― おともだち ―
結局あのあとは普通に過ごしたけれど放課後。
どうしても帰る気にはなれなくて、テニスコートの見える図書室にいた。
そして一番窓際に座って頬杖をつきながらテニスコートを眺めてた。
なんとなく・・・テニスコートが落ち着かない。
正レギュラーの人達がイライラしてるのはわかるけど(なんせ私が原因)
他の部員もそわそわしてて全然集中してない感じ?
あーいつもだったらちゃんとしなさい!って叫べるのに――。
私はルーズリーフを出していつもみたいにみんなの様子を記録する事にした。
なんせ2年以上もしてきたこと。
いきなり辞めろって言われても困る。
(あ!井手ボール拾いのために部活でてるじゃん!・・・しょうがないなー)
(新山達相変わらず喋りっぱなしじゃん・・・)
(っていうかちょっと集中力欠けてるよ、皆)
そんなことを思いながら記録していく。
これは結構楽しいかもしれない。
普段はここまで細かくかけないし。
(あ、。。ってタオル落としてるじゃん!相変わらずドジなんだから・・・)
【なんでもっと気をつけなかったの!!!】
・・・・・・・・嫌、なんで今日はこんなに出てくるんだろ。
・・・今ちょっと楽しんだからかもね。
大丈夫、わすれてない。
だからこうして見ているんだし。
――――――――――――《慈郎》
正レギュラーはのことでイライラしてるし。。。。
俺はあの時何も言わなかったけど・・・・そんな俺でもいまは罪悪感があるよ?
皆冷静になれば良いのに。
平部員たちはがいないからずっとそわそわしてるC〜。
俺、こんな日は特にテニスなんてしたくないんだよね〜〜。
だから俺は中庭にいってねっ転がってたんだ。
今日は皆自分の事でいっぱいいっぱいだから呼びに来ないしー。
そんな俺の視界にある人が飛び込んできた。
「あれ・・?・・?」
眠たかったけど目をこすってその教室を見た。
(・・・図書室だっけ?あそこ)
よくわかんないけどがいて外を見ながらなにか書いてた。
外=テニスコート。
なんだかんだ言って帰って無いじゃんー!
ふと好奇心がうずうずと出てきた。
こんな日はテニスにはむいてない。
どっちかって言うとお話ししたい日だよね――――――?
俺はそっと図書室に入った。
そこにはだけがいた。
俺はそーっと近づいて何を書いてるのか見た。
だけど・・・・。
「えぇ!!」
つい声に出しちゃった。
だってそこには200人分の記録があった。(普通に驚くでしょ?)
なんだかわかんないけどマズイって思ってをみたら。
「えぇぇぇ!!!!」
って俺以上に驚いた声を上げた。
・・・・・・・・・・。
微妙な沈黙。
お互い気まずい・・・。
俺はもう反対を向いて出て行きたいぐらい嫌だった。
だっては俺のこと嫌いだろうし。さっき岳人は殴ったけどどうせ同罪だし。
一歩下がろうとした時、彼女が口を開いた。
「びっくりした。芥川君またサボり?練習いきなよー」
また・・・驚かされた。
この言葉に嘘が無いから。
だって、彼女
すっごく穏やかに微笑んでるから。
「・・・んで・・・」
たまらず声が出た。
「え?何か言った?」
相変わらず彼女は普通に接してくれてる。
「なんで?俺のこと嫌いなんでしょ?なんでそんなに平気そうに笑ってるの?さっきあんなこと言ったししたのに!」
なんか知らないけどむかついた。
一気に覚醒した。
だけどそれにまた彼女は微笑をくれた。
「芥川君は何もいって無いじゃん。っていうか何もしてないし」
凄い・・・無意識にそう思った。
あんだけ傷つく事言われて岳人に殴られてその中に俺だっていたのに。
何事も無かったように俺に接する彼女が凄いと思った。
「それに嫌いとかそんな風に思ってるなんて一言もいって無いじゃん〜!」
明るくそう言う彼女は、いつも平部員と話している彼女だった。
彼女と話している平部員はいつも楽しそうで。
俺たち正レギュラーはと一緒にいれる事を見せ付けてる気でいたけどもしかしたら俺たちが見せ付けられてたのかもしれない。
「まぁ好きじゃないけどー。・・っていまの別に深い意味はないんだよ?ただあんまり話したこと無いからまだわかんないだけで!!」
俺は何を言う事も出来ないのに彼女は楽しそうに話している(あ、今は慌ててるけど)
「ごめんねー今すっごい失礼なこと言ったよね、私。こんなだから嫌われるんだろうねー」
今のちょっとの話を聞いて彼女の癖が一つわかった。
「いいよ。結構思ったこと口にしちゃうほうでしょ?」
「あはは、結構ね。でも今のは本当に嫌いとかじゃないんだって!ただ良く知らないから好きともいえないって言うか・・・」
また彼女は困ったように目を泳がせてる。
「わかってるよ。じゃ、今からお話しようよ!」
「え?だって部活・・・ま、いいか。芥川君ってあまり練習しすぎると調子悪くなる方だしねー」
そうして俺はと初めてちゃんとした会話をした。
こんなに喋ってて楽しいのって初めてって思わせるぐらいの力があった。
話の内容は本当にくだらない先生の悪口だったり俺の夢の話だったり。
だけどどんな事でも笑って聞いてくれたし話してくれた。
そして、話が一度終わった時俺はふと思った。
「あ、もしかして邪魔だった・・?」
彼女の前には書きかけの記録がある。
俺と話しているからその間かけずにいた。
「あぁ、平気だよ。大体いつもはうる覚えで書いてるしねー。もう半分癖だよ、みんなの覚えるの」
俺の中でマネージャーはでどっちかって言うとあんまり大変じゃない仕事だと思ってた。
だけどそれはがいたからそう思ってただけなんだ。
「あのさー」
「何?」
「ごめんね」
本当は謝るべきかずっと考えていた。
今日のこと。
謝ったらこっちが悪いって認めるのと一緒だから。
「どうして謝るのー?何もして無いじゃん!」
本当に彼女は驚いたように声を上げた。
「今日はひどいこと言ってごめん。そしていままでマネージャーの事誤解しててごめん」
無理せずに、自然とそういえた。
こんなに素直に謝ったのって生まれて初めてかもしれない。
「だからー気にしなくていいって!まぁありがとうね」
「あのね、俺と『お友達』になってくれる?」
今更可笑しいのかもしれない。
だけど今俺との関係は友達とは言いづらい。
どっちかっていうとあんまり良くない関係。
だからちゃんとお友達になりたい。
いまさらそんなこといえる資格ないのかもしれないけど。
「芥川君が良いなら良いよ」
ずるい言い方をしたって思ってる。
だけど彼女とはちゃんとした関係でありたかった。
「なら、俺のことジローって呼んでよ」
「ジロー君?」
「そう。友達は皆そう呼ぶー。だからちゃんってよんでいいー?」
そう言う俺に彼女はにっこり笑って答えてくれた。
「いいよ」
こうして俺とちゃんはおともだちになった。
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―・あとがき・―
ちょっとだけ明るくなったかな・・?
なんとなくジローは仲良くなるんじゃないかと思って。
っていうそこまで嫌いじゃ無かったんですよ、
「皆なんであんな事で?」って思ってるぐらい(笑)
だけどこの話、そんなに順調じゃないと思うんですよね(ヲイ)
まだまだ前途多難です。。。
03.3.28