざCM直前、あるいは直後(どちらだったか忘れた。)に黒バックの白文字で意味深な英語を挿入。

そして残酷描写テンコ盛り。劇場版になってさらに規制が緩くなったため、TVでは放送できないシーンをこれでもかと盛り込んでくる。

残酷描写で思い出したが、使徒の首を絞める必要はない。コアを狙うべきであって、首を絞めるのは変な描写。しかしそれでは没入感の仕掛けが発動しないので、首を絞める。やれやれ子供だましもいいとこだ。

そんなエヴァも、途中からアニメファンに媚びることを止めた。TV版がビデオレンタルされ人気を博し劇場版が決まったころからだろう。一部には媚びるが突き放すときには突き放す。大人になれシンジ。といった所か。

TV版ではなく旧劇場版の話になってしまうが、アニメファンに強烈な一発を見舞ったために、僕の期待を裏切ったとばかり、否定的な意見も噴出する。味方であったエヴァが敵になる瞬間だ。2項対立構造の作品群ばかり観ていると尚更だ。

一方で大人には砂糖たっぷりの甘い結末ではない、少しほろ苦い、渋さも感じる結末が深い内容だと話題になり、社会現象化していくのであった。


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