まつげの先の花びらは、劣情への誘い……




The trick of cherry blossoms




ログポースの示した先にあった島は、年中絶えることのない桜吹雪の島だった。
本物の桜を見てドクターを思い出し、つぶらな無垢な瞳に一瞬の影を落とし泣き出すチョッパーを宥める目的で、
クルーがさりげない宴会を催したのは、当然の配慮だった。

飲み、歌い、踊り、食べ、語り、笑う。
チョッパーの流す涙の種類が、良いものであるように願いながら、クルーの誰もが、はしゃいでいた。

どうせ島に立ち寄ったのだから、この島で新鮮な食材を仕入れればよいと、
GM号に積んであった食材を全て使いきる勢いで、サンジは、腕を奮った。
サンジが、作っても作っても、ルフィの胃袋に全て吸い込まれてしまうのか、瞬く間に無くなる。
半場、意地になって作り出し、大方のクルーの胃袋が満たされた時には、GM号に食材のかけらすら残っていなかった。

調理しつつも飲み歌いはしゃぎ、クルーの誰よりも動き回ったサンジが、一番に酔いつぶれたのは、当たり前だった。
サンジは、むにゅむにゅとわけのわからない言葉を言いながら、桜にもたれていたの前にすとんと座った。

ちゃん……好きだーーー!!!」
と、叫び、の膝に頭をとんと乗せ、の腰を抱えるように寝てしまった。

誰もが一瞬固まったが、そこはGM号クルーだ。めったなことでは動じない。
あたふたとしてサンジを起こそうとするを、ナミが、笑いながらとめた。

、サンジくん、疲れてるのよ。寝させてあげなさい。ほら、コレ掛けて」
ふわりとした柔らかいブランケットをサンジの背に掛け、魔女の微笑みをもって、を制した。

――仕方ないな〜。うーん。イヤじゃないし、まっいいか。

は、サンジの金糸に降り注ぐ花びらを、指先でそっと払いながら、くるりと巻いた眉毛を指先でなぞってみた。
くすぐったいのか、サンジの眉頭が、きゅっと寄せられる。
は、深く寝入るサンジの頬にそっと手を這わせながら胸の中に広がる感情のやり場に困り始めていた。

――ちょっと、可愛い……。
  あれ?可愛いって変よね?

するりと、膝を抜いてしまいたいが、普段からサンジに睡眠が足りていないのは、周知の事実。
珍しく酔いつぶれたサンジを膝の上からどけて、せっかくの睡眠を邪魔したくない気持ちと、
思いのほかサンジが自分の膝で寝てしまったのが、嬉しいような気持ちも生まれ、は、この状況を楽しむことにした。

――サンジの眉毛って、ほんとに巻いてるんだね……。ふふっ気持ちよさそうに寝てる……。
  あれ?笑ってるよ……頬が少し揺れてる。どんな夢見てるのかな?
  惜しいな〜。左目を見るチャンスなのに、しっかり左目、下にして寝てるんだもん。
  そっだ……こうしたら、寝返りするかな?

は、指先でサンジの右頬を、軽くつついてみた。

「ん……」
サンジは、少し呻き、の思ったのと逆の方向に寝返りをうった。

――やっ!やぁん!!!

こともあろうか、サンジは、完全にうつぶせになり、の足の間に鼻をうめる形になってしまった。
たまらないのは、だ。膝枕はいいが、そんな体勢は乙女としては、許せない。というか、恥ずかしい。
慌てて、サンジの頭をぐいっと掴み方向を変えることを、試みる。
しかし、いやいやをするようにサンジの顔は、下を向いたままでますますグイグイと顔をめり込ませてくる。
焦ったは、起きても構うものかと、強引に体全体を動かすのは無理だが、なんとか顔だけ横を向かせた。

――焦った……。膝枕ってエッチぃ……舐めてましたね。膝枕……。
  あれ?なんで、そのまま膝抜かなかったの……私?
  そっと、抜けばよかったなぁ……。

は、背中にある桜の大木のせいで後ろに逃れることができない。
そろそろと横に膝を抜こうとするが、今度は、サンジが、腰を掴んで離さない。
寝てるんじゃないのか!!!お前!と、つっこみいれたが、サンジは、無意識だ。完全に寝ている。
頭にきてサンジの頭を軽く叩いてみたが、反応がない。それどころか、ますます腰を掴む手に力が入る。
もぞもぞするうちに、スカートのすそがズレ上がり、サンジが起きるの覚悟で、ぱっと足を開いたら、
サンジの頭が、小股に突っ込んだ形になってしまう。そこで、サンジが起きたら最悪だ。
としては、可愛いショーツ丸見えは、避けたい。それより、サンジの頭が股間にあるなんて、御免こうむりたい。
考えただけで頬が、朱に染まっていった。

――どうにもならないじゃん?はぁ〜〜色々考えたら疲れちゃった……。

は、どきどきと動悸がおさまらなくなり、くらくらと酔いが体中に心地良く回り始めた。
軽くまぶたを閉じ、背をゆったりと桜の大木にあずけ、クルーの喧騒とは、別に聞こえる桜の花びらの舞い落ちる音と
静かなサンジの寝息に耳をかたむけ、春の日差しに誘われ眠りに落ちていった。


寝入る二人に、優しい微笑みと悪戯心の微笑み、無邪気な微笑みとブランケットをにかけ、
クルーは、桜の大木から離れ、思い思いの場所に散っていった。
残された二人を見守るのは、グランドラインから吹き付ける暖かな風と桜。慈しみ包み込むような春の日差しだけだった。




しばらくして、サンジは、夢の中で柔かな温もりに包まれた時から、徐々に覚醒していった。

――ん?なんだ……
  柔らけェーし……いい匂いだ……

麗らかな春の日差しも陰りはじめ、風に舞う桜の花びらが、寝入っていた時間を物語るように、の膝に顔を埋める形で
寝入っていたサンジの金糸の上に肩にいたるところに積もっていた。

――ちょっと待て!俺ァなんで膝枕で寝てるんだ?!
  しかも……ちゃんの膝たァどういうこった!

サンジは、がばっと、頭を持ち上げて、の様子を伺った。
は、桜の大木に背をあずける形で、すやすやと寝ている。
の肩に掛けられたブランケットにクルーの心遣いが見えた。
の身体のあちこちに積もる薄い色を落とす桜の花びらが、効果的にを儚げな淑女らしく見せ、
下から見上げる形のサンジの目に普段は入ることのない、の喉の肌が見える。
の呼吸に合わせ微かに動く白く透きとおった肌は、サンジを惹きつけた。

サンジの喉が、無意識のうちに、ごくりと鳴る。爽やかな風が吹きぬけ、サンジの頬をなでていった。
柔かな太ももから離れた頬が冷たくなり、このまま離れるのは勿体無ェと、サンジは、の太ももに頬を再びあずけた。
サンジのひやりとした頬を受けとめる膝が、突然の冷たさに慄くようにわずかに震えた。
震えた膝に、サンジは焦りちらりと薄目をあけ、の表情を盗みみるが、変化がない。

の閉じられた瞳。まつげの上にのる花びらが、の中に宿る力を、サンジに伝えてくるようだった。
瞳を開けている時は、無邪気なもので、可愛い少女。GM号の一員として仲間としてを見守ってきたサンジは、
時にからかいをこめて、時に愛しみをこめて、手に入れたいが入れれないもどかしさとか、諸々の感情を、常に
意識の外に逃して、接してきた。
しかし、今、この体勢から伝わってくる温もり柔かな感触と仄かなの身体からかおる匂いに、
サンジの雄としての本能は、刺激され下半身に熱を持ち、暴発してしまいそうな思いでいた。

――やッベェー!!勃っちまった。痛ェ……。

サンジは、もぞもぞと、うつぶせの体勢から横向きになり、背を丸く曲げ腰を引っ込めて、
己の欲望が静まるのを待つことにした。
サンジの右耳に、健やかな寝息が聞こえ、左耳にの血液の流れる音が微かに聞こえてくる。
規則正しい音は、サンジの火照りを冷ましていくようだったが、の鼻先を花びらが舞い、
刺激を受けたが身じろぎをした時に、ブランケットがずり落ち、隠されていた胸が現れた。

呼吸のたびに、隆起する胸。下からの眺めは扇情的であり、桜舞い落ちる光景との儚げな雰囲気に、
サンジは、あっさりと堕ちていった。高まる鼓動と下腹部の充血。痛みが、サンジの理性のたがを押しやるのは
時間の問題かと思われた。

――触りてェーーー!!!くっそ……ラブコックかたなしだな……

葛藤する意識は、サンジの頬に赤みをさす。

――ん……手出すわけにゃ〜いかねェーよな。

ラブコックゆえに、常に軽口をたたいてきたサンジの本心など、に伝わっているわけもなく。
口先だけで操る言葉はなんの意味もない。サンジは、もどかしさに身悶えするばかりだった。

――くっそ!ダメだ!このままじゃ我慢できねェー!!!

手を出してしまいそうな状況に我慢できず、サンジは身を起こそうとした。

「うおっ!!!なんだ!!!」

しかし、の手が、サンジが離れるのを拒むように頭を抱え込み、ゆっくり金糸を梳いた。

「ん……イヤ……」

ハッとしたサンジは緊張し、の顔を仰ぎ見た。
しかし、のまぶたは、閉じられたままで、一言発した唇は、薄っすらと開き気味だが、
規則正しい寝息を、サンジの耳に届けるだけだった。
それでもなお、頭を撫でる手は、サンジの頬も撫でていく。思いもよらない刺激に、一旦おさまりかけた劣情が、潔く
体外に流れ出していく。『やめろっ!』と、理性が軋めく中、堪え切れなかったサンジの手が、柔らかな太ももに置かれた。

ずれあがったスカートの端から覗く白い肌は、柔らかくすべらかで、サンジの手を、はねかえすような弾力の中に、
サンジの手に吸い付くようなしなやかさを、持ち合わせていた。
一旦置いた手の平から伝わってくる感触は、サンジの理性のたがを、あっさりとはずしていった。
引き返せるほどの距離を保ちながら、否、サンジは、が起きる事を怖がりながらも望み、大胆にの太ももを撫で続けた。

「起きたら、ぶっ飛ばされるな……」

自嘲気味に呟きながらも、指先は、スカートの内に入り込み触れる範囲を広げ、のお尻を目指していく。

「ん……ぅ〜ん……」

レースの縁取りのついたショーツの感触と布越しに伝わる尻の感触に、どきどきするサンジの耳に、
の軽い呻き声が、聞こえた。
サンジは、の呻き声に一瞬とどまったが、手のひらから燃え上がるような熱が全身を包む感覚を覚え、
の様子を伺いながら、手のひらをゆっくり動かした。

身じろぎしたの手がサンジの頭を離し、いやいやをするように、まぶたの上の花びらを振り落す。
花びらは、風にゆられながらふわりと、を見上げるサンジの唇に舞い降りた。

サンジは、理性の限界を感じた。唇に張りついた花びらを舌先で舐め取り口内に含み、劣情に流されていく。
の尻に添えた左手はそのままに、身を起こし右手をの背中にまわし軽く引き寄せた。

「起きてるかい?ちゃんって……寝てやがんな……」

抱き寄せたの体にしみこんだ桜の香りと降り積もった花びらが、さらにサンジを誘う。
すやすやと眠るのあごを持ち上げ、軽く口づけるが、まだは目覚めない。
は、軽い口づけに多少身じろいだが、受け入れるかのように体をすりよせてきた。

「襲っちまうぜ……」

酒に酔ったのか、桜に酔ったのか、それともに知らず知らずのうちに酔っていたのか。
サンジは、もう一度軽い口づけをおとそうとしたが、軽い眩暈を感じを抱きしめながら、ずるずると崩れ落ちた。
二人して大木の根元に寝転がり、腕の中におさまるの無邪気な寝顔が、サンジの熱を冷ますかのように微笑んだ。

「……いたたっ。頭痛ェ酔ってるな……俺。……ったく、らしくねェよな。襲うなんつ〜のは、正気の沙汰じゃねェ…」

の寝顔を上から覆いかぶさるように眺めていたサンジは、口元を歪め自嘲気味に呟く。
の背中から片手を抜きごろりと横に寝転がり、片腕はを腕枕するように抱き寄せ、桜の枝を見上げた。

サンジは、はらはらと舞い落ちる桜吹雪に見惚れながら、腕のなかで眠る少女に想いを募らせていった。
いつのまに取り出したのか、煙草をくゆらせながら空の青さと淡い桜色のコントラストに、劣情のおさまりを感じていった。




ゆるゆると時間がたち、風に夜の匂いが香りだした頃、が、寒くなったのか腕枕をするサンジの胸に鼻先をうずめ、
ぎゅっとしがみついてきた。
サンジは、ブランケットを足で器用にたぐり寄せ二人の体を包み込む。
ブランケットの温かさに、の頬がゆるみつられたように唇が、軽く開いた。

は、安心しきったかのような吐息を吐き、サンジに体をすりつけてくる。
寝ぼけているのか、サンジを誘うように甘えてきた。
考え事をしていたサンジは、一瞬焦りの顔を覗き込む。
の軽く開いた唇が意外と色っぽく、サンジに全てをゆだねるかの印象を与えた。
の顔に張りついた一房の髪を払いながら、サンジは語りかける。

ちゃん……そろそろ起きねェ?よっく寝てんなぁ……」

の頬を指先でなでながら胸に溢れる想いをもらした。

「好きだ……って、どう言えば、伝わるんだろうな」

呟きながらの頬に軽く手を添え、ゆだね誘うような半開きの唇に口づけをおとした。
何度も何度も「好きだよ」と繰り返しながら、口づけをおとす。
意識のないの答えることのない唇が、受け入れてくれればと思いながら、何度も繰りかえす。

「好きだ…ちゃん。俺のものにしちゃいてェ」

「…んん……す…き」

幾度となく繰りかえされる口づけの心地良さに、がサンジによりいっそう身をすりつけてきた時に、夢うつつの中
の緩んだ唇から、甘い吐息とともに紡ぎ出された言葉は、サンジに衝撃を与えサンジを激情へとかきたてていった。

唇を軽く合わせるだけのキスではもの足りず、サンジは強引にの口内に舌先を差し込み、の舌を捕らえ絡め味わおうとする。
軽い身じろぎを、がしているのに、気がつきながらもサンジはキスをやめようとしなかった。
無意識のうちに逃れようとする舌先を追いかけて、サンジは夢中でを追いかけていった。

怖がり逃れようとする舌の動きとは逆に、はサンジにすがりついた。
の鼻からぬける甘い吐息に、サンジは勇気づけられたように、深く唇を交わす。
サンジは、捕らえた舌先を絡めとり想いを与え誘うと、怯えていたの舌先が徐々に慣れ、サンジの舌を味わうように
誘い出されていった。

覚醒しない夢うつつの中で、は夢中でサンジの口づけを受け入れていった。
寝言のようにサンジの「好きだ」の言葉に反応し、「好き」と返し甘えすり寄り口づけに溺れていく。
想いが通じた錯覚を、サンジが覚えたのも仕方のないことだった。

長い口づけに痺れた舌先喉が空気を求め、サンジは喘いだ。
喘ぎながら繰り返しに想いを伝えようと、言葉を紡ぎだす。

「好きだ…大好きだ。いい加減目覚ましてくれねェ〜と、襲っちまうぜ?ちゃん」

「…ん好きぃ〜ぅ〜ん…ん……」

かなりの時間眠ったはずなのに、はいっこうに目覚めない。
それどころか、サンジの激情を更に煽る仕草をしていた。
は、唇が離れたことを不満に思うのか、鼻を子犬のように鳴らし身をゆだね唇をとがらせる。
これ以上、腕の中にをとどめておくと、自分が何をしてしまうのか、はっきりわかっているサンジは、
から身を引こうとするのだが、の顔を見ているとどうにも決心がつかずにいた。

腕の中のを肘で体重を支えながら見下ろすサンジの瞳に映る甘えたの表情。
サンジを求めのけぞる際に覗く白い喉に、サンジは駆り立てられ堕ちていった。

軽く唇を舌先でなぞる。舌先は意思を持ち頬をかすめあごを捕らえた。あごを軽く歯で甘噛みをして、また舌先で舐めあげ
白い喉元へと、舐め下ろしていく。喉から首筋へと軽く唇でなぞったり舌先で舐め、緩急をつけた愛撫を繰り返す。
首筋を舌が這う度に、の鼻から甘えた吐息が零れ落ち、サンジを煽っていった。

我を忘れ夢中になり、の唇からはっきりとした喘ぎ声は漏れるまで、サンジはを味わい楽しんでいた。

「そろそろお目覚めですか?プリンセス?」

サンジは、に少しだけ体重をかけ、の頭部を抱えるのとは別の手を、確かめるかのように、の胸に置いた。
びくっと、の体が震え怯えたように小さくなり、その動作の愛らしさに、サンジはくすりと笑った。
の胸を手のひらでゆっくりと擦り、繰り返し耳元で愛を囁く。

「好きだよ。起きてくれよ。犯しちゃうぜ?いいの?」

手のひらから伝わってくる弾力と芯のある柔らかさに、サンジは何も考えれなかった。
布越しに伝わる熱が、サンジを犯していく。夢中になり撫で揉むうちに、布越しですらはっきりわかるほどに、
の乳首がつんと固くなり、更にサンジの行為を誘う。
サンジの耳に聞こえるとぎれとぎれの喘ぎ声は、まどろみの中にいるの興奮を確かに伝えてくる。
意識のない状態だからこそ、本能で漏れる声は、サンジを踏み込むつもりのなかった領域にまで連れていった。
この状態で、が目覚めたら、エロコックどころではないのだが、
理性はとうの昔に消し去り、を手にしたい劣情のみが、サンジを支配しているかのようだった。

のシャツのボタンをひとつふたつと外しながら、耳元で囁く。

「悪ぃ…俺、限界」

開かれた肌の白さに眩暈を感じ、喉が鳴る。サンジの下半身の充血は最高潮に達していた。
ほんの些細な刺激でもイけそうなくらいで、先走りの汁がぬるぬると下着を汚していくのを感じていた。

ブラジャーの布越しに、手のひらで胸を包みこみ感触を楽しむ。興奮は冷めることを知らず、さらに上を目指すようだった。
つんと尖った乳首を指先で転がして、きゅっと軽くつまみ、柔かな胸の量感を楽しむように撫で回した。
の体が胸への刺激に堪えかねたように、びくびくっと動く。の反応の良さに、サンジは目を細めにやりと笑った。

サンジは、布越しに我慢が出来ず、ブラジャーをずり降ろした。
視覚からの刺激だけでイケるほど、やわなサンジではないが、喉が唸る。
がむしゃらにむしゃぶりつきたい逸る気をおさえこみ、手のひらで愛撫しながら、
耳からうなじ鎖骨と、舌先で唇で愛撫しながら、徐々に胸を目指していった。

サンジは、つつーっと触れるか触れないかの繊細な動きで、鎖骨から胸へと愛撫の先を移動させていく。
繊細な愛撫は、の体を翻弄させたようで、の体は震え腰がそわそわと動き、サンジに『もっとして欲しい』と
言っているようだった。

サンジが、乳首をそっと舐め口内に含んだ瞬間、の唇から、一際かん高い嬌声が零れた。
そして、は、あまりの快感にイヤイヤをするように身悶えした。


夢うつつ、まどろみの中で、とろとろと包みこまれるような感覚。
守られているような穏やかさの中、繰りかえされた愛の行為は、の体にしみわたっていた。
曝け出されたのは、肉体としての乳房だけでなく、の中に眠るサンジへの想いでもあった。

自分の発したかん高い嬌声に驚き、薄っすらと瞳を開ければ、そこには金糸が揺らめいていた。
思わず動揺して、身を起こし、サンジをきっと睨みつけた。

「ん?やっと、お目覚めですか、プリンセス」
「やっ!!やだっ!!何してるの……酷いよ……こんなのって……ない」

シャツを胸元で掻き寄せ、瞳に哀しみを浮かべては、サンジから視線を逸らさない。
サンジの瞳には、情欲の色とに伝えたい心が、色濃く浮かんでいた。

「悪ぃ…好きだ。ちゃん。ちゃんの全てが俺を狂わせるよ。眠ってるのに俺を誘うちゃんに
溺れちまった。俺を受け入れてくれよ。本心から好きだ。大好きだ。誰よりもちゃんが好きだ」

サンジは、少々強引にの腕を引き、腕の中に閉じ込め言葉を吐き出す。
繰り返し真剣にに想いを伝えた。は、腕の中から逃れようと抗うのだが、サンジの腕はすっぽりとを包み込み
そう強く抱かれていないのに、腕から抜け出ることを許さなかった。
繰りかえされる愛の告白は、少しづつ、の心をほぐしていった。
心がほぐれていくとともに、体の強張りもほぐれていく。サンジに身を預け受け入れていく。
そんなの様子に、サンジは励まされ、更に語りかけた。

「俺が嫌い?」
「俺が怖い?」

どちらの問いにも、首をぶんぶん振るに、サンジのまなじりが緩み、口角がきゅっとあがる。

「眠りながら、俺に、何度も好きって言ったの……覚えてねェよな?聞きたい……もう一回言って。
ねェ……俺が好きだって、言ってくれよ」

の顔を両手で包み込み、瞳を覗き込むサンジの瞳は、色々な色を為していた。
真剣な想いを浮かべる瞳。透きとおった蒼い瞳は、を溺れさせるかのようで、それでいて自由に泳がせるようだった。

「……好き。大好き」
は、そっと呟きながら瞳を閉じ、サンジの手を軽く首を振って振り解き、サンジの唇に軽く唇を合わせた。

からの口づけに、全てが籠っていた。サンジはそれで充分だった。

夜風がはらはらと桜の花びらを舞わせる中、想いが通じた二人には、それ以上の言葉などいらなかった。
熱を帯びた口づけと抱擁を飽きることなく繰り返すだけだった。



おしまい






後書きという名の言い訳。

何も言うべき言葉、ございません。
膝枕と腕枕、無意識に甘えるのが書きたかったんだが、ひねりもなんもないんだもん。
だらだらと長いこと(笑)ぬるい時間ですわなー。
挿入まで行く気だったんですが、脳内でおさまっちまったんで、以下略しました。

物書きリハビリ第一作つ〜ことで、見逃してください(笑)


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