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これは二人が結婚して、卓が生まれたころのお話です。
「ほ〜ら卓、ママですよ〜」
「キャッキャッ!!あ〜う〜」
もみじのような小さな手を蘭世のほほにのばす。その手を軽く俊がつかむ。
「こ〜ら、だめだぞ卓。」
「大丈夫よぅ。」
蘭世が俊に呆れたように言う。
「それにそんなこと言ったって卓にはわからないわよ。」
「それもそうだがな・・・。」
そう言って顔を見合わせた二人はプッと吹き出す。
蘭世の長い黒髪は後ろで一つにまとめてあるにもかかわらずぐしゃぐしゃに乱れており、俊の顔には卓に撫でられたであろうミルクの筋が何本か残っている。
卓は隙さえあれば蘭世の髪の毛を引っ張ることが多い。なぜか蘭世が添い寝して眠るときなどしっかりとつかんで離さない。(やはりカルロ様の生まれ変わりだから?by作者)
蘭世のしっとりと艶やかな黒髪はたいてい卓を寝かしつけたあとはあちこち跳ねている。
・・・・まさか・・とは・・・思うんだが・・な・・・・
卓はカルロの生まれ変わりではないかと思うが、あくまでも二人が愛し合った証拠の子供だ。どうしても卓が蘭世の黒髪に執着しているのを見ると気になってしまう。
よって蘭世が添い寝から俊のところへ戻ってくると俊はつい
「今日も派手にやられたな。」
「そうねぇ、よっぽどつかみやすいのかしら?」
「・・まぁ、あかんぼだしな、手でつかみやすい量だけつかめるからな。風呂入ろうぜ。」
「!ええ・・・いいわよ・・私・・・だって・・・・」
などといいながら強引にバスルームへと連れ込み、蘭世のたわわな黒髪をきれいに洗髪するのが日課であった。
「・・・気持ちい〜。」
俊の指先が蘭世の頭部をマッサージするようにやさしく洗う。その声に俊は背筋がぞくりとする。いつもならば蘭世の体調を考えてそんな気持ちは起きないはずなのに。
「・・・そうか・・」
「・・・・なぁ・・・」
「なぁに?」
俊は手の平で温められたトリートメントを伸ばしながら蘭世の耳元に口付ける。
吹きかけられる吐息に蘭世の身体に電流が流れる。
「・・も・・う・・だめぇ。」
ここのところ出産と卓の世話とでくたくたの蘭世を思いやって俊も手出ししないでいたが、やはりそこはそれ、夫婦である。さっきの艶かしい声で俊のスイッチがオンになってしまった。俊は蘭世の髪全体にトリートメントを伸ばしきるとそのぬめった手のまま背後から蘭世の2サイズは上がった乳房を包み込む。
「・・・ここは・・」
「・・・・ん・・・ふぅ・・・」
「・・・・卓の・・・だけじゃ・・ないんだぜ・・?・・」
「・・あ・・・ん・・・・・」
卓の小さな手のひらで触られるのとは違う官能的な、そしていつもの俊の手。
「・・大きいな・・・」
「・・・・いや?・・・」
「・・・別に・・・・どっちでも・・・おまえだから・・・」
蘭世は蘭世で俊を構っていないことはわかっていたが、それでもやさしい俊に対して愛が深まっていたのだ。
「・・・うれしい・・・・」
出産前と変わってしまった自分の身体に少なからずコンプレックスを抱いていたことは俊ならずともわかる。ましてや俊はその気になれば蘭世のすべてを見通すことが出来るくらいだ。
互いの素肌でのふれあいに熱が上がる。
「・・ん・・・んん・・・・ふ・・はぁ・・・ん・・・・」
俊の指先が蘭世の身体をピアノを弾くように滑らかに動く。
「・・あ・・ああん・・・んん・・・」
「・・・前より・・・敏感なんじゃ・・・ねぇか・・・・」
「・・そん・・・な・・・こと・・・・ない・・・もん・・・・」
そろそろ黒髪にもトリートメントが行き渡っているころ、俊はバスタブからお湯をすくうと蘭世の髪に緩やかにかけ流した。
「・・・ん・・・ふぅ・・ん・・・・・」
「さ、いいぜ。」
専用のタオルで蘭世の髪を巻き上げると俊は滑らないように足元の泡を流しきり、蘭世に囁きながら指先を股間に差し入れた。
「・・・部屋にいっちまったら卓のことが気になんだろ?」
「・・・ん・・・ん・・・・はぁ・・・・ん・・・」
「ここで・・・するか?」
「・・・ふぅ・・・ん・・・・・・」
否定の言葉が無いのを肯定とみなし、俊は手を離すと先に湯船に入った。
「・・・おいで」
操られたように蘭世は湯船に足を踏み入れ、俊に背を向けたスプーンスタイルで入ろうとするが俊はそれをやめさせ自分の方をむかせる。
「・・?・・・・」
不思議そうに蘭世がそれでも素直に従うと俊は思い切り蘭世の乳首に吸い付いた。
「んん!!!・・はぁ・・・ん・・・」
卓とは違う唇、慣れ親しんだその感触は蘭世をとたんに燃え上がらせる。
「・・・卓にだけ独占させるのは・・・惜しいな・・・」
「・・は・・ああん・・ん・・・はぁ・・あ・・・あああ・・しゅ・・ん・・・」
途切れ途切れにあがる声は紛れも無く、俊のためだけに紡ぐ。
少し強めに吸い上げると俊の口の中に生暖かい液体が流れ込む。
「・・ん・・・・?」
その初めて味わう、それでいて懐かしい味に俊の下半身はいきり立った。
「・・あ・・あああ・・・やぁ・・・だめぇ・・・・」
俊は蘭世の否定を意に介さず腰を抱いていた手を湯船に落とし中心部へと進める。
「・・・や・・・あ・・・・ああ・・・はぁ・・・」
湯のさらさらした感触とは違い、ぬめりのある液体でそこは熱く潤っていた。俊は試しに指を一本だけ挿入する。
「んん!はぁ・・ああ・・・」
そこは怪しく動き、俊の指を緩急をつけて締め付けてくる。
・・・・やっぱ産んだあとは違うって本当だな・・・・
今まで感じたことがない動きを俊の指に与えてくる。俊はうれしくなって指をさらに増やしていく。二本・・・三本・・・・。蘭世はそのたび快感に身体を揺らす、それにあわせるように俊は指を上下に動かす。そのたびまるで吸い込まれてしまうのではないかとの錯覚に陥る。
蘭世の両手は身体を自分で支えきれないらしく俊にしっかりとしがみついている。
「・・・あはぁ・・ああ・・ぁぁ・・ん・・・うん・・んん・・あん・・はぁ・・・」
絶え間なくあがる蘭世の声がバスルームに反響して俊の耳元をくすぐる。
「・・・すげぇ・・・いいぜ・・・・」
「・・ん・・・んん・・・ふぅ・・ん・・・・しゅ・・ん・・・ねぇ・・ああ・・・」
「どうした?」
蘭世の体がさらに熱を帯びてくる、湯船の温度はそれほど高くしていないことから快感が高まっているのだろう。わかっていながら俊は蘭世を焦らした。
あと一歩で絶頂に達するであろう蘭世の胎内から指を引き抜いた。
「・・はぅ・・・ん・・」
肩で荒い息をしながら蘭世は俊の腿にへたり込む。俊はそんな蘭世の調子を見ながらざばっと立ち上がり湯船の縁に腰掛ける。
「・・ひさしぶり・・だろう?」
その言葉の裏に何があるかわからない蘭世ではない。蘭世は可憐な唇を小さく開けると俊の怒張の先端に口付け、軽く吸う。
・・・・う・・・・
俊は心でだけうめく。いつだって優位に蘭世を快楽に導いてやりたいのだ。
少しづつ蘭世の口中に収まっていくが半分くらいのところですでに先端が蘭世の喉奥に当たるくらいになる。その不自由な中で必死に俊のそれに舌を這わす。
久しぶりのその感触を俊は存分に味わうと、蘭世のあごを持ちあげるように自分のを口から出させる。
蕩けきった顔を俊に向け、瞳は快感に潤んでいる。俊は自分と蘭世の位置を入れ替えると蘭世の足を強引に開かせた。
「・・や・・いや・・・」
思わず顔を両手で覆い、恥ずかしがる蘭世。
「・・・・見ないで・・・」
・・・恥ずかしい・・・
子を産んだ自分の身体を俊に見られること。
「・・・・かわらねぇよ・・・前のまんまだぜ・・・・」
一枚、また一枚と薄皮を剥ぐように蘭世の警戒心を解いていく。変わってしまった自分を苦悩していたことを知っていたから。
・・・・また前のように抱きしめてくれるか?
その答えは最初から決まっているのに。俊を愛していることには絶対の自信を持つのに自分の事となるとてんで意気地がなくなる。蘭世のよいところであり悪いところでもある。
・・・・そんなに俺は・・・伝えてないのか・・・・
ある意味自信を無くしそうになるが、俊はそれをすべてをかけて一生伝えていくつもりである。いつかいっしょに眠るときまで。
俊の舌が蘭世のあふれ出る泉から蜜を掬う。
「・・はぁ・・・あ・・・ああ・・・・ああ・・」
何度も繰り返しその行為を行い、そして気持ちを心で、熱で伝える。
・・・・他の誰でもない・・・おまえだけが・・・いればいい・・・・
・・・卓もいつかは俺のようにすべてをかけて愛する女性を見つけて巣立っていく。だからおまえだけ・・・残れば・・・それで俺は・・・構わない・・・
俊は舌先で敏感な芽を捏ねながら指を胎内に挿入した。
「・・・んん!!はぁ・・ああああん・・・・しゅ・・・ん・・・だ・・・め・・・」
「・・いいぜ・・・・・」
「ああん!・・も・・・もぅ・・・ああ・・・・あああああ!!!!!」
指をこれ以上も無く強く締め付けると蘭世の全身から力が抜け湯船の俊の方へ滑り落ちる。難なく受け止めると俊は蘭世のまだ引くつくそこを自分自身で貫いた。
「・・ふくぅ!!!・・んん・・・ああ・・・・やぁ・・・・・」
上りきった快感の曲線が落ちることなくさらに加速度を増して上を目指し始める。
「・・・やぁ・・・やぁ・・・・・ああ・あ・・・・ああ・・」
俊の腕は蘭世をしっかりと支え、それでいて腰は湯の揺れにあわせて波打つ。
上下に揺すられ、奥深く突かれるその感覚は蘭世の身体をただ熱い愛の中に叩き込む。
「・・・あああ・・・だめぇ・・・やぁ・・ああ・・・ああ・!!!」
再度の絶頂感を迎えるも俊は蘭世を解放しない。それどころかさらに激しく胎内をえぐりもっと上へと連れて行こうとする。
「・・やぁ!・・ああ・・やぁ・・め・・てぇ・・・しゅ・・ん・・・」
今まで感じたことがないそれに快感よりも恐怖が襲い始める蘭世の唇を俊は下からふさぐとしっかりと抱きしめる。
・・・・・俺が・・・俺と・・・・いっしょだ・・・・
しずかに揺らしながら俊は蘭世と舌を絡ませ、唾液を絡ませる。
「・・ん・・ふぅ・・ん・・・」
俊に守られている安心感から蘭世の肢体がただ、二人の結びつきを求めて曲線を描き始める。胎内は俊の分身に絡みつくように締め付け始めた。
「・・・はぁ・・あ・・・ん・・・ああん・・・ん・・・くぅ・・ん・・・」
「・・蘭世・・・・」
・・・・・愛してる・・・・・愛してる・・・・・
俊の言葉だったのか?蘭世の言葉だったのか?分からないまま蘭世は今まで味わったことが無い絶頂を迎え、俊は蘭世の子宮深く精を放出した。
ぐったりと意識を手放した蘭世にバスタオルを巻きつけ、寝室のベッドへと運ぶ。
・・・ちょっとやりすぎたか?・・・
出産後初めてとはいえもう半年以上おあずけを食らっていた俊としては押さえが利かなかったらしい。ひんやりしたベッドに横たわらせても一向に眼を覚ます気配すらない。俊は蘭世をそのまま寝かせるとドア続きの書斎に置いてあるベビーベッドを覗きにいく。
「あ〜う〜だ〜」
お目覚めのようだ。卓は目覚めは機嫌がよいタイプらしい。俊に懸命に手を伸ばす。ひょいと抱き上げると俊は卓に
「頼むぜ、たまには俺の奥さん返してくれよ?」
覚えていないだろうと思いこのせりふである。要するにやきもちだったわけだ。俊は卓を抱っこしたままキッチンへ向うとミルクを手馴れた様子で作り卓に飲ませる。
・・・・しばらく後蘭世がようやく失神から覚め、階下のリビングで見たものは、最も愛しい二人の男がソファで眠っている姿であった。
・・・やっぱり親子ね、そっくりだわ・・・・
終わり |