バトルフランキー号の攻撃に傷ついた体と、汚ェ世界政府の仕打ちに傷ついた心。トムさんの一番じゃなかったんじゃねェかって悲しみ。
そして、愛するの心を奪っていったフランキーに対しての哀れみ、いや怒りもあったな。
そんなもんを全部、にぶつけちまった。
俺は、が五つの頃から十四年、ずっと愛しんできた女の体を無残に引き裂いた。
は、初めてだった。ンマー、初めてがアレだとは、俺は情けねェな。それなりに経験だって積んでるのによ。
気がついたときは……もう遅かった。俺は、愕然とした。しかしだ、たまらなく愛しいの中にいて、俺が止まれるハズがなかった。止まるべきだったがな。無理だった。まったく情けねェ。は、痛いだけだっただろうよ。
フランキーが『二十まで待て』という約束を守っているとは、思えなかったからな。
俺が育てた花は、最もの幸せを願った俺の手で散らしちまった。十四年待って、待ち望んだ結果、俺は全てをぶち壊した。
傷を舐めあう行為のあと、声を出さずに泣くを、どうなだめればよかったんだろうなァ。
俺に背をむけて声を出さねェで泣くを、俺は……腕の中に抱くことすらしてやらなかった。抱きしめたら、心があふれ出ちまいそうで……俺まで背中をむけちまった。
「愛している」
と告げることだってできた。だが、俺は言えなかった。
トムさんが受けた仕打ち、それが俺の身にふりかからないわけがねェ。
俺の手に最悪の戦艦「プルトン」の設計図があるかぎり、ニコ・ロビンという不安要素があるかぎり、俺は、普通の幸せを追ったらいけねェ。
一晩中考えて、俺は泣き疲れて眠っちまったが目覚める前に、の前から姿を消した。
が眼を覚ましていたら、俺は「愛している」と口走ってしまっただろう。口に出してしまったら、もう無理だ。離れられなくなっちまう。
の心にフランキーがいたとしても、俺はをずっと離せねェしな、愛することをやめれやしねェからな。
ンマー、だから、が寝てるうちに出て行くことにした。残されたの気持ちも考えねェで、俺は身勝手な男だ。
いつか、が俺を許してくれる日がくるかもしれねェ。俺を愛してくれるかもしれねェ。
ンマー、それでもな、俺はに愛をささやいちゃいけねェんだ。それは、俺に科せられた罰だから。
町のうわさで聞いた。
『凶暴なトムの弟子、カティ・フラムは死んだそうだ。海列車に引かれて……』
ンマー、バカヤロウが。てめェが死んだら、を幸せにできるやつがいねェじゃねェか。
俺に残されたものといったら、世界一の船大工トムさんの一番弟子という腕とプルトンの設計図。
そして、一生叶わない愛。いや、叶える気のない恋だ。
俺は、いつかに好きなやつができるまで、を見守るしかねェ。いや、他のだれに盗られようが、俺がを見守ることを死ぬまでやめることは、できねェよ。
俺は何者でもない自分自身に誓った。
「、お前を一生、守りぬく!!!」
そして、トムさんに……誓った。
「俺は……この町を変える!!!」