笑顔
「ゾロって台風みたい」
は刀の手入れをしているゾロの横で頬杖をついて寝転びながらそう呟いた。
ゾロはいつものことだと思って無視して黙々と手入れをしている。
甲板には二人しかいない。他のクルーは船尾に居るか
各々の部屋に居るらしく時折楽しそうな声が聞こえてくる。
「なんかさ〜いつも眉間に皺よってるし
怖いオーラしか出てないしゴツイし血の気多いしさ〜。
台風みたいな感じだよね」
足を曲げヒラヒラと回しながらのほほんと一人話す。
ゾロの額に浮き出る血管が増えてる事に気づいてるのか気づいてないのか
そのまま話し続ける。
「でも台風だとかっこよすぎるかな?嵐?一緒かな…
ん〜……不機嫌注意報?いや、警報か!」
「…喧嘩売ってんのか?」
横でケタケタ笑い転げるに耐えられなくなったのかゾロが
それだけで人を殺せそうな眼とドスの効いた声でのほうを向いた。
「ゾロに喧嘩売るなんてするわけないじゃん」
は笑いながら両手を挙げ降伏の合図をする。ゾロは訝しげな顔でを見る。
「だからさ、笑顔とかって自分も楽しいし近くに居る人も楽しい、幸せな感じになるでしょ?
ゾロはいい顔で笑うのにもったいないなって、
そういう想いをこめた意味なの」
は膝立ちでゾロの眼前に立ちジャケットのポケットから小さな紙袋を取り出した。
「お誕生日おめでとう。これからもゾロが頑張れますように。
幸せになりますように」
はいつもの明るい笑顔ではなく穏やかな微笑みを浮かべゾロに紙袋を手渡した。
「…そうか。今日は俺の…」
ゾロは面食らった顔で手渡された袋を見ている。
「あのね」
は照れながら上目遣いでゾロを見上げる。
「ゾロは端から見れば台風や警報レベルの怖い感じだけど
でも、私にはいつも快晴なんだよ。洗濯物がよく乾きそうなくらいに。
だから私はいつもゾロの傍で笑顔で居れるんだよ」
今度はいつも通りの明るい笑顔のが居た。
「何言ってんだお前…」
ゾロは謎だといわんばかりに皺をよせてを見る。
「あはははは。まぁいいや。
とにかくおめでとう。それ、ちゃんと使ってね?」
は立ち上がり手を軽く振りながら部屋へ入っていった。
「…ったくいつものことだがアイツはわかんねぇ」
ゾロはゆっくりと息を吐き柵にもたれた。
手のひらに丁度入るブルーの小さな紙袋。強風が吹いたら飛んでいきそうなほど軽い。
紙袋をそのまま上に掲げてみる。
空の青と同化しそうな紙袋。
ゆっくりと紙袋を下げて空の青だけ見る。視界には広い青しか入らない。
ふとさっきのの笑顔を思い出す。
いつも自分の傍で笑ってくれるあの顔を。
ゾロはそのままゆっくりと目を閉じた。瞼越しに日の光を感じる。
「…サンキュ……」
口の端を上げゾロは呟いた。
その声はゆっくりと青い空と回りの空気に包まれて消えていった。
「ウタカタ。」満奈様より、ゾロ誕DLFで頂きましたv
ゾロがゾロらしく、一言一言が、うひゃ〜脳内で変なスイッチ入りました(ぽてっ)
ヒロインは激ツボvうきゃ〜〜売ってみたい!!
ゾロに喧嘩売ってみたーーーーーーーーーーーい!!と、悶えたっす。(アホか??私は?)
満奈さま、ありがとうございましたv