Nine nights of the elven slave Vol.1

ダリューテは丈の高い女だった。

上エルフの女の中でも抜きんでて高かった。

夫である森の王と並ぶほどだった。

しばしば高すぎる背が男を気圧すのは知っていた。

戦場においては有利に働くが、臥所においてはどうだったか。

今となって埒もない考えを弄ぶ意味もない。

奴隷に堕ち、闇の地で野蛮な人間の雄に傅(かしず)く身では。

目の前にいるのは七尺を超える巨躯。不気味な黒の兜をつけるほかは素裸だが、びっしりと肌に刺青を帯びている。

獣じみた双眸から燃えるの眼差しを受けるだけで、光の騎士としての矜持も崩れそうになる。

「尖り耳」

男は見事な発音で無礼な呼び名を口にしてくる。

古き言葉。もはや妖精の中でも西の果ての地で過ごした民だけが話す言葉を、敵の会話として盗み聞いて覚え、巧みに侮蔑の意を織りなしてみせる。

「害獣め」

答える声が震えていないかもはや確かめるゆとりもない。

怪物の逞しい腕が伸びて乙女の引き締まった腰を巻き取る。

「接吻の許しを寄越せ」

「…やらぬ」

すると向こうは止まる。殺し合いの場ではあれほど狡猾に振る舞うくせに、こと房事の前となるとまるで融通が利かない。

「…私は奴隷。お前は主人。好きにしろ」

返事がわりに噛みつくような口づけがある。舌を絡ませ、唾液を啜り合う。ただそれだけで軽く達してしまう。

小刻みに震える雌の肩を雄がそっと抱いて支える。

「…んっ…んっ…」

「我が妹(いも)よ。汝(な)が瞳は暁星(あけのほし)に似て、汝(な)が唇は赤き火萌花の如し」

古い雅歌。上エルフのしきたり通り。とある妖精のもののふが護符がわりとして帯びていた恋艶物語の本を奪い取り、盗み読んで覚えたのだ。

あまりにも時代遅れだった。今や遠き日に執り行なった森の婚姻でさえ省かれた。口うるさい古老であれば、結びつきに疑問を呈したろうが、戦時のこと故、妃騎士は気にもとめなかったものだ。

ところが虜囚となってから、おぞましい看守が一つ一つ手順を踏んでこようとは。

「火萌花など見も知らぬくせに」

「返し歌を」

「おのれ…」

逆らえない。奴隷は主人に。しぶしぶと一首詠んでから、順繰りに九つの誓いを果たし、星々のもとに永久の愛を約す。

繰り返し。繰り返し。最初の一度で十分だというのに、馬鹿の一つ覚えのように夜ごとしきたりを踏む。

いったい同じ男と何度婚姻を果たせばよいのか。偽りの婚姻を。

焦れていると愛撫が始まる。指先から順に二の腕へ。肩。うなじ。頬。瞼。額。唇がそっと触れてゆく。

「…ぁっ…やっ…」

股のあいだから滴る蜜を止められない。狙い澄ませたかの如く怪物は乙女の耳を噛む。エルフ同士なら決してありえぬ不作法。しきたりに反している。いや反していない。そもそも想定の外だ。

「ひきぃっ♪」

「貴様はこれが好きだな尖り耳」

「そんにゃ…はじゅにゃかろ…ぉほぉっ♪!?」

「正直に吐け」

全身のうちでも特に敏感な先端を、繰り返し歯のあいだで挟んでやわやわと刺激してくる。

たまらなく快いが、求められている答えを述べねば真の褒美は得られない。

「しゅきぃ、しゅきぃ♪こりぇっ!しゅきにゃのぉっ♪」

「ああ…俺も…良い噛み心地だぞダリューテ」

「!!?…ひきょうものぉ!!ぉ!!」

本名(もとな)で呼ぶのは卑怯だ。

「くれてやる。望みのものを」

「だれがぁ…ぁっ♪♪」

待ちに待った奴隷の大好物を主人は挿し入れてくる。

馬鹿馬鹿しいほど太く長い剛直。初めに間近で目にした際は身が裂けるかと思った。

だが雄は、もう三月ものあいだ決して焦らずに雌の子産みの穴を指で慣らし、辛抱強く広げ、痛まぬよう気を使いながら己の種付けの竿に合わせて均してあった。

「ひっ…あひっ♪…」

弾む呼吸に合わせ、高鳴る鼓動に合わせ、出だしはゆっくりと、次第に早く、巨躯の男は長躯の女の内側を抉り、揺すぶり、掻き混ぜ、退いてはまた突く。もうがむしゃらさはない。しかし激しかった。静かで激しいのだ。凶悪な雁首が粘膜をこすり子宮の口へ触れるか触れぬかでまた下がる。

「ぁっ…ぁっ…もっ…と」

「しがみつけ」

命令に従うとさらに勢いが増す。ダリューテは仇敵の広い背にどうにか腕を回して爪を立て、うめき、獣じみた匂いに噎せながら繰り返し絶頂に昇り詰める。相手はまだ精を放っていないというのに。

「ひっ…ひぁあっ!?あああ!!」

「落ち着け。浅く息をしろ」

「…っ…んっ…図に乗…ひんっ…」

余韻でまた達してしまう。愚かしいとめどのなさ。

いい加減いなし方を覚えねばならないのに。けれど乙女が閨の駈け引きに熟(な)れるより先に、怪物はさらに弱点を弄ぶのが巧みになってゆく。差は開く一方だ。定命のものはかくも速い。不死のものは遅れる。どれだけあがこうと。

「…ひきょうもの…ひきょうものぉっ」

また接吻がある。卑怯にもほどがあった。

「あむ…あむ…」

「我が妹よ。我が愛はそなたのもの。海が干(ひ)て、山が擦り消え、天が落つる日も我が愛は変わらじ」

「ぁっ…ぁっ…」

「ダリューテ。俺の子を産むか」

「ぁっ…」

何を問うのか。ほかに伴侶のいる女に。すでに年長けた娘のいる母に。卑怯な看守が、逃れる術を持たぬ捕虜に。

「うむぅっ♪…たくしゃんうむぅっ♪…きばのぶぞくがふたたびちにみちるまでぇ…」

「ああ、産ませてやる。ずっと…ずっとな」

仇敵はようやくダリューテの内に欲望を注ぐ。

「んぅぅっ♪」

奴隷は腕の位置を変え、主人の首に巻きつける。どうせ一度出しただけでは終わらない。抜きもしないでまた始まる。

「いっぱい…いっぱぃぃ♪」

口づけをかわして、手で背をなぞって、尻を軽く掴んで、厚い胸板でたわわな乳房を圧し潰して。

「愛している。ダリューテ」

「かりものの…言葉は…もう…よっ…んっ」

「俺のものだ尖り耳」

「っ…♪♪」

夜が明けるまでまぐわいは続く。日が昇ったところで地下の牢にはかかわりないが。

まあたらしい毛皮のしとねを汚し放題汚す。新しいのはねだらずともすぐ届く。

やっと倦んだら、草木を調えたばかりの緑の谷へ。雄は雌を抱いて運ぶ。沐浴のためと決めておいた冷たく澄んだ泉で、隅々まで怪物は乙女を洗う。繊細な指使い。盗み取った貴重な財宝を手入れする匪賊のよう。

だがむくつけき巨躯は素直にできている。獲物を磨いているうち、すぐまた屹立に強さを取り戻す。

「またしたいのか害獣…つくづくあさましいやつ」

「許しを寄越せ」

「…好きにせよ」

また交わる。優しくそっと。ダリューテは仇敵に貫かれたまま太い腕にすっぽりと収まり、とろとろと微睡に滑り落ちてゆく。つながったまま眠りに落ちるのは好きだった。

「ダリューテ…揺り籠の編み方が解るか…」

「解らぬ…」

「ふん」

胎の内に温もりを覚える。きっと孕んだ。浅ましい不義の子を。たとえようもない幸せ。

背筋を駆け抜ける恍惚。森の王との数少ない、味けないめおとづとめでは決して陥らなかったろう堕落を満喫する。

支配される喜び、所有される喜び、拘束される喜び、愛される喜び。

「バンダ…」

憎むべき男。誰よりも。

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