つよがり




心がざわめく。何故?そう、分かってる。


甲板のデッキチェアでゆったりと午後のお茶を楽しみ、本に夢中だったナミの顔が、あがった。
風を読むように、空を見上げ、波を眺めるナミの視線。

つられて動く私の視線。

「くる!?」

てきぱきと、ナミの指示がとび、クルーは的確に行動をする。

私は、ナミの指示に手を動かしながら、自分の心に広がる黒い感情を持て余していた。

何故?どうして、いつもこうなんだろう。同じ過ちを繰り返してしまうのだろう。
のみ込まれていく感情の渦に。いっそ堕ちてみようか?黒い波が、私を浚っていってくれたらいい。

吹き荒ぶ潮風、荒れ狂う血潮。

どうにもできない想い。伝えきれない想い。

のみ込まれちゃいけないと、自制してきたのに、どうして人には感情があるのだろう。
いっそ、狂ってしまいたい。
苦しい、誰か助けてと、悲鳴をあげる心。

止まらない、止められない。

いつの間にか、船は嵐を抜けた。

広がる青空。万物の全てを優しく包み込むような穏やかな海。

持て余した感情を、海に捨ててしまおう。

沈む身体。受け止めてくれる海のあたたかさ。記憶のソコに眠る、遠い祖先の心が流れてくる。
あぁ、私は、また生きていける。海が私を包み込み、澱を洗い流してくれるから。

「心の傷を吐き出してしまえ」
と、語りかけられるような気がした。



「チョッパー!水吐いたぞ!」

「うん!もうすぐ気がつくよ」

ぼんやりと明けた瞳に、貴方の緑の髪が入る。

ちゃん!大丈夫かい?さっ、ブランデー入りの紅茶だ。暖まるよ」
「おめェ?ドジだな?ドジだろ?」
「くはぁー、よーーし!は助かった。オレの指示どーり!ゾロよくやった!」

周りから聞こえるクルーの声は、どんどん遠ざかる。

私の瞳は、貴方を捕らえて離さない。
真っ直ぐに、私を見据える視線に耐え切れない。

不味い、また、苦しくなってきた……。
私は貴方が想っているような女じゃないんだ……。

「助かって、よかったな」
ポンッと頭に置かれた手の大きさが、にやりと笑う貴方の顔が、私の心を暗くも明るくもする。
男に振りまわされるなんて、らしくないよね、こんな私。

ぽろっと零れそうな涙がばれないように、貴方の胸に顔を埋めて、ささやいた。

「ガキでごめん」

途端に笑い出す貴方を見てたら、なぜか、悔しくなった。

みてらっしゃい、ロロノア・ゾロ。貴方が想像している女になってやるから!
今は、まだちょっと無理だけど、絶対、ひざまつかせてあげるから。

自分で決めた譲れない道、どんなにイヤな想いをしてもいい。
貴方に追いつくことができれば、上等。



心の中に溜め込んだ感情のやり場、困る時、ありませんか?
誰にも吐けず、独りで悩み苦しむ時。

受け止めてくれる人がいたら最高。


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