pedicure ペディキュア



――サンジの作る料理はどれも、本当に美味しい。けどね、トマトだけはイヤなの。知ってるよね?
  喧嘩したってわけじゃないけど、サンジがトマト料理をメインで作るときは、たいていへそを曲げた時。
  私に怒るわけにいかないから、ちょっとしたサンジの意地悪。
  例えば、ルフィと仲良くじゃれあったとか。ゾロに笑いかけたとか。ウソップと釣りしてたとか。
  本当に、他愛も無いことなの。

  ほらっ、匂ってきたよ。トマトベースのソースの匂い。うっげぇ〜〜。


――ちらちらと、こっちを見ているちゃん。
  くそっオレが機嫌悪ぃの知ってっから、近寄ってこねェ。バレバレだよな。トマトの匂いで。
  ハァーオレの負けだよ。仕方ねェな、コレが惚れた弱みってやつなのかね?
  擦り寄ってきて、ごろにゃんと甘えてくる気儘さと、その気のない時のギャップ。
  堪らなく魅力的なヒップが、オレを拒絶するように、でんと、こっちを向いてやがる。
  なんだか、むかつかねェ?
 
  オレにだけ、笑ってくれりゃいいんだ。


は、ラウンジのソファに腰掛けて、足の指にペディキュアをほどこしていた。
3時のおやつの後から、機嫌の悪いサンジに、勝手にしなさいとばかりに背を向けて、それでも
サンジの目につくところで、くつろいでいる。

背中に感じるサンジの視線。熱くて燃えちゃいそうだわなんて思いながら、最後の指に筆をおろそうとした時、
ラウンジの戸に、鍵が掛けられた。

首筋に感じるサンジの指先。軽いタッチで、髪をかきあげ、うなじに誘うようなキスを落としていく。
狂うの手元。マニキュアのビンが、転がり、あざやかなの液が床に花開いていった。
サンジの指を振り解き、慌てて床に手を伸ばそうとするを、サンジの手が許さない。

の指先から、筆が取り上げられ、後方に捨てられた。


「ナニするの?もうちょっとで、終わったのに」
の示した先にある、左足の小指。染められていない指に、サンジは、そっと舌を這わせた。

ぴくりと、反応する身体。慣らされた感覚。
イヤとあらがっても、流されていく。

つま先から、ゆっくりと、上に撫であげてくるサンジの舌。からかうように、それでいて、ちょっぴり切なさの籠った唇。

思いがけない午後のヒトトキ。甲板から聞こえるクルーの声が、を我にかえらせた。

「みんなに聞こえちゃうから。ねっ。サンジ、あとで、し……」
の言葉をサンジの唇がふさいだ。甘いキスに、頭がぼうっとなり、また流されていく。
とろとろに溶ける身体。喉を這うサンジの唇。胸にかかるサンジの指先、ヒップを撫でるサンジの手。
の唇から、思わず甘い吐息が漏れそうになるのを、サンジの指先がふさいだ。

「しっ!聞こえてもいいのかな?プリンセス」
の唇にあてられたサンジの人差し指。翻弄された悔しさから、ぱくりと噛み付き、そして舐めあげた。
は、瞳に淫らな色を浮かべながら、サンジの人差し指を、根元からゆっくり舌先で転がしていく。

あっけにとられ、見惚れるサンジの顔が、おかしくて、クククッと籠った笑い声をあげた。

「もう、やめられねェな」
の身体に覆いかぶさるサンジの身体。慌ただしいセックス。
前戯もへったくれもなく、潤った肢体に、色を落としていく。
くすくすと笑いながら、受け止める


――初めてじゃねェ?昼間っから?

――声出せないのって、きついね。

見つめあうだけで、瞳から流れてくる心。伝わるのが不思議で、どうして欲しいのかも、分かってしまう関係。

――んんっ、もうダメ。イッちゃう。

――オレもイク。

秘密の時間。内緒の時間。ばれてないと、思っているのは、二人だけだった。



ラウンジから匂ってくるのは、トマトの香り、の大嫌いなトマト。
ラウンジでどんなことになってるのかなんて、クルーの一部はお見通しだった。


「ん??小指だけ、ペディキュアしてないじゃない?どうかしたの」
分かってるくせに、ナミはからかいの笑みを浮かべて聞いてみた。

「なんだ?この染みは?おお?のツメと一緒の色だ!」
床の染まった所を見て、ルフィは分かっていないが騒ぎだした。

「ハァー、船汚すなよ。またニス塗り替えじゃねェか!オレの仕事を増やすなっつーの!」
分かってるが、仕事が増えて不機嫌なウソップ。

、オレの尻の下に、なんでこんなもんがあるんだよ!」
差し出されたゾロの手にある、マニキュアの筆。サンジが後方に投げたあと、探しても見つからなくって諦めたのに、まさか
ゾロの椅子の上だったなんて、赤くなったり青くなったり白くなったり、の顔色は、めまぐるしく変化した。

?病気か?顔色悪ぃぞ?」
心配になった小さな船医チョッパーが、のおでこに手をあてた。

“ガッシャーーーーーン!”
響き渡るナベを落とした音。ゾロのセリフまでは、にやにやといやな笑いを浮かべて、を見守っていたが、
チョッパーの手がのおでこを触った途端に、サンジの嫉妬の炎が、また燃えあがった。

『やれやれ、まただよ』
と、分かる者は、そそくさと食事を済ませ、ラウンジを後にした。
途端に凍りついた雰囲気に、分からない者も、敏感に感じとり、慌ただしく食事を詰め込み、ラウンジを飛び出して行った。


にそそがれるサンジの蒼い眼。めらめらと燃える炎が見えそうで、嬉しいのか困ったのか、は顔を上げられなかった。

サンジは、の指先から、マニキュアの筆を抜き取り、ビンにひたしてゆっくりと掻き混ぜた。
固く乾いた筆が、の液に満たされ、しなやかさを取り戻していった。

膝を抱えて、椅子の上でまるまるの前に、サンジはひざまづき、残された小指に、色を落とした。

あざやかなの花が、咲いた小指。

「完成したよ、ちゃん」
にっこり笑うサンジに、は飛びついて噛み付いた。

「全部!あんたのせいでしょがーーーーーー!!!」
ぽかぽかと、サンジを叩きながら、赤く染まる頬が熱くて、クルーにどんな顔見せたらいいのか、頭が混乱していく。

「罰として、手の指のマニキュアもして頂戴!ああ、髪もシャンプーよろしく」
ぷくっと頬を膨らませ、女王さまのように命じる

「おおせのままに、プリンセス」
極上の笑顔を見せるサンジ。

女王様と下僕。

――ねぇ?今晩のセックスは、女王さまバージョンでも、いいかしら?










シャオ宅で踏んづけた6万打キリリク権。
踏みすぎちゃってごめん!!
リクエストするのが申し訳無かったので、逆にリクエストして頂きましたv

リク内容
「サ、サ、ッ・・・・ッ・・・サ、サンジにマニキュア塗って欲すー。
ンなのヤダよ!!って時は、サンジに髪を結んで貰ったり・・・。
(どうやら、サンジに世話を焼いて欲しいらすー)
・・・・ぎゃー。乙女リクだ!!ジタバタ 」
でした。(もろ、引用すまぬ。許せシャオちゃん)

ひぃ〜〜鍋かぶって、とんずら!!!



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