時が経てば、何事もない「日常」が帰ってくるのだと堂上は信じていた。 けれど、待っているだけでは何も解決しないどころか、悪化の一途を辿ることを思い知った。 堂上が家に帰り、玄関のドアを開けるとハっとした顔の郁と鉢合った。郁の肩には大きめのボストンバックが掛っている。 反射的に堂上は郁の腕を掴み、乱暴に捩るように掴み上げ、リビングへと引き連れる。 リビングのダイニングテーブルの上には緑色で枠取られた様式用紙と、銀色に光る指環が置いてあった。 堂上の頭に一気に血が上る。 「――――――っどういうことだ!!」 響く堂上の声に郁は一瞬、身を竦めるがすぐに気丈な視線で睨みつけてきた。 「だってもう限界なんですよっ! 確かに『あたし』はアンタと結婚していたのかもしれない。 でも、今のあたしはアンタと結婚してるなんて思わないし、結婚したいとも思えない! もう嫌なの、こんな生活! あたしだって、普通に恋がしたい!好きな人と幸せになりたいっ!!―――きゃっ!!」 叩きつけるように堂上は郁を床に薙ぎ倒して馬乗りになる。 「何すんのよっ―――!!」 郁を見下ろす堂上の瞳は恐ろしいほどに冷えていた。 怯えを宿す郁に構わず、堂上はネクタイをほどきまとめた郁の手を縛りあげる。 「やっ・・・!」 「―――そうだよな、待つなんてどうかしてたよな」 郁を追い詰めた男の気持ちを今、堂上は理解した。 本当に欲しい物に対して躊躇などしてはいけないのだ。 「お前の記憶力の悪さは充分知ってたはずなのにな。 お前は、身体で覚えるタイプだったんだから、こうでもしなきゃ思い出さないよな」 「やっ、やだっ、やめてよっ・・・!」 割りいれられた堂上の膝頭によって開かされる脚に郁は蒼白になる。 「ああ、確かにお前は幸せになる権利がある。だが、それは俺の隣でだ。 安心しろ、すぐ思い出させてやる」 「や、やめっ・・・いっ、いやあああああああああっ!!」 ショーツを乱雑に引き下ろした後、堂上はそのまま郁の秘部に男根を突き立てた。 前戯もなくペニスを突き立てられた膣は固く閉ざされている。突然襲ってきた圧迫感に郁は息を詰め、カチカチと歯を鳴らして空気を食む。 けれど―――。 「ほら、お前の此処は俺の形を覚えてるだろう?」 馴染むようにペニスを包み込む膣壁に堂上は嬉しそうに笑む。 「あぅ、あぅぅ、あっ、あっ、あっ」 抽送を繰り返す内に郁の膣内は次第に潤み初め、堂上の動きに合わせて腰が揺れる。 表情が苦痛と快感に歪んだが、何度も突き入れるうちにそれは快感だけになったらしく、いくらも経たない内に郁の上げる声は甘い嬌声を含む物に変わる。 「いっ、いやあああ…、あぁ、あああ…」 口では嫌がりながらも郁の身体は既に堂上に服従していた。ぐちょぐちょに濡れた熱い膣壁が堂上のペニスに絡み付いてくる。 「あっ…あ…あああ…」 抽送毎に郁の身体がビクンビクンと跳ねる。 「なあ、郁、気持ちいいだろ?」 涎を垂らしながら喘ぎ声しか上げられなくなった郁に堂上は腰を打ち付けるスピードを速める。 「いやっ、やああ、もうやめて、うっ…ああああ…ん」 「何言ってんだ。お前はこうやって激しくされるのが好きだろ」 「ひあっ…あ…いやぁん…あは……あ……」 郁の気持ちを置いて、身体は容易く快楽に飲まれていく。 「ん…くっ…!!」 陰核に爪を立てられ、郁は背中を仰け反らせた。 快感と共に痛みも感じていた。敏感な部分に強く触れられれば、快感はともすれば痛みになる。 「やぁ…っ、…あ…!!あ!」 堂上は郁の痛みに気づいているようだった。しかし彼は指を止めようとはせず、ますますその動きを激しくしていく。 真っ赤に熟れた果実のような部分は、郁の指の中で拉げて弾けそうになっている。 「あぁ…いやああっ―――っ!!」 刺すような快感と痛みの中で、郁は絶頂に達した。 それにも構わず膣内は未だ堂上に蹂躙されている。身体を痙攣させながら郁は何度も高みへと強制的に連れていかれる。 「ひあっ…あ…いやぁん…あは……あ……」 吸い付くような締め付けはどんどんきつくなってくる。 「ああーっ…だめぇ……!!」 犯され続けていた郁が、一際高い悲鳴を上げた。 堂上がペニスを引き抜くと、開いたままの性器から、白い液体がドロドロと溢れて落ちる。 「どうだ郁?思い出したか?」 「もう…許して…ください……」 ぱっくりと開いた性器をもどかしくひくつかせ、たった今注ぎ込まれた大量の白濁をどろどろと性器から垂らしながら、郁が懇願してきた。 その懇願に、堂上は呆れた様な溜息を落とす。 「まだ思い出さないのか。仕方のない奴だな」 「ひっ……!あ…あっ…あう…」 再度膣内にペニスを埋め込まれ郁は再び喘ぎだした。 そして堂上は郁の腰に手を当て、その身体を軽々と持ち上げると体勢を座位にして突き上げ始めた。 「お前が思い出せるまで、何度だって付き合ってやるよ」 「や…あっ!」 「ほら、ここ、いいんだろ?」 「…いやぁ…違う…あぁ……」 「まあいい…そうやって強がる所も可愛いぞ」 堂上は郁の腰を掴んで動かし、激しく抽送を繰り返してきた。彼は音が立つように、自らも腰を動かして下半身を打ち付けてくる。 パン、パン、と肉がぶつかる音が響き、激しすぎる衝撃を受け、郁は頭の奥が白く霞んでいくような感覚に必死に耐えた。快感が渦を巻くようにして身体の中心を突き抜けていく。 「やぁん…あっ…あ…あー…いく…っ」 すぐに郁は達し、ビクビクと体を震わせた。しかし堂上は行為を止める事はなく、尚更激しく突いてくる。 「なぁ、郁、見てみろよ。お前の此処、俺のをこんなに美味そうに飲み込んでるぞ」 「やぁっ!やだぁぁっ・・・!」 堂上は郁の身体を返し、脚を広げ、結合部分を大きく晒す。濡れた粘膜は、堂上の性器を咥え込んだままヒクヒクと蠢いている。 堂上は郁を突き上げながら陰核を抓み、ぐりぐりと指先を押し付けてきた。 「…っく…あっ!ああ!ごめんなさい…ごめんなさい…っ!もうやめてっ…くださっ…」 「ああ、お前がちゃんと思い出せたら止めてやるさ」 途切れる事のない行為に、郁はすぐに絶頂に達してしまった。 「酷い……こんなの…悪い夢なら早く…覚め…て…」 「だから、こうして早く目覚めるよう手伝ってやってんだろうが」 「ひ、ぁ、ぅっ、ひぅっ」 郁はもう、泣き声とも喘ぎ声ともつかない脆弱な吐息を漏らすだけになっていた。反応といえば達し続け痙攣する膣内のみ。 「だ…か、たす…けて……」 淫蕩な涙を零しながら、郁が切れ切れに呟く。 「ああ。お前がちゃんと戻ってくるよう手伝ってやるから心配するな」 堂上はそう言い、抽送の速度を上げるのだった |