キウイ




――ちっ!くっそおっせェー!あのクソマリモはげ、いつ帰ってくるんだ。

――せっかくこのオレさまが、愛情こめて作ってやった、ありがてェーメシが冷めちまうつーの!

「ちょっと、散歩行ってくる」

――その一言だけ残して、チョッパーをお供に連れて行けっつーうナミさんを無視していきやがったバカヤロー。
   なんなんだよ、てめェーのその自信は?毎回迷子になるの分かってないようだな、いっそ帰ってきたら、海に蹴り落としてやる!

――あ〜〜見たかねェーよ、てめェのくそ薄ら寒い顔なんざ。
   やっぱ、オレの相手は、レディだ。レディ。

ブツブツとぼやきながらも、そわそわラウンジと甲板を行ったり来たり、苦虫を潰した顔の男、ご存知、海の一流コックサンジ。
幸か不幸か、なんの因果か知らないが、ついうっかりゾロを受け入れてしまった後悔の念。
手篭めにされたようなされてないような、ノリと勢いつーのは恐ろしい。翌朝、腰が立たなくなったのもご愛嬌。

――吐き出す相手がマイハンド。そりゃ鬱憤も溜まっるってもんよ。お手軽気軽なセックスライフ。
   普段の行いは、頭にくるヤローだが、気持ちいいから、やめらんねェー。
   あんたらバカ?と、冷たいナミさんの視線が痛いけど、それはそれで、結構快感?アレ?オレはアホか?
   いかん、ナミさんのことは考えねェー。そのうち飽きがきたらいつでもやめれるお気楽セックスつーわけだ。

なんだか言い訳クサイぼやきを呟き、もう勘弁ならねェと、夜の街にゾロを探しに飛び出して行った。


昼間、買出しに出たときは気が付かなかったが、結構色香の漂う夜の街。
商売女の視線に、くらくらでれでれとなりながら、『オレはゾロを探しに』なんて、思いもどこへやら、
あんなヤローが、どこでおっちんでいようが知らねェーとばかりに、商売女のそでに引かれて、いった先の酒場で、
大げさな身振り手振りでレディをくどく醍醐味をサンジは味わっていた。
この男にとって、どんな商売をやっていようが、レディはレディ。金をむしり取り、酒でへろへろになった所を、放り出す予定だった
商売女の心は、いつしかほぐれ、おにぃーさんいい男ねェーあたし奢っちゃうわなんて、セリフまで、飛び出す始末だった。

「さっき、引っ掛けた男とは、段違いよね。ブツはでかかったけど、あんなのねェ」

――ブツがでかい。
「そいつ、緑の髪の剣士じゃなかったか?」

そうそう、緑の頭に耳に3個のピアス。極めつけは腹巻でね〜。もうむっつりもいいところ、攻め立てられてくたくたになったわ
商売女の声が、サンジの耳に衝撃を落とした。

――ぬわにぃーーー!!!あんのマリモハゲ!!!自分だけいい思いかよ!上等だ!クソやろー!なんでオレを誘わねェー!
   くっそーぜってェー蹴る!蹴ってやる!むしろ、殺してやる。

「で、そいつ、何処いった!」
おおー貴女はなんて素敵なレディだ〜〜と、ハートの煙を飛ばしまくっていた男の豹変ぶりに、ちょっとびびった商売女の手が震え
グラスの酒が、床を濡らしていく。

「あの、その人なら腹痛いっていうから、あのお金貰ったし、宿屋に置いてきちゃった……」
商売女の返答もそこそこに、ゾロに蹴りを入れることだけを考えて、サンジは酒場を飛び出していった。

――腹が痛ェーだと、いい思いしやっがったクセに、事のあとのレディに言うセリフかよ?
   よかったよvハニーとかよ。ちったー気の利くセリフを吐けんのかよ?
   あぁ、あいつはそういうヤツだ。前戯も後戯もあったもんじゃねぇ。むしろあったら怖ェ怖ェーーよ。
  
どの点に深きを置いて怒っているのか、サンジ。この寒空の中、カンカンに湯気を立て、ゾロを求めて、教えられた宿屋に飛び込んだ。

「ここに緑のむっつりハゲアホ剣士がいるって聞いたんだが、どこだ?部屋教えろや」

凶悪顔にびびるなつーほうがムリで、宿の亭主はしどろもどろに、脂汗流す剣士に時間だと宿から追い出したことを話す。

「ナニーー!、で、どっち行った!そいつは」

港とはてんで反対方向へ向かった旨を聞き、またもや飛び出すサンジ。

――脂汗だと?あいつが?やっぱ、今朝の卵不味かったかなァー?ってこた、アレか?あいつはゲリか?
   クククッ。ゲ〜〜リマリモン。見つけちゃる!ぜってェー見つけてやる!蹴り1発入れた後、一応心配してやる。
   つ〜〜か、オレの料理であたるヤツなんていねェつーの!

料理人として、クルーの食、健康管理を預かる立場として、ちょっと反省しつつ、それでもオレのせいじゃねェと、
唇の端にタバコを引っ掛けて、辺りを見渡した。

――さって、どっちかな。

宿屋から、右左前方、三方向に抜ける道がある。

――港は左だ。前の道行っても、おそらく港に通じるだろう。ってこた、右だ。
   クソマリモの方向感覚なら間違いねェ!右だ。

タバコを深々と吸い込み、妙に格好をつけながら、軽く指で弾き落とし、靴底でねじる。
気合を一発入れ、ゾロに蹴りを入れたい一心で、ひたすらゾロの後を追った。



キィーン。金属の擦れ弾かれる微かな物音と共に、どさっと地面に何者かが倒れる音が、サンジの耳に届いた。
クソマリモ、いやがった。音のした方向に、鋭い眼差しを向け、気配を探る。
荒い息をし、体躯を捻じ曲げるゾロの姿が、そこにあった。

何かがおかしい。サンジの勘がそう告げる。

サンジの気配に気が付いたゾロが振り返り、にやりと不敵に笑った。

「おう、お迎えか」

「てっめェー!!!ざけんな!おうおうおう、自分だけイイ思いをしたようだな。んぁ、てめェーのデカチンはよう!
 抜きに行くんなら、オレを出し抜くな!てか、アレか?っておい!エロマリモ!!」

不敵に笑っていた顔が、ゆがみ、崩れ落ちていく。
慌てて駆け寄るサンジ。

「なんなんだ、てめェーはよ。ゲリか?くそしてェーんなら、オレは外してやるぜ?」

「アホかーー!!痛ェーんだよ」

「だから、腹痛ェーんなら、くそだろ?あー悪かったよ。今朝の卵な、ちょっと古かったんだが、てめェーの魔獣の腹なら平気だと
 ふんでよ、なぁ、くそしてこいよ。あっちで、オレ待ってるからよ」
けたけたと笑いながら、ゾロの肩を軽く蹴りつけるサンジ。

「だぁーーー!違うってんだ!!金玉が、痛ェーんだよ!!!」

「はぁ?金玉って、おまえ……。ぶっははは、玉あがったのかよ?なら飛べよ。飛んだら落ちるだろーが?」
ますます、バカ笑いに拍車がかかり、ひぃーひぃーと、腹を抱えて笑い出した。

「ちがう!飛んだら、むちゃくちゃ痛かった」
実践済みだと、体躯を捻じ曲げた状態で、怒鳴りつけてきた。

「なら、なんなんだよ?アレか?張り切りすぎて、製造がおっつかなくなった金玉ちゃんが、すねてるんじゃねェの?」
「オラオラ、剣豪さんよ?自分だけ、イイ思いをした罰じゃありませんこと?オラ、なんとか言ってみろよ」
バカ笑いしながら、げしげし肩を蹴るサンジを、斬りつけてやりたいが、ゾロはそれどころじゃないようで、
痛みをひっしで、他所にずらそうと、努力しているところだった。がるるぅーと、猛獣の唸り声が聞こえてきて、
笑いのツボにヒット最中のサンジ、ますます、笑う。まなじりに涙まで、溜まってきた。

ひぃーひぃーと引きつった笑いの発作が収まったところで、やっとゾロの体躯に腕を回し、
「船帰るぞ」と、肩を貸し歩き始めようとしたが、ゾロの手がサンジを捉え、組み敷いた。

「うおっ!なんだよ。てめェー?やるってのか?オレはごめんだね。オレはてめェーをチョッパーに預けたら、この街で遊んでくらぁ。
 てめェーの相手は、船の上だけでじゅーぶんだってんだよ!どけ!ゲリマリモ!麗しのレディがオレを待ってんだよ」

からかいの籠った声と裏腹なサンジの蒼眼が、ゾロを睨み返した。冷たい怒気を含んだ視線。

「くっ!」
どさりと、サンジの上に覆いかぶさるゾロの体躯。

「てめェーはアホかよ!金玉痛ェーのに役に立つのか、てめェーの性本能つーーのは、猛獣いや!やっぱ魔獣かよ!どっけってんの!」
思いのほかあっさりと、ゾロの体躯はサンジの上からすべり落ちた。

「ほれ!肩貸してやっからよ。帰るぞ」
よろよろと、立ち上がるゾロ。普段の剣豪らしくなく、サンジの眉が曇る。

「しっかし、てめェーがそんなだと、調子狂うつーの。オラ、とっとと歩けよ」
肩をまわそうとするサンジの手を振りほどき、歩くさまが、またサンジの笑いのツボにヒットした。

「ぶっははっはっはっはは!なんなんだよ!てめェーーーーーあぁみっともねェーたらありゃしねェ」

サンジが笑うのも無理はない、普段の姿勢の良さはどこへやら、足をがに股に開き、腰を引き、歩く剣豪の無様さ。
情け容赦ないサンジの罵詈雑言が、ゾロに浴びせられる。

――斬ってやる!
ゆらりとゾロの背筋が伸び、刀が引き抜かれた。

ひゅんと唸る雪走。腰を折り刃をかわすサンジ。
なんだよ、まだ動けるじゃんなんて思いながら、軽く蹴り上げた脚で、つぎの刃を受ける。
ひとしきり真剣にじゃれあいの喧嘩を楽しみ、ゾロの顔に脂汗が滲み出てきた頃、サンジが攻撃をやめた。

ちんと、収まる雪走。はぁはぁと荒い息をあげるゾロを、ちらりと眺め、ついてこいと先に歩き出した。

二人の行く道を氷輪が照らす。澄み切った大気が二人の間を流れていく。
ゾロの歩みに合わせて、のろのろと歩く。手を貸すべきか、イヤ手を出してしまえば、また喧嘩になるだけさと、
言いたいセリフも我慢してタバコの煙で誤魔化して歩いていく。



やっと、GM号に着いた。男部屋に向かうゾロを無理矢理、ラウンジに引きずり込み、

「見せてみろ」とぞんざいな言葉をかけた。

むっつりと脱ぎ、どうだ!と、言わんばかりに腰を突き出すゾロ。

サンジの目に飛び込んだゾロの格好。そして、見事なまでに腫れあがった金玉。

ぶっはっと息をつまらし鼻の穴全開、頬に溜まった空気がぶぶぶぶぶっと漏れた。

「ぶはっはっはっはっははっははは!情けねェーな、てめェ?金玉、何倍だ?こりゃ?2倍いや3倍、もっとだな」
さわさわと、ゾロの金玉を撫でるサンジ。ゾロの顔が見えず、余りの金玉のでかさの衝撃のため、油断した。

「ばっかじゃねェ?てめェバカだろ?こりゃアレだ。金玉炎症起こしてるんだよ、って、傷は無さそうだな?」
ごそごそと、ゾロの股間に座り込み、弄りまくるサンジの手。持ち上げたり擦ったり、嬉しそうな笑顔を見せる。

ゾロの堪忍袋は、今にも切れそうなのだが、目の前にある金玉のでかさが、面白すぎて、サンジは気がつかない。
あーでもないこうでもないと、ゾロの金玉をひたすらサンジは擦る。

「てめェーいい加減にしろよ。痛ェーんだよ」
憤怒を押し殺したゾロの怒りに震える声が、唇から零れた時、ラウンジの戸が開いた。

「ひっ!!!ナミさん!!!」
「げっ!ナミ!」
大慌てで、ナニをしまうゾロと、ナミの前に慌てて飛んで行き、喉が乾いたの?と、揉み手で愛嬌を振りまくサンジ。

冷ややかなナミの目は全て見ましたと、書いてあった。

「ねぇ知ってる?炎症起こす原因。不衛生なセックスが原因のほとんどよ」
にやりと魔女の微笑みを浮かべた。

爆弾発言に、打ちひしがれたサンジとゾロ。

「てめェーのケツが悪い!」
「なに言ってやがる!てめェーの拾った女のせいだろがぁーー!!」
と、ナミのいるのも忘れ、戦い始めた。

その内容のくだらなさに、うんざりしたナミは、鉄拳を2発落とし、ラウンジに入るのをためらっていた船医チョッパーを呼んだ。

サンジゾロの険悪なムードにおどおどしたチョッパーが、「オレは医者だ!」と意を決して、診察を始めた。

ソファに寝転ぶゾロの金玉をしげしげと調べ、笑ったら殺されかねないゾロの雰囲気にびくつきながら、問う。

「最近、交尾した?」

「んぁ?」

「あのね、ばい菌が尿道から入って炎症起こしてるんだよ。交尾の相手は?」

「むごごごっ!」
あっさり、サンジと言いそうになるゾロの口をサンジがむりやりふさぐ。

「んなことよりよ、チョッパー。薬塗ってやれよ、抗生物質の注射もな。ケツに一本な」
サンジは言葉はやさしいが、凶悪な瞳でそれ以上聞くんじゃねェーと、チョッパーを脅した。

「あのね、交尾だけが原因じゃない時もあるから、汚い手でチンコ触っただけでもね、ばい菌入るからね、トイレの前にも
 手を洗うんだぞ!絶対だぞ!それから交尾の相手は一人だけにして、必ずコンドームは着けてね。お互いのためだぞ」
ため息をつきつつ、チョッパーは真剣な顔で話す。

どこから突っ込んだかいいのか、ゾロの口をおさえたまま、コクコクと首を縦に振り、なんだこの拷問は!!!と、発狂しそうなサンジ。
ゾロの口がもごもご動く。てめェー黙ってろ!!!と、一発蹴りを入れるサンジ。

そばで、見ているナミは、もうバカ受けで、ひぃひぃ涙を流して、床に転がって笑っている。

今回の騒動で、誰が一番可哀そうだったのか……。
「個人的には、サンジだな」と、小さな船医は呟き、ラウンジの戸を閉めた。




後日、盛大にゾロの誕生日の席で、プレゼントされた物。

色々な包みを受け取り、テレくさそうに笑うゾロの前に置かれたキウイ山盛り。サンジからのプレゼント。

「なんだよ?コレは?」
と、首をかしげるゾロを見ていたクルーは皆爆笑した。

一番上にのっかる双子のキウイ。それは、どっから見ても、金玉に見えた。





後書きという名の言い訳

今(2009/9/11)思うこと、とんでもねぇネタだな、と。
これ書いた当時は、若かったわ。いろんな意味でw
これを夢小説で書く度胸はありません。このネタはゾロサンだからこそ、笑えるわけでw


テレワークならECナビ Yahoo 楽天 LINEがデータ消費ゼロで月額500円〜!
無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 海外旅行保険が無料! 海外ホテル