立春を迎えたとはいえ、まだ気温は冬そのもの。3日前には雪も降った。
そんな冬だった筈だけれど。
春のまどろみのような空気の中、郁は薄らと意識を浮かべた。
あまりにも気持ちよかったから少しだけ開けた瞼をすぐに閉じた。
自分の身体に誰かの手が触れたような気がしたが、いや気のせい気のせい。

心地良いから。

もう少し寝させて。



「あーあ………」

堂上は思わず苦笑した。
家事がひと段落して、先にリビングに戻っていた郁にお茶を持って来たのだが。
当人は日頃の疲れが溜まっていたのか陽のあたるラグの上で猫のように丸まって、既に夢の中。
体をゆすったが、薄く開いた瞼はまたすぐに閉じてしまった。


苦笑して堂上は立ち上がった。
ソファーに重ねて置いてあるブランケット代わりの薄手の毛布を手にとって、横たわる郁の身体にそっと掛けてやった。

「こんなところで寝てると風邪ひくぞ」

苦笑混じりに言いながら堂上は、ちらりと郁の顔を見やった。
呆れる程に無防備に郁は寝ていた。穏やかな寝顔は、果たして何の良い夢を見ているやら。

「もう少し経ったら起こすからな」

世間ではアラサーと呼ばれる年齢であるというのに、寝顔は。

「ほんっと、子供みたいな顔だよな」

くすっと笑みこぼしながら、そっと頬に手を置いたら、郁がもぞもぞと動いて堂上の膝に擦り寄る様に顔を近づけてきた。
もぞもぞ、と温もりを求める様に郁の身体が擦り寄り、ポテンと腕が脚に乗りそれを枕にするように突っ付せるように眠りこける。

「い〜く〜?」

腕枕の置き場が気に入ったのか、郁はそのまま動かなくなった。

「どける気ないな、これ」

崩れた毛布を掛け直し堂上は持って来たマグカップを口元に運んだ。



―――で、いつ払い落そうか。

 

熱いお茶を飲みつつ、小さく笑みを浮かべて頃合いを計らう堂上だった。















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