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「しゅ〜〜〜ん〜〜〜〜〜〜ここ、ここ。」
ぽんぽんとソファの自分の隣のクッションを叩く。
「いるじゃねぇか。」
「そ〜こ〜じゃ〜な〜い〜〜〜〜」
ほんのり染まった頬。
ぷくっとした唇。
・・・・だけなら良かったなぁ・・・・
すわった眼。
を見て俊はそう思った、午前0時の日付変更線少し前。
ー時刻は1時間ほど前にさかのぼる。
「明日は誕生日だから。」
とそう言って俊はゆっくりと二人で飲もうと蘭世でも飲みやすいと思われる甘いアルコールを持ってくる。
自分用はもちろん別のものだ。
「一番最初におめでとうって言ってね。」
にこにこと蘭世は俊に言う。
「結果そうなるじゃねぇか。」
「その前に寝たりしないでね〜って意味よ。」
軽いおつまみを準備して蘭世が俊の横のソファに座る。
「乾杯。」
軽い音でグラスを合わせて一口。
「あ、これおいしい♪。」
「そうか。」
「すごく飲みやすいね。」
「そりゃよかったな。」
「ん〜〜おいしい〜〜〜」
他愛もない話をしながら蘭世はそれなりのペースで飲んでいく。
俊も相槌を打ったりしながらマイペースで。
笑ったり、考えたり・・・
とふと気が付いた時には蘭世用のお酒の瓶の底が見えていた。
「・・・・おい。」
「なぁに?」
とろんとした視線を俊に向ける蘭世。
「そろそろやめたほうが・・・・」
「え〜〜だっておいしいよぉ〜〜〜これ〜〜私でも飲みやすいし〜〜」
「・・そ・・・そうか・・・」
俊を見つめるその瞳がいつも以上に艶っぽく見えて俊は強く止めることができなかった。
「えへへ〜〜〜」
そういいながら自分のグラスにお酒を注いで今度は一気に煽った。
「ちょっ!・・・まてお前・・・」
「ほ〜ら〜〜俊も〜〜〜飲んで?」
さっきまではもうちょっとまともに喋れていたはずの蘭世の呂律が怪しい。
「お・・・おい・・・」
「ね〜〜〜すごくおいしいね〜〜〜ね〜なんで、このお酒今まで教えてくれなかったのぉ〜〜〜〜」
「いや、教えないとかじゃなくてな・・・」
「ね〜〜〜ってば〜〜〜〜ず〜る〜い〜〜〜」
「いや、だからな。俺も最近知ったばかりで。」
「最近って〜〜え〜〜誰かと飲みに行ったの〜〜〜。」
「そうじゃねぇって、日野のやつが・・」
「日野くん?日野くんってなんで?」
「なんで・・・・っておい?」
「え〜えへへ〜〜〜ほんろに日野くん〜〜??」
「おい、もうそれくらいにしとけって。」
「や〜だ〜よ〜おいしい〜〜〜」
俊が蓋をしようとした瓶を取り返す。
「えへへ〜〜このお酒美味しいね〜〜ね〜〜?」
同意を求めるように小首を傾げ上目使い。
「・・うっ・・・」
対応に困った俊はとりあえず水と思いキッチンに向かう・・・・・・
という状態だったわけで・・・・
冷たい水を満たしたコップを手に俊は困り果てていた。
「こ〜〜こ〜〜〜に〜〜す〜〜わ〜〜る〜〜の〜〜〜〜」
既に酔っ払いの域を超えているような蘭世。
抵抗するのもあれだなと思い俊は諦めてクッションをよけながら座る。
「ほら、水。」
「いや!」
ぷいっと横を一瞬向くと顔を戻して破顔一笑。
「えへへ〜〜〜お酒っておいしいね。」
と繰り返す。
・・やれやれ、明日は二日酔いだろうな・・・
と思いながら俊は水をテーブルに置いた。
「しゅ〜〜ん〜〜〜〜」
「へ〜へ〜」
びしっと指差すそこはリビングの時計。
針は0時を指すところ。
チッチッ・・・・針が重なる。
「誕生日おめでとう。」
「わ〜〜〜い有難う!!!嬉しい!!!お祝いを一番にもらった〜〜わ〜〜い〜〜〜!!」
子供のようにはしゃぐ蘭世。
「いくつになるんだ?」
「それはいいの!有難う!!!一緒にいる〜〜」
そう言って蘭世は俊の膝に乗り抱きつくと唇を重ねた。
「ん・・・・」
重なった唇から甘くアルコールの強い香り。
俊がそれ以上をしようとした瞬間蘭世の方から舌を絡めてきた。
「・・ん・・・んん・・・」
深く、甘い。
「プレゼント、欲しいの。」
そう言いながら蘭世の瞳が俊を射抜く。
「欲しいの・・・」
指先が俊のシャツのボタンをはずしていく。
「お・・・おい・・・」
「ねぇ・・しゅ・・ん・・・」
首筋に抱きつき、耳たぶを噛む。
「・・うっ・・・」
初めての感覚に俊はたじろぐ。
「うふふ・・」
蘭世は微笑みながら首筋からゆっくりと胸元へと唇を動かしていく。
チロチロと這う舌先の熱さが俊の素肌を攻めたてる。
「・・・・お・・おい・・・」
「ねぇ・・・・もっと・・欲しいの・・・」
唇が俊の乳首へと到達するとカリッと軽く蘭世は歯を立てた。
「・・・ううっ!!」
その感触に全身が粟立ち、俊の背筋にぞくりとした快感が走った。
「しゅ・・ん・・・」
舌を伸ばして固くなっていく俊の乳首を嘗めあげる。
初めての感覚に俊は戸惑いながらも抵抗ができない。
これほど艶めかしい蘭世は初めてだったから。
「・・・・もっとぉ・・・」
もう片方の乳首を蘭世の指先がつまむ。
「・・うっ!・・・」
しばらく執拗に攻め立てた後、蘭世は躰を俊の膝の間になるように下すと唇と胸から腹部へと滑らせた。
「・・や・・まて・・・おい・・」
慌てて身体を起こそうとする俊を下から蘭世はねめつけるとその瞳に射抜かれたように俊は動きを止めた。
「・・うん・・・そのまま・・・・」
小さく囁くと蘭世の手が俊のパンツに触れる。
布越しにそれを感じる部分に。
「熱い・・よ・・・」
「・・・そりゃぁ・・な・・・」
「・・ん・・・」
いつもなら絶対しないであろうそんな瞳で蘭世は俊の腰に手をかけパンツを引き下ろした。
勢いよく俊の雄が飛び出してくる。
一瞬のためらいののち蘭世の唇がそれに触れた。
「・・・くぅ・・・」
まだ、経験のないことだった。
させたくないといえばうそになる。
だがまだなかなかそこまでは・・・とためらっていたのも事実。
何度か唇をふれさせた後蘭世はそれ自身を口に含んだ。
「・・・・はっ・・・」
いつもとは違う場所の粘膜の感触に俊は驚く。
むくりと蘭世の口内でさらに質量を増す。
「・・・っ・・・」
苦しげに眉根を寄せながら蘭世はおずおずと頭を振った。
「・・・くぅ・・・は・・・うっ・・・」
初めての感覚に俊は快楽を隠せず思わず蘭世の頭に触れる。
「・・・?・・・」
「・・・・・すげぇ・・・いい・・・」
俊は素直にそう言うと蘭世は嬉しそうにその稚拙ながらも懸命な行為を続けた。
くちゅくちゅと動かすたびに隙間からもれる音が俊の耳に心地良い。
「・・・・・うっ・・・くぅ・・・・・・はっ・・・」
こらえようとする俊の唇から小さく声が出る。
「・・・・・・」
ふと動きが止まったので俊が自身の下半身に座り込む蘭世に目を向けると見上げる蘭世の瞳。
視覚的にその風景にーキタ。
「・・・もっと・・・してくれ・・・」
囁くようにそうつぶやくと蘭世の頭が動き出す。
熱に浮かされたように顔を赤くしながら蘭世の頭を軽く促し続ける俊とその初めての行為に没頭する蘭世。
俊は先端から半ばまでを蘭世の唇に包まれているのを感じ、その下に手を添える。
それを見て蘭世の細い指先がその手に代わろうと伸ばされる。
「・・・くぅっ!・・・・」
唇と指先で愛撫される感覚は初めてだった。
ぶるんと震えるように大きさをさらに増すと一気に蘭世の口内で俊は爆発した・・・・
「・・!!!!」
蘭世はどうしたらよいかわからないまま、身動きが取れなくなった。
喉奥に叩きつけるようなその飛沫。
俊は蘭世の方を見れないまま。
「・・・ごめん、気持ちわりぃだろ、立てるなら吐き出してこい。」
そうつぶやく。
「・・・・・・・」
一瞬の逡巡ののち、蘭世はそのまま飲み下したー
「!!おい・・・」
「・・・・だって・・・・・」
「・・・・・」
「・・しゅ・・・・ん・・・・・の・・・だもん・・・」
それだけをようやく言った。
それを見た俊は蘭世を抱き上げテーブルの上のグラスを持ち上げた。
「ほら・・・飲めよ。」
「ん・・・・」
コクンと小さく喉を鳴らしてグラス半分くらいの水を飲み干す。
「・・・あつぃ・・・」
「・・・そりゃ・・・・・」
こてっと俊の胸に頭を寄せる。
「気持ちいい・・・・」
エアコンに冷えた俊の上半身は少し低め。
「・・・んん・・・・・」
ぐるぐると甘えるようにその胸によりかかるとそのまま蘭世は寝息を立て始めた。
「・・・・・・・」
「・・まったく・・・・・」
くてんとまるで電池切れのようなその眠り方に俊は思わず苦笑い。
そっと蘭世を抱き上げると寝室へと連れて行く。
ベッドに横たえようとするとくいっと服が引っ張られる感触でよく見ると蘭世の手が俊のシャツをしっかりと握りしめている。
「・・・まぁ、いいか。」
とそのまま一緒にベッドに横たわるとそっと腕の中に抱きいれる。
・・・・誕生日プレゼントは俺がもらったような気分だなぁ・・・
コトが終わった気怠さから俊もゆるゆると眠りに落ちていった。
腕の中のぬくもりに安心しながら・・・・
―朝。
「おはよう、俊。」
「ああ、おはよう。」
「ねぇ、昨日はいつの間に寝室に?」
「あ〜、えとどこまで覚えてる?」
「んとね、お酒がおいしかった♪」
「・・・・そこまでかよ。」
「え?え?私何かしたの?」
「いんや、別に。酔っぱらって大トラになって暴れる前に眠ったからな、あんまり強くねぇんだろ。」
「でもおいしかった〜〜あれ、また買ってきてね。」
「そうだな。でも次からは寝るのは部屋で寝てくれ。運ぶの重い。」
「ひどっ!!!・・・ってことは片付け何にもしてないってことね、大変大変。」
そういって起き上がろうとしてふらつく蘭世。
「へ?あ?う〜〜〜〜〜ええ???」
「どうした?」
「・・・・頭がガンガンする・・・重い・・・・」
「・・・・・・そりゃあんだけ飲みゃぁ・・・」
「ううう〜〜〜誕生日なのにぃ・・・〜〜〜!あ、おめでとうは?」
「・・・・・・そこも覚えてねぇのかよ。」
「ええええええええ!!!!!・・・いたたたた・・」
「寝とけ、どうせ朝飯食えないだろ。ひと眠りしたらどっか食いに行こうぜ。誕生日だしな。」
「うううう〜〜〜〜〜〜〜〜」
「まぁおめでとうな。」
「・・あ・・・ありがとう・・・」
「水かスポーツドリンク持ってきてやっから、そのままでいろ。」
「うん・・・」
俊はキッチンに行くとグラスと飲み物を準備する。
そして改めて昨夜の酒の瓶を見る。
・・・・・度数たけぇ・・・
さもありなんと一人頷くとこっそりともう一本調達しておこうと心に決めたのでありました。
・・・・・・案の定覚えてやがりやしねぇ・・・ま、いいけどな。
これから人生まだまだ長いし、そう思った蘭世○○歳の誕生日の朝でありました。
おわり
ー後日談。
「a○a○」が1冊。
リビングのマガジンラックにありました。
それは年に1回の特集号。
あるとき俊がそれを見つけて蘭世の行為に納得がいったのはまた別の話。
少しだけ悶々とどこで覚えたのか気になっていたのはお約束だったりします。 |