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「笠原、教官の犬になります!」 確かに言った。言いはしたけれども。 だからって、こんな――――。 郁は左手で着こんだコートの胸元を、右手で裾の合わせを押さえながら小さく身体を震わせていた。 コートの裾の下からはスラリとした自慢の足が生えている。そして、首にはリードの付いた赤い皮のベルトが嵌められている。リードを握るのは、当然「飼い主」である堂上だ。 「きょう、かん……」 普段は真っ直ぐに伸びている背をやや丸めた郁が消え入るような声で堂上を呼ぶ。 「ね…も…やめましょ、こんなっ…」 「何言ってんだ。まだ全然散歩をしてないじゃないか。 公園で、散歩。好きだろ?」 「ちがっ!こんなっ!」 「我侭なペットには、躾が必要だよな」 「やっ!やだっ、きょうかんっ!それっ・・・!」 取り出されたリモコンに、郁は慌てて手を伸ばすも、それよりも先に無情なスイッチが入る。 「ひっ…ぃあっ、あああああああっ!!」 ガクン!と腰が崩れ落ち、膝が折れ、郁は地面に手を付いて涎を零して喘ぐ。 コートの下からは、ヴヴヴというくぐもった音が響く。 「ぁっ、うっうううあっ、あああっ、んひっ、ひっ・・・」 「なんかおかしいと思ったんだ。そうだな、犬は二足歩行なんてしないよな」 あうあうと涙や鼻水、涎を垂らして、地に伏して痙攣を繰り返して喘ぐ郁の前に堂上はしゃがみ込み、顎を持ち上げドロドロになった顔に笑う。 「なあ、郁。お前は俺の“犬”なんだろ。だったら、犬は犬らしい格好をしないとな」 そう言うと、堂上は乱暴に郁の着ていたコートを剥ぎ取る。 公園の薄ぼんやりとした外灯の中で、白い裸体が浮かび上がる。 真っ裸、というわけではない。郁の股間部にはベルトが付けられ、前部は僅かに盛り上がっている。中に極太のバイブを差し込まれ、固定されているのだ。そして、尻の向こうにはふさふさとした尻尾が揺れている。 「やぁあああっあっぁあああっ!!」 郁は泣きながら、胸や恥部を隠すように腕を回す。けれど、堂上はそれを許さないと言うように、グイっとリードを強く引く。あうぅと苦しそうな息が郁の口から洩れ、首筋が仰け反る。 「犬は人のコートなんて着ない。そうだろ」 「だっ、だれか、みられ、ひんっ、みら、みられたら、ぃぅっ・・・!やあああっ!」 「犬は人の言葉なんて、喋らない。 俺の犬になる。 そう言ったのはお前だろうが。だったらちゃんとやれ」 「ひぃぃん!」 バシーンと臀部を叩かれ、郁の身体が大きく跳ねる。バシンバシンと堂上の手が持ち上がった尻に打ち付けられる度に、郁はビクビクとした痙攣を繰り返し、バンドの脇からボタボタと淫液を零す。 Mの気質のある郁は虐められても性的快楽を引き起こす体質だ。 前と後ろに埋め込んだバイブの振動を最大にすると、郁は限界まで目を見開き、舌を伸ばせるだけ伸ばし身体を硬直させて、一段と高い絶頂に登りつめた。 ハァーッ、ハァーッ、ハァーッ、と小刻みな痙攣を繰り返しならが荒い呼吸を続ける郁の髪を掴むようにして堂上は顔を上げさせる。 「聞き分けの悪い犬にはお仕置きをする。 その代わり、ちゃんと出来たら―――ご褒美をやる」 「ご、ほ…び・・・?」 ぐちゃぐちゃになった顔で、熱を孕み潤んだ瞳で、郁は堂上を見上げた。それに堂上は「ああ」と鷹揚に頷いて言った。 「ちゃんと、俺の犬に為り切れ。そうしたら、たんとお前の好きなモンをやる」 郁の呼気が次第にハッハッと発情した犬のように荒くなる。身体はくねくねと淫らに捩らせ始める。 そして郁は、堂上の前でくてんとひっくり返ると、犬がお腹を見せるポーズで仰向けとなった。 服従のポーズだ。 小ぶりだが形の良い乳房と、バイブを埋め込まれダラダラとはしたなく蜜を垂れ流す陰部が堂上の眼前に晒される。 郁は潤んだ瞳で堂上をじっと見つめ―――「わん」と鳴いた。 「おすわり」 「あんっ」 堂上の命に従い、郁はおすわりのポーズをした。 二の腕の間でピンと勃つ乳首をくりくりと弄って郁をよがらせた後、堂上は手のひらを郁の前へと差し出した。 「お手」 「あんっ」 「おかわり」 「わふっ」 「ちんちん」 「……! あん……」 ピクリ、と郁はわずかに肩を揺らした後、それでも甘えたように上目遣いをしながらちんちんのポーズを取った。 その愛らしくも淫らな表情に堂上は満足気に郁を見下ろした。 「よしよし、良く出来たな」 「わふっ!」 あらんかぎりの愛情を込め、堂上が郁の頭をなで回せば、郁の顔が蕩ける。 そして同時に、堂上はバイブのスイッチを入れ、郁の身体から絶頂を引き出した。 「わ、わふぅぅぅぅん――!」 郁甘い声を上げて悶えた。頭を撫でられながら、喜びと絶頂に身体を震わす。 しばらくすると郁の足元には愛液による小さな水溜まりが出来ていた。 「それじゃあ、そろそろ散歩を再開するぞ」 グイっと堂上がリードを引っ張るが、今まで従順だった郁が踏ん張って首を振る。堂上が眇めた視線で見下ろした先にはもじもじと太腿を擦り合わせ、何か言いたげな郁の姿があった。 ―――ああ、なるほど。 「おしっこか」 堂上の問いに、郁はおずおずと頷いた。 散歩に出る前にたっぷりの水を飲まされ、おまけにオモチャによる振動で尿道が刺激されてそろそろ我慢の限界だ。 分かったと、リードを引く堂上に郁は黙って付いていく。 そして外灯の前でバンドが外され、バイブが抜かれる。 「ほらいいぞ」 困惑に見上げる郁を堂上は冷たく見下ろす。 「しろ」 低い声で発せられた命令に、郁はびくりと身体を震わせ、しゃがみこんだ。 尿意が込み上げて来て、ひくひくと入口がヒクつき始める。 「ふっ・・・」 「何やってんだ、郁」 「ふへっ!」 堂上の手が郁の足首を掴み上げ高く上げる。 「犬はこうだろ」 「ひんっ!」 「なんだ、おしっこ出てないじゃないか」 「ひっ・・・!」 ズボっと堂上の指が緩んだ郁の蜜口に入り、素早く中を擦り上げていく。 「ひあっ、ああっ、ぃあっ、あっあっ」 堂上の指が忙しなく動く度に、ジュブジュブと郁の中から淫らな蜜が溢れだし、ガクガクと身体を支える腕が震え始める。 「あっあっ…ひああああああああっ!!!」 プジャァッっと尿か潮か、あるいは両方か、郁は犬がマーキングするような格好で盛大に噴き出した。 絶頂と放尿の快感に郁は痙攣しながら崩れ落ちた。 自分が噴き出した体液にまみれて絶頂の余韻に浸る郁の痴態を堂上は満足げに見下ろした。 ベンチに座った堂上は、ベルトのバックルを外し、ファスナーを降ろし固くなりつつある雄を取りだした。 荒い息を吐いた郁がのっそりと身体を起こし、口を開ける。 「待てだ」 ハッハッと欲情した牝犬のように荒い息を零しながら郁は、堂上の手の中で大きくなる男根を凝視する。 「よし」 すっかり立ち上がった堂上の雄に郁は飛びつくようにむしゃぶりつく。 「んちゅ、レロ、レロ、はっ、はっ、んむっ、ちゅぷ」 涎を垂らした男根をねっとりと舐め上げ、ジュプ、グプと音を立てながらしゃぶり、先端を啜り、郁は堂上を追い上げる。 頭上でハァと堂上の熱い吐息が聞こえ、郁は夢中で舐めしゃぶる。 「―――い、くっ・・・」 ぷは、とギリギリでフェラを止めた郁を堂上は睨み下ろす。 そんな堂上に郁はペロリと唇を舐めて見せ、そしてくてんと仰向けになり、服従のポーズを見せた。 そして今度は、何も入っていない、蜜にまみれた雄を欲する孔を堂上の眼前に広げて見せた。 「―――とか、想像した?笠原さんが犬になるって宣言して」 「するわけないだろ! つーか人の彼女で変な想像させんなアホウ!!!!!」 |