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「ハァ、ハァ……」
「……どうだ、ぁ」
「アハハ……負けちゃった」
一気に駆け上がった神社の階段、鳥居の下で白い息を弾ませながら衛と二人夜明けの空を仰ぐ。
「じゃあ、そういうワケでクリスマスは」
「わかったよ、あにぃの言う通りにする」
「……よろしい」
「うぅ……あにぃのイジワル」
いや、我が事ながら、全くその通りだと思う。
A blind spot
「衛?」
「ま、まだダメ」
「って、お前着替えるのにどれだけ時間掛けるんだ?」
『ボクの部屋』、全く持って『らしい』プレートが掛かったドアにもたれ掛かって早15分。
「何なら手伝うぞ?」
「わ、あ、あにぃ、何てコト言い出すんだよぉ!!」
「なら早く済ませなさい」
「き、着替えるのと決心が付くのは別物だもん」
軽くドアに衝撃が走る。
クッションでも投げ付けたのかもしれない。
「じゃあ、一応確認するけど着替えは終わったんだ?」
「あ、当たり前だよ、ボクを何だと思ってるの」
「あ、そう」
なら、ノープロブレム。
「お邪魔するぞ」
「え……?」
一瞬の沈黙の後、ドタバタと慌てて立ち上がる気配がする。
が、遅い。こっちはもうノブに手を掛けていたから。
「って、おい!?」
ドアを開けた瞬間、胸の辺りに何かがぶつかる。
「まだダメだって……言ったじゃないかぁ」
衛が必死に俺を押し出そうとしている。
髪から覗く耳の先まで真っ赤にして。
「でも、折角のクリスマスは少しでも一緒に居たいだろ?」
「……普段はそんなこと言わないくせに」
「そりゃ、年に一度のクリスマスだし……」
そっと手触りの優しい髪に指を通す。
「クリスマスってそんな日だろ?」
「もう……あにぃはズルイよ……」
「狡くても良いから、追い出さないでくれるか?」
「……うん、わかったよ」
力が抜けた衛の手、代わりに額が当てられる。
「クリスマス、だもんね」
「まあな……」
「えへへ……」
「…………」
「…………」
「……で、いつまでこうしてるんだ?」
「ずっと」
「ずっと?」
「うん……だって、こうしていればあんまり見えないでしょ?」
「見たいんだけどな」
「ダメだよ……ボク、まだ決められないもん」
「だから、いいよって言うまで……ずっと」
END