宮崎駿監督作品特集
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■独自の演出
宮崎作品には他のアニメ作品にはない独特の演出があります。
実はこれが宮崎作品の人気の秘密でもあり、引いては実写作品がアニメに太刀打ちできない一因の一つでもあるのです。
それを具体的にいくつか挙げてみましょう。
高所での寸止め
「ラピュタ」にはパズーとシータが抱き合って廻っているうちに、崖の近くまで来て落ちそうになるシーンがあります。
また、追っ手の車が崖ギリギリで止まるシーンがあります。
他の作品でも高所で手すりギリギリに立っていたりします。
これは何気ないシーンだけれども観客に緊張感を与える演出です。
場合によっては落下するかもしれません。
落下したら新たな展開になるかもしれませんね。
いずれにせよ観客はスクリーンに釘付けになるのです。
現実ではそんな足場ギリギリの所に立ちませんが、実写映画で同じことをやろうとすると簡単なようで実は大変難しい。
出演者が本当に落下したら大事故ですから安全対策が必要ですし、寸止めになるように止まらないといけないのですから。
確かジャッキー・チェンが「WHO AM I?」で寸止めをやっていたぐらい、実は非常に危険な演出なのです。
主人公の転倒
「トトロ」ではメイが転ぶシーンが出てきます。
また、「風立ちぬ」では二郎が畳の上の設計図に滑って転びます。
他の作品でも登場人物が転んだり転びそうになったりします。
これはストーリー上では転ばなくても一向に問題ないのですが、何気ないシーンに動きをつけるため、ワザと転倒させているのです。
もしかしたら主人公の心理的な焦りの表現なのかもしれません。
宮崎監督の師匠である大塚康生というアニメーターが、
「アニメは動いてナンボ」
という考えの持ち主だったからかも知れません。
動かさなくてもいいものを動かしているのです。
ただし、「トトロ」のメイは違います。
実際、子供はよく転びます。
背を低くするだけではリアリティが出ないので、転んでいるのかもしれません。
「かぐや姫の物語」の高畑勲監督の入れ知恵かもしれませんが、そこは不明です。
ちなみに「かぐや姫の物語」でも幼少期のかぐや姫は転びます。
逆に実写映画では子供は大人顔負けの名演をみせ、転びません。
どちらがいいとは言いがたいのですが、よく転ぶ子供というのは宮崎作品独特の演出だと思います。
空を飛ぶ
「トトロ」では少年が模型飛行機を作っているシーンが出てきます。
このシーンを観た時、宮崎監督は
「空飛ぶの大好きじゃん」
と思ったものです。
他の作品にも空飛ぶシーンが数多く登場します。
アニメをセル画で作成する場合、セル画を右から左へ動かすだけで空を飛んだような映像が簡単に作成できました。
ところが宮崎作品は違います。
飛行機を下から映して上昇させてみたり、眼下の風景がどんどん小さくなったりします。
わざわざ手間のかかるアングルのカット割を入れているのです。
一方で「魔女宅」の配達中のキキはセル画の手法そのままだったりしますが。
実写映画では空を飛ぶのは大変です。
CGを駆使しないと同じようなシーンは無理でしょう。
アニメ作品の本領発揮といった所でしょうか。
ハリウッド映画には空飛ぶ作品が数多くあります。
「スーパーマン」「スパイダーマン」「アイアンマン」など。
宮崎作品が公開された頃は「ハリーポッター」でした。
どれも大ヒットしているので、空を飛ぶ映画を作ってヒットさせたいと思っていたのかもしれません。
単純に宮崎監督が空飛ぶのが好きという理由だけかもしれませんが。
この他にも探せば色々と見つかりそうですが、すでに色んな人がブログなどで書いているので、私が気付いたものだけに絞りました。