アカチバラチ遺稿集
 このコーナーでは、最近になって記者の自宅や土蔵、愛人宅、ジュラ紀の地層などから発見された未発表原稿を随時掲載いたします。比較的、上にあるほど新しいと考えられています。

★ニュース『打倒「美女軍団」に燃える新軍団登場!?』(03.9.9)
 北朝鮮のほこる「美女軍団」に対抗するため、日本政府は「美姑軍団」を結成すべく一般募集を開始した。
「あの美女軍団を構成する若い女性たちにとって、姑ほど脅威となる存在はありません」と同軍団のリーダーとなる予定の弘田重子さん(71)は語った。「わたしにも経験があります。姑がそばにいれば、窓のサッシが気になって、歌ったり踊ったりして浮かれている場合ではなくなるのです」
 各種スポーツの応援で、美女軍団は、まるい板のような民族楽器を打ち鳴らすのが名物になっているが、美姑軍団は各自、窓のサッシをたずさえて北朝鮮戦の応援にのぞむ。相手が優勢のとき、サッシを指でなぞり、ホコリのついた指を北朝鮮の応援席に無言で向けるのだという。「無言であることがポイントです」と弘田さんは強調した。「ろくに掃除もしないで応援とはなにごとか、と暗に責めるわけです。わたしも若いころ、これで姑に何度となく泣かされたものです。姑の目を盗んで、こっそり家中の窓をセメントで塗りこめて壁にしたほどでした」
 弘田さんの時代とはちがい、近年いわゆる「鬼嫁」が増えており、そのことが今回の一般募集に予想以上の応募をもたらしている。「とくに40代の若い姑の応募が多いようです。みな晴れて姑となってはみたものの、うまく嫁をいびれず悩んでいます。サッシにはホコリがたまる一方です」
 実際に求められている人材は、嫁いびりに熟練した姑であるが、いずれにせよ問題は「美姑」の「美」にある。「それは美女軍団も同様でしょう」と弘田さんはテレビに映る「美女」たちを見て首をかしげるが、姑の場合、それをごまかしうる若さがない。「美姑軍団」の結成は困難をきわめそうだ。(エ)

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