Dear

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その後


 さて、どうしたもんか。
 現在、おれの目の前にはさんとナミさんが腰掛けて、優雅にティータイムを楽しんでいる。
 自覚すらしていなかった恋心、悟った瞬間は最悪。くそ腹巻に持ってかれて自覚即失恋。
 自己最短記録じゃねェ? マジ、恋のハリケーンは突然? アホだろ、おれ。

 はぁ〜最悪。なんで、ここでナミさんに相談もちかけるわけ?
 おいおい、おれ給仕してるんですけどねェ〜、しっかり耳ダンボで聞いてるんですけどねェ。

 クソハゲマリモは体だけが目当てじゃないかって?
 毎晩毎晩、やられまくりでついていけないって……おい、んなこと聞きたかねェよ。
 なんで、そういう爆弾発言かましてくれんの? 即行で逃げ出してェ。おれの耳のバカ!

「サンジくん、どう思う。男としての見解は? 」
 ナミさん、こっちに振らないでくれよ!!!
 知るか!!! んなもん!!! 答えたかねェよ!!! むごい、むごすぎっだろーが!!!

 期待に満ちた瞳で、さんはおれを見上げる。
 あ〜可愛い。かわいいったらありゃしねェ。鼻の下のびちまう。びろびろり〜んでメロメロリ〜ン。んな顔でみつめられちまったら、答えねェわけにはいかねェ。

「まぁ、男ですからね。当然、レディより子孫を残したい本能は強いでしょう。おれ達は、命をやり取りをする家業ですから、いつ死んでもおかしくない。だからでしょうね、平和な環境にいるものより、性欲はより強い。死と隣り合わせの人生だから、できるだけ、自分の種を残したいって本能がはじけちゃってんですよ」
 そりゃ、男だから、性衝動はとめれんだろう。
 しかも、ありゃ獣だ。野獣だ。今まで、ストイックだっただけに、恋人ができて、本能を刺激されたときゃ、出しても出しても、萎えねェだろうな。
 恋人いねェけどおれも似たようなもんだ。戦闘後の抜かずの何発なんか、ラクにできる。
 あっ、やべっ。ちびっとナニが反応しちまった。いかん、落ち着けおれ。ここで勃ったら最悪だろ。

「サンジくんもそうなの? ゾロだけ? 」
「サンジくんは、普段からエロコックで発散させてるから、そうでもないんじゃない? 恐れおおくて崇めるように抱くんじゃない」
 な、ナミさん、さらっと茶噴くこと言わないでください。なんで、おれの性生活まで干渉されなきゃいかんのでしょうか? マジ勘弁してください。

「おれのことはおかまいなく」
 さらっと流して、紅茶のおかわりをそそぐ。

「ゾロは誰でもいいのかなぁ〜」

さん、海の上ってさ、逃げられねェぶん、過酷なもんだよ。好きだったのに嫌いになったり嫌いになられたら最悪じゃねェ? 男ってヤツはさ、性欲はたまるもんなわけ。相手の意思なんか無視してそれこそ男のケツでも性欲が解放されるなら掘りかねねェくらい、やりたくてしかたねェときもあんの。誰だってあるもんなの。それを理性でおさえて、定期的に自己処理して出さなきゃいけないわけよ。さんに出会うまで、マリモだってそうだっただろう。面倒だから、女を抱きたくても自己処理。生半可な気持ちで、船の女に手ェ出して、惚れたはれたで感情を乱されたりするなんて、面倒くせェんだよ。あいつが面倒くさいの苦手だって知ってるでしょう」
 はぁ〜なんで、おれがここまで言ってやりゃなならんのだ。マリモの弁護なんかガラじゃねェつ〜の。

「それでも、マリモはさんに惚れてっから、何度も抱きたいんだよ。誰でもいいんだ、なんて思ったらダメだ。いくらミドリハゲで同情しちまう」
 はい。さっさと恋人んとこ戻ってください。

「……サンジくん、男のケツでもほりかねねェと自己処理ってなに? 」
 じっと何かを考えていたさんが、首をかしげて聞いてきた。
 ナミさんは、紅茶をおれの顔に噴出して、げほげほむせて涙目で大笑いだ。

「あ〜ナミさんの口から愛の雫が、おれを溺れさせ、満たしていく〜〜〜はぁ〜幸せv」
 って言ってる場合か!
 頭いてェ……。
 ナミさん、そこまで笑いますか? 鼻たれてますよ。
 はぁ〜頼む、筋肉ダルマ、さんを今すぐ引き取ってくれ。

「なんか変なこと聞いたかなぁ? サンジくん? 」
 頼むから、回答を求めないでください。んな、きょとんとした顔は危険すぎます。
 ナミさん、笑いすぎ……。豪快にのけぞって笑うから、おっぱい揺れまくり。ゆさゆっさゆっさ、ぶるんぶるん。いかん、勃つ!

 おれは、顔洗ってきます、とごまかして、その場を逃げ出した。



 トイレでさっぱりした後、甲板でのんびり昼寝をしているマリモを見つけた。
 こいつのせいで! と思わないでもないが、おれはフェミニスト。さんのために、余計なお節介をしてやる。

「クソマリモ、腰使う暇あったら、口使え」
「んぁ、エロいな、それまだやってねェ。あいつ、舐めようとすっと泣くからな」

 ……蹴ってもいいか?
 思わず、むっつりとさんの絡みを思い浮かべちまったじゃねェか。胸の奥がちりりと痛ェ……くそっ! マジ、蹴り殺してェ。

「エロボケハゲ、さんな、『体だけが目当てだ』『誰でもいいのかな』ってさ。てめェ、言葉が足りねェんだよ」
 くそ、なんでおれがこいつに説教せにゃならんのだ。

「わかった。礼を言う」

 今、なんつった!? てめェがおれに礼を言う? 冗談だろっ? 気色わりィ〜たらねェ。
 ああ、そっか。さんのことだから、素直に受け入れるわけか。調子狂うって〜〜〜〜のっ!!!

 ペコリと頭をさげるマリモを見ていたら、なんだろうな〜これ。むかつくのにな、むかつくのにな〜良かったな、なんて思うおれがいたりして、結構複雑だ。


 さん、前言撤回してもいいかな?
 おれ、心臓どころか脳みそが持たないんで、今後一切、マリモ関係の相談ごとは受け付けません。

 つかさ、もうおれんとこ、くんな。



2010/1/31


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