『ひでぼんの書』

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第1部第12話

「まァ、それはステキですネ」
「わんわん!」
 “つぁとぅぐあ”さんが泳ぎに誘ってくれた事を話すと、“しょごす”さんと“てぃんだろす”は、糸目を綻ばせ、尻尾を振って喜んでくれた。
「……どこで……泳ぐのだ少年……」
 で、例によってなぜかいる“いたくぁ”さんも、同行する気満々らしい。まぁいいけど。
「“サイクラノーシュ”……って“つぁとぅぐあ”さんは言ってたけど」
 僕がそう伝えると、“しょごす”さんはちょっと小首を傾げた。
「それハ……ちょっと困りましたネ」
「なにが? あ、外国だからパスポートが必要とか?」
「いエ、普通の水着では泳げないと思うのでス。サイクラノーシュの海ハ」
 ん? そこは外国だからお堅い風習なのかな?
「まァ、全裸で泳げば問題ありませんガ……」
「いえいえ、そりゃ問題ですよ」
「それなラ、私が作りましょうネ」
「……水着、作れるんですか?」
「製作データはインプットされていまス」
 うーん、流石は“しょごす”さん。もはやメイドさんの技能とは何の関係も無い気もするけど、凄いなぁ。
「材料は本社の“南極星型通販部”に申し込めバ、半日で届くと思いますかラ……まずハ、皆さんのプロポーションデータを測定しなければなりませんネ」
 そう言って、“しょごす”さんは何処からともなくメジャーを取り出して見せた。
 その後、僕達はお互いの身長、股下、3サイズを測り合った。無論、服の上からだけど、女性の3サイズを測り合う姿というのは、見てて何だかこそばゆい。で、その結果はこうだ。

 “いたくぁ”さん 身長158cm、B72、W53、H81
 “てぃんだろす” 身長129cm、B63、W44、H65
 “しょごす”さん 身長175cm、B96、W62、H92

 僕のサイズは公表しても誰も喜ばないから省略しよう。一応、身長183cmと結構背が高い方だけど、それ以外は中肉中背の典型的日本人体型だ。
「……アソコのサイズは……神々をよがらせるくらい……日本人離れしてるくせに……」
 ……“いたくぁ”さん、その突っ込みはちょっとアレです。
 あ、そういえば忘れそうだったけど――
「“つぁとぅぐあ”さんの水着はどうするのかな」
 あの御方、普段から全裸なので水着を着るの嫌がりそうだけど、さすがに外国のビーチを全裸で泳がせるわけにもいかないしなあ……
「わん、あぉぅん」
「え? 本人に直接聞けばいいって?」
 “てぃんだろす”の意見はもっともだ。僕達はぞろぞろ連れ添って、押入れ奥の暗黒世界に突入した――

「え〜、水着着なければダメですかぁ」
「ダメです」
「そうですかぁ……服を着るなんて何十億年ぶりかなぁ」
 案の定、水着を着て欲しい事を伝えると、“つぁとぅぐあ”さんはいつもの『にへら〜』とした微笑みに、ほんの少しだけ困ったようなニュアンスを含ませた。その女帝のように威厳のある姿を見ると、一も二もなく前言撤回しそうになるけど、同時にその温厚でのんびりとした眠そうな雰囲気を感じると、少し強引に押せば話が通せるような気もする。相変わらず、不思議な二面性を持った御方なんだ。
「それでハ、計測させてもらいまス」
 “つぁとぅぐあ”さんの返事をはっきり聞くまでもなく、“しょごす”さんはいそいそとメジャーで“つぁとぅぐあ”さんの身体を測り始めた。
「身長ハ……225cmですネ」
 足をにょろにょろと伸ばして、“しょごす”さんはまず身長を測った。さすがは“つぁとぅぐあ”さん。身長183cmの僕が肩にも届かないだけあるなぁ。彼女になんとなく母性を感じるのは、その視線が幼い子供の時に母親を見上げるのと同じだからだろう。僕は母親を知らないから推測だけど。
「ヒップ……132cmでス」
 ……スゲェ。あのむちむちとした、いやらしすぎるお尻には、やっぱり相応の大きさがあったんだ。
「ウエストいきまス……84cm」
 数値的にはかなり大きく思えるけど、身長を考えるとむしろ細いかもしれない。全体的に女性的で柔らかそうな体型なのに、全く太っているように見えないのは、そんな要素もあるからだろう。
「バスト……よいしョ」
 あの反則的な爆乳を測るのは、さすがの“しょごす”さんも大変そうだ。メジャーが“つぁとぅぐあ”さんの乳房に食い込む様子を見て、僕は思わず生唾を飲み込んだ。

「……147cm」
 ……ゆにばぁぁぁす!!!
 恐るべき“つぁとぅぐあ”さんの爆乳!! 形容じゃなくて神の乳です!! もう一生貴方についてきます!!
「わ、わぉん」
 はっ!?
 “てぃんだろす”の心配そうな声に我に帰り、僕は慌ててよだれをぬぐった。
「……不公平……だでぃ〜……だ、だ、だ、だでぃ〜……」
 “いたくぁ”さんは自分の平坦な胸を押さえて、顔色ひとつ変えずにわけのわからない溜息を吐いている。
「うぅ〜ん……少し痩せたみたいですねぇ」
 とんでもない事を言う“つぁとぅぐあ”さんを尻目に、
「でハ、材料が届き次第、水着製作を開始しまス。明日までには完成すると思いますのデ、楽しみにして下さイ」
 “しょごす”さんは糸目に力強い決意を宿して、意気揚揚と僕の部屋に帰って行った。
「あのぉ〜……なぜ水着を作るのに身長とか測定する必要があるのでしょうねぇ」
 そういえば、そうだった……

 で、翌日――
「みんな、忘れ物は無いよね」
「わん、わんわん!!」
「はイ、水着もお弁当もシートもビーチパラソルも浮き輪も、その他水遊び道具も全て準備完了しておりまス」
「……すたんばいれでぃー……ぐっどらっく……」
 僕達は海のバカンスを楽しむ為の準備を終えて、“つぁとぅぐあ”さんの元に集合していた。水着のお披露目は現地に着いてからのお楽しみだという。楽しみだなぁ。
「それではぁ……出発しましょうねぇ」
 “つぁとぅぐあ”さんが例の金属板を持ち上げると、支えも無いのにそれはぴたりと空中で固定化してしまった。そして、彼女が金属板の表面をどこか艶かしい仕草で撫でると、まるで金属板と一体化するかのように、“つぁとぅぐあ”さんは消えてしまったんだ。
「つ、“つぁとぅぐあ”さん!?」
「でハ、御先ニ」
 動揺する僕を尻目に、残る3人の『邪神』の皆さんは、何事も無かったかのようにごく平然と金属板に触れて、同じように消えてしまった。
 取り残された僕は、周囲の闇に背中を押されるように、ほとんど反射的に金属板に触れた。
 一瞬、世界が粉々に砕け散るような感覚に襲われて――
 次の瞬間、周囲の光景は一変していた。
 ここは、あの馴染み深い暗黒世界ン・カイじゃない。
 巨大なリングが睥睨する天空は、黒ずんだ緑色に染まっているし、周囲の岩肌もやたら金属質に輝いている。周囲には鳥や動物どころか、草木一本すら生えてなかった。生物の気配は何も無い。
 そして、何より僕を驚かせたのは、岩肌の表面からちょろちょろと流れる小川――
――それは、金、銀、鉄、銅、コバルト、真鍮、虹色の宝石――
様々な金属が液体のようにどろどろに溶けて流れ落ち、視界の半分を埋める広大な海――そう、液体金属の海に注ぎ込まれているんだ。

 僕は唖然を通り越して呆然とした。当然だろう。こんな異常な光景を目の当たりにして、平常を保っている人間の方が逆に狂っているに違いない。ここは外国じゃない――っていうか、地球ですらないと思う。
「……つ、“つぁとぅぐあ”さん……」
「何ですかぁ?」
 いつのまにか傍にいた“つぁとぅぐあ”さんに、僕は魂が抜けたような声で尋ねた。
「こ、こ、ここは何処ですか?」
「“サイクラノーシュ”ですねぇ」
「は?」
 つまり……ここがホントに目的地なんですか?
「ひでぼんさん達人間の言葉で言うとぉ……ええとぉ、土星ですねぇ」
 さらりと天文学上の常識を覆す発言をしてくれた“つぁとぅぐあ”さんの視線の先――僕達のいる岩場から液体金属の海の方に降りた先には、
「わんわんわん!」
「御主人様ー、“つぁとぅぐあ”様ー、早く目的地に移動しましょオー」
「……はよ来い……」
 “いたくぁ”さんに“てぃんだろす”、“しょごす”さんが手を振って僕達を呼んでいるらしい姿があった。
 この状況に平然としているなんて、やっぱり人外の存在は凄いなぁ……
……っていうか、すでに人間の範疇から逸脱している気もするけど。
「あの海にはぁ、ボクの叔父さんが住んでいるのですよぉ……お願いして泳がせてもらいましょうねぇ」
 そっと僕の手を握る“つぁとぅぐあ”さんに導かれて、僕は半ば引きずられるように岩山を降りた。
 “つぁとぅぐあ”さんの叔父さんか……どんな人――じゃない、神様なのかなぁ。

 波打ち際まで来た僕を、延々と水平線が続く液体金属の海が迎えてくれた。銀色の波が洗う砂浜の砂も、様々な金属と宝石の粉末だ。
「ここにビーチパラソルを立てましょウ」
「わんわん」
「……まずは……一服……」
 早くも準備を始めている3人の元に向かおうとして――
――僕は“つぁとぅぐあ”さんが砂浜の奥、入り江の方に進んで行くのを見た。何処に行くのかな?
 特に深く考えずに後を追うと、岩場に隠れてた入り江に辿り着いた。
「!?」
 でも、その入り江はただの入り江じゃなかったんだ。入り江の中心から膨大な量の銀色の糸が、水面を覆うように放射状に広がって、入り江を覆い隠している。まるでそこだけ銀色の草原に転じたように……
『何奴か?』
 突然、腹に響くような声が入り江全体に轟いて、僕は思わず傍の“つぁとぅぐあ”さんの腕にしがみついてしまった。ハスキーな女性の声だけど、何者も睥睨する威厳に満ちた恐ろしい声なんだ。気の弱い者ならショック死しても不思議じゃない。
「叔父上〜ボクですよぉ」
 でも、そんな事態を全然気にする様子も無く、“つぁとぅぐあ”さんが脳天気に片手を振ると……刹那、銀の糸が渦潮のようにぐるぐると回り出した。やがて、渦の中心が徐々に盛り上がり、そして――

「――え!?」
 僕の驚愕も無理は無いだろう。銀の糸をばっと翻して、世にも美しい女性の肢体が誕生したのだから。あの入り江を埋め尽くした膨大な銀の糸は、全て彼女の髪の毛だったんだ。
「…………」
 つまらなそうに僕達を見下ろすその女性は、戦慄するくらい美しかった。そのまま呆然と見惚れ続けて、飢餓で果てる者がいても不思議じゃない。その非の打ち所の無い完璧過ぎる美貌は、“つぁとぅぐあ”さんに匹敵するだろう――というより、彼女は“つぁとぅぐあ”さんにとてもよく似ていた。その膨大な髪、2mを軽く超える身長、眠そうな垂れ目、反則的な爆乳、一糸纏わぬ全裸の姿、そして魔王のような美しさ。
 もちろん細部は違う。“つぁとぅぐあ”さんの髪は癖のある焦げ茶色だけど、彼女はさらさらの銀髪だ。肌は対照的に褐色だし、見た目の年齢と身長と――恐るべき事に――おっぱいのサイズも“つぁとぅぐあ”さんを上回っている。そして、その垂れ目が似合う美貌には、“つぁとぅぐあ”さんのトレードマークである『おっとりとした温厚さ』は欠片も無かった。クールでドライな……なんというか、くわえ煙草が似合いそうな美女なんだ。
「……“つぁとぅぐあ”さん」
 僕は目の前の美女から目を離さずに、隣の“つぁとぅぐあ”さんに話しかけた。あまりに凄まじい美しさに、文字通り目を奪われていたんだ。

「ん〜、なんですかぁ?」
「あの方が……“つぁとぅぐあ”さんの叔父さんですか?」
「はぁい……ご紹介しますねぇ、ボクの叔父さんの“ふじうる……“ふじうるく……ええとぉ」
「“ふじうるくぉいぐむんずはー”……だ」
 恐るべき美女――“ふじうるくぉいぐむんずはー”さんは、呆れたように自ら名乗ってくれた。
「まだ私の名前を覚えていないのか」
「えへへぇ……叔父上の名前ってぇ、ボク達旧支配者の中でも1、2を争う難しさですからねぇ」
 ごまかすように『にへら〜』と笑って頭を掻く“つぁとぅぐあ”さん。
「……“つぁとぅぐあ”さん」
「ん〜、なんですかぁ?」
「あの方は……叔父さんじゃなくて叔母さんなのでは?」
「ん〜?」
 “つぁとぅぐあ”さんは一瞬きょとんとしたけど、やがておっとりと頷いた。
「そういえばぁ……人間は性別という概念があるのでしたねぇ」
 彼女の簡単な解説によると、“つぁとぅぐあ”さんみたいな『旧支配者』の皆さんは、便宜上『父』とか『母』とか性別があるような表現をする場合があるけど、それは人間の考える性別の観念とは全く異なるらしい。それじゃどうやって子供を作るのだろう……という僕の疑問も、人間の枠にはまった狭い考えなんだろう。
「……で、何しに来たのだ?」
 “ふじうるくぉいぐむんずはー”さんは、腕組みして僕達をじろりと睨んだ。
「久しぶりに叔父上のぉ――」
「“つぁとぅぐあ”さん、すいませんが、その叔父上っていうの止めてもらえませんか? 何か違和感が」
「そうですかぁ?……じゃあ改めましてぇ、久しぶりに叔母上の海で泳ぎたいと思いましてぇ……」
「…………」
 無言で僕達を睥睨する“ふじうるくぉいぐむんずはー”さん。言葉は無くてもその全身から『帰れ!』という無言の意思が伝わってくる。その迫力はまさに『神』の名に相応しいものだった。もしすぐ傍に“つぁとぅぐあ”さんがいなかったら、僕は何の躊躇いもなくこの場から逃げ出していただろう。
 ところが――

「好きにするがいい」
 思いもよらない返事を残して、“ふじうるくぉいぐむんずはー”さんは再び液体金属の海に消えてしまった。うーん、見た目より良い人なのかな。美人だし。
「それではぁ……さっそく泳ぎましょうかねぇ」
「その前に、水着に着替えないとダメです」
「え〜、やっぱりダメですかぁ……」
 この海の主に許可を得た僕達は、着替えるために“しょごす”さんが立ててくれたビーチパラソルの元に向かった。

「……ホントに、この水着を着なきゃいけないのかなぁ」
 ついさっき“つぁとぅぐあ”さんに言った台詞も忘れて、僕は“しょごす”さんから手渡された水着に困惑していた。
 ちなみに、僕は皆から1人離れて岩場の影にいる。さすがに女性陣と一緒に水着に着替えるわけにはいかないし……今更という気もするけど。
 “しょごす”さんから渡された水着――それは、まるで囚人服みたいな赤と白のストライプで、頭と肘から先、膝から先だけが露出した全身水着だった。これじゃ100年ぐらい前のアメリカ人の水着だよ。トホホ……結局着たけど。
「御主人様、御似合いですヨ」
 その感想にちょっと複雑な気分になりながら、“しょごす”さんの声に振り向くと――

「おおっ」
 自然に感嘆の声が漏れてしまった。
 岩場の上から僕に糸目で微笑んでいるのは、ワイルドな爬虫類柄の競泳水着みたいなワンピを着た“しょごす”さんだった。ハイレグTバックからすらりと伸びた太ももが目にまぶしい。髪も普段の三つ編みからポニテ状にアップしているし、いつもは清楚なメイド服姿なので、そのギャップが面白かった。このまま水着コンテストに出場すれば、全ての優勝を総舐めできるだろう。
「似合ってますよ。御世辞抜きで。うん眼福眼福」
「ありがとうございまス」
 と、そこで“しょごす”さんの背後でもじもじしている影に気付いた。
「ほラ、御主人様に見ていただきましょウ」
「くぅん……」
 彼女に促されて出てきたのは、予想通り“てぃんだろす”だったんだけど……
「……あう」
 僕はマヌケにぽかんと口を開けた。
 真っ赤な顔を恥ずかしそうに逸らしている“てぃんだろす”は、なんと純白のスクール水着を着ていたんだ。それも股間の部分がポケット状になっている旧式だ。小学生ぐらいのボーイッシュな美少女にしか見えない“てぃんだろす”には、実際よく似合っているんだけど……問題は、この子がいわゆる『ふたなり』という点だった。
「……きゅぅん」
 そう、その股間にははっきりと小さな可愛いペニスの形が浮き上がっていた。これは男女を問わずにムチャクチャ恥ずかしいだろう。“てぃんだろす”にとって、この格好は何もしなくても羞恥プレイだ。
「……いや、可愛いよ。ホント」
 気を取り直して“てぃんだろす”の髪をくしゃくしゃにかき混ぜると、“てぃんだろす”は安心したようにほんの少し尻尾を振って見せた。

「……それで……なぜオイラが……こげな水着……?」
 予想通り、次に顔を見せて来た“いたくぁ”さんは――
「はぁ?」
 さっきの2人とは違う意味で、僕は素っ頓狂な声を漏らした。
 相変わらず無表情な彼女は、なんと股間をほんの少しだけ覆った布切れから、二股に伸びたヒモにも満たない細さの布が、乳首の先端をひっかけて、首の後ろで一本に繋がり、お尻の割れ目に消えていく……という、いわゆる『Vの字ヒモ水着』だったのである。しかも赤のエナメル。普段は露出度なんて皆無な着物姿だし、スレンダーでスマートなプロポーションなので、そのギャップが何とも言えない背徳美を醸し出していた。
「……恥ずかしいから……あまり露骨に見ないように……くろーずゆああいず……くろーずゆあへっづ……」
 顔色1つ変えずに言われても説得力は無いけど、この格好は本当に露骨な羞恥プレイだ。実際、動くたびに乳輪やら淫肉やらがちらちら見えてるし。ヘアが薄くて良かったですね。
「えーと……経済的な格好ですね」
「……それ……誉めてない……」
「実際に経済的でしタ」
「……まさか……余った布で……作ったとか……?」
「まさカ、そんな事はありませんヨ」
「……なぜ……目を逸らすか……」
「わぉん」
「でハ、ビーチに戻りましょウ。もう“つぁとぅぐあ”様も着替え終わっていますヨ」
 明らかに話を誤魔化すように、“しょごす”さんはビーチパラソルの方へ早足で向かった。
 ――そして、ビーチパラソルの下で、僕達を迎えてくれたのは……

「あらぁ……ひでぼんさん、よく似合ってますよぉ」
 シートの上に、その極上のボディを横にした“つぁとぅぐあ”さんの艶姿だった……
……それも黒いビキニの!!!
「ぶはっ!」
 僕は一昔前のマンガみたいに鼻血を噴出した。慌てて介抱してくれる“しょごす”さんと“てぃんだろす”を無視して、僕はその極上の肢体を鑑賞していた。
 水着自体はごくシンプルな普通の黒いビキニなんだけど、なにせ着ているのがあの“つぁとぅぐあ”さんだ。その反則的な爆乳とムチムチのお尻に水着が食い込んで、あまりにいやらしく形を変えていた。何と言うか……あまりにエロい。エロ過ぎる。普段は全裸なのに、それよりエッチに見えるのはなぜだろう?
「……“つぁとぅぐあ”……ヘアが見えてる……」
 うおおおお!? “いたくぁ”さんの言う通り、股のバタフライ部分が小さ過ぎて、柔らかそうな“つぁとぅぐあ”さんの陰毛が露骨に顔を覗かせている!!
「ん〜……処理してませんからねぇ」
 あああっ“つぁとぅぐあ”さん、そこで股を開いてヘアを弄らないでください!! お尻の割れ目と股間に水着が食い込んでます!! それに腕を動かすたびに乳房が揺れて潰れて水着がずれて……ああっ!!
「御主人様」
「あぉん」
 “しょごす”さんと“てぃんだろす”の咳払いに、ようやく僕は正気に帰った。2人はどこかジト目で僕を睨んでいるように見える。
「さ、さ、さてと!! そろそろ泳ごうか!!」
 慌てて僕はラジオ体操第1第2を合計30秒で終わらせた。そのまま一気に波打ち際に駆け寄って、海に飛び込もうと――
「え〜とぉ……ひでぼんさぁん、液体金属の海は人間が入ると即死しちゃいますよぉ」
 ……それじゃ、何の為に僕はここに来たんだー!?

「わん、きゃん!」
「あははハ!」
「んん〜、冷たいですねぇ」
 浅瀬で光沢のある海水をかけあって、きゃーきゃー歓声を上げている“てぃんだろす”と“しょごす”さん。その隣でぷかぷかその肢体を浮かべているのは“つぁとぅぐあ”さんだ。僕はそんな彼女達をビーチパラソルの下で眺めていた。
 まぁ、結局泳げなかったけど、こうして美女と美少女達の水着姿を鑑賞できるんだし、良しとしようかな。
「……苦い……」
 で、僕の隣のビーチパラソルの下では、相変わらず無表情のまま、湯呑でコーヒーをすする“いたくぁ”さんの姿があった。せっかく例の変態系ヒモ水着を着ているのに、その上に白い浴衣を羽織ってしまっている。この人も何しに来たんだろう?
 なんとなく手持ち無沙汰になった僕は、荷物入れから日焼けオイルを取り出した。泳げないなら、せめて甲羅干しでもしようかと思ったんだけど……
「……その格好で……焼くの……?」
 ……確かに、僕の着ている全身水着じゃ意味が無いじゃないか。
「えーと……塗ってあげましょうか?」
 誤魔化すために咄嗟に出た言葉だけど、
「……変な所触るから……やだ……」
 きっぱり断られてしまった。とほほ。
「じゃぁ、ボクに塗ってくれませんかぁ?」
 突然、のんびりとした優しい声がかけられた。振り向くと、すぐ隣に“つぁとぅぐあ”さんの反則バディがごろりとうつ伏せになっているじゃないか。いつのまに海から上がったんだろう?

「は、はい。ぜひ塗らせてください」
「お願いしますねぇ」
 僕はごくりと喉を鳴らしながら、“つぁとぅぐあ”さんのビキニの紐を解いて、背中にトロトロの日焼けオイルを垂らした。薄く浮き出た肩甲骨から柔らかな背中のラインに沿ってオイルが流れ落ち、お尻に垂れたオイルが割れ目に消えていく。そのあまりの艶かしさに、僕は食いつくように背中に手を這わせた。普段は光の差さない暗黒世界にいるためか、“つぁとぅぐあ”さんの肌はとても白く柔らかで、すべすべもちもちだ。その美肌にマッサージするようにオイルを塗り込めると、自分から僕の手に肌が吸い付いてくる。本当にいやらしい肌だ。
「んんん……」
 “つぁとぅぐあ”さんが気持ち良さそうに声を漏らした。
 僕は背中から腰にかけて念入りにマッサージして、次に脇腹から徐々に腋の下に手を進めた。“つぁとぅぐあ”さんの超ド級な爆乳は、うつ伏せになっても膨大な乳肉が左右にはみ出てしまう。その脇乳にオイルを注いで、僕は思う存分その指に食い込む淫乳の感触を味わった。
「あぁん……脚の方もお願いできますかぁ」
 言われるまでも無い。僕は彼女の下半身全体にオイルを満遍なく垂らした。足の指からふくらはぎ、ムチムチした太ももまで艶やかなオイルを塗り込めていく。願わくばこのまま永遠にいつまでも触っていたい。本気でそう思えるくらい彼女の肌は気持ちがいい。

「うぅん……ぁん」
 そして、僕はお待ちかねのボリューム満点なお尻に手を這わせた。いや、這わせるというよりむしゃぶりつくと言った方が正確かもしれない。それくらい“つぁとぅぐあ”さんのお尻は豊満でセクシーなんだ。柔らかな尻肉を揉み解しながら左右に広げるたびに、ほとんどお尻の割れ目に消えていたTバック状の黒水着が見え隠れする。それが楽しくて何度も繰り返した後、僕は我慢できずに人差し指と中指を割れ目に沈めてしまった。
「あふぅ……」
 にゅるにゅるとしたオイルを割れ目の奥まで指で掻き回す。秘所の淫肉を水着越しに味わいながら、僕は指の動きを早めて――
「……やっぱり……変な所触ってる……」
 “いたくぁ”さんの氷点下のツッコミに、僕は慌てて指の動きを止めた。
「お、終わりました!!」
「ん〜、ありがとうございますねぇ……気持ち良かったですよぉ」
「ははは……はぁ」
 トロンと眠そうな眼差しで僕に微笑むと、“つぁとぅぐあ”さんはそのまま幸せそうにうたた寝してしまった。
 よかった。どうやら僕の所業は気付かれなかったみたいだ……
……彼女の場合、バレてもそのまま平然としているだろうけど。
「……スケベ……色情狂……変態……えっちすけっちわんたっち……」
 ちょっとやり過ぎたかと自己反省している僕に、“いたくぁ”さんの容赦ない罵声が浴びせられる。
「……じゃあ、次は“いたくぁ”さんに塗ってあげますよ」
「……え?……」

 さすがにちょっとムカついた僕は、素早く“いたくぁ”さんを抱きかかえた。ジタバタと生きの良いマグロみたいに暴れる彼女を押さえつけて、全裸同然の身体にオイルを塗り付ける。
「……やめっ……あ……ふわぁ……あっ……」
 最上の絹みたいにさらさらの肌に、ねとねとなオイルが広がる。背後から抱き締めながら、紐に隠された乳首を押し潰すように掌で撫で回すと、彼女の声に快楽の情が混じり出した。
「……はあっ!……ああ……あああっ!……」
 そして、お尻の肉たぶにたっぷりオイルを塗り付けてこねくりまわすと、“いたくぁ”さんは激しく身体をよじらせた。相変わらずお尻が性感帯らしい。
「あ、手が滑った」
「……んあぁ!!……」
 にゅるん、とほとんど抵抗も無く、指2本がアヌスに根元まで挿入してしまった。そのまま彼女が達するまで指をピストンさせて――
 ごん ごん ばきぐしゃ
「んがっ!?」
「……頭痛が痛い……」
「ん……誰ぇ?」
 突然、僕の頭に衝撃が走った。あまり痛くはないけど、僕を正気に戻すには十分だ。
「……私の縄張りで何をしている」

 ハスキーな威厳のある声に振り向くと、褐色の肌に濃いアンダーヘア、赤真珠のようなクリトリスと、よく熟れた大人の秘所が僕の目の前に……
「どこを見ている……」
 慌てて顔の向きを上方修正する。
 そのボリュームがあり過ぎる超乳を抱えるように腕を組み、仁王立ちして僕達を睨みつける“ふじうるくぉいぐむんずはー”さんの姿があった。
「あぁ……叔母上も肌を焼くのですかぁ?」
 『にへら〜』と笑う“つぁとぅぐあ”さんだけど、頭を“ふじうるくぉいぐむんずはー”さんに踏み付けられて、半ば頭が砂に埋まっている。僕と“いたくぁ”さんは軽く頭を小突かれた程度だけど、彼女は容赦無く踏まれたらしい。相変わらず、なぜか雑に扱われる御方だ……無論、まるで平気そうだけど。
「ここはお前達の盛り場じゃない……あまり破廉恥な事はするな。人間」
「す、すいません……あ、名乗ってませんでしたね。失礼しました」
 僕は“ふじうるくぉいぐむんずはー”さんに一礼した。正直、彼女が怖くて反射的に目を逸らした意味もある。
「僕の名前は赤松 英です。親しい人からはひでぼんと呼ばれています」
「ひでぼん殿か……覚えておこう」
 それきり、彼女は踵を返し、白銀の髪をはためかせながら悠然と去って行った。

 その夜――僕達は岩場にあった手頃な洞窟の中で睡眠を取っていた。今日はこのままここで一泊して、明日の朝帰る予定だ。ちなみに、夜といっても外の光景はほとんど何も変わらない。相変わらず外は黒緑色の空に巨大なリングが浮かんでいる。今が夜なのは時計で地球時間を測って勝手に決めただけだし。
 あの後、僕達はスイカを割ったりバーベキューを楽しみ――
――ほとんど“つぁとぅぐあ”さんに食べられちゃったけど――
――皆遊び疲れてすぐに眠ってしまった。基本的に水着のまま雑魚寝だけど、寒くはないし洞窟の中はかなり広いので狭苦しくもない。僕達は思い思いの場所で眠りについていた……僕以外は。
 情けない話だけど、みんなのセクシーな水着姿でムラムラしていて、とても眠れる状態じゃないんだ。自己処理しようにもこの全身水着じゃトイレも一苦労だし、Hな事をすると、あの“ふじうるくぉいぐむんずはー”叔母さんに怒られるような気がする。ああ、明日まで我慢するしかないのか……
 と、その時、横になっている僕のすぐ背後に誰かが横たわる気配を感じた。最初は寂しくなった“てぃんだろす”が甘えに来たのかなと思ったけど……
 ふにょん
 この背中に僅かに当たった柔らかな感触は、間違い無く乳房――それもとんでもない大きさの爆乳だ。この巨大な魔乳を保持している者は、ただ1人!!
 僕は振り向きざまに彼女の爆乳にしゃぶりついた。洞窟の中は薄暗くてよく見えないけど、正確に彼女の乳首を口に含む事に成功した。
「……?」
 不意打ち攻撃に驚いたらしく、“つぁとぅぐあ”さんの身体が僅かに震える。口の中のコリコリした乳首を舌で弄び、もう片方の乳房を揉みしごく。口一杯に広がる甘い香りと、指の間に食い込む乳肉の感触がたまらなく心地よかった。

「んん……」
 そのまま余った片手で“つぁとぅぐあ”さんのお尻を少し乱暴に握り掴んで、一気に僕の身体に密着させた。お尻の割れ目を指先でくすぐるように愛撫しながら、片足を彼女の股の間に潜り込ませて、秘所を腿で何度も擦り、往復させる。
「んんん……あぁ……」
 今日の“つぁとぅぐあ”さんはずいぶん受身だなぁ……っていうか、少し抵抗しているような?
 でも、乳首を舌で転がし、乳房を揉みほぐして、尻肉に指を沈め、腿を前後して淫肉をこすると、徐々に彼女の抵抗は弱くなり、今では自分から秘所を僕の身体に擦り付けてきた。もう、僕の足は愛液でびしゃびしゃだ。
「じゃあ“つぁとぅぐあ”さん、今から水着を脱ぎますので――」
「……誰が“つぁとぅぐあ”だって?」
 魂を揺さぶるようなハスキーなささやきに、僕は文字通り凍りついた。
 ま、まさか……
「ふ、ふ、ふじ、ふじう……」
「“ふじうるくぉいぐむんずはー”だ……」
「ななななな、なぜこんな所に……」
「ひでぼん殿が寝ている岩棚は、私の寝所だ。お前の存在は無視していたのだが……まさかこうして襲われるとはな」
 感情の感じられない冷たい声に、僕はただ震える事しかできなかった。
「しかし、こうして“男”を味わうのも久しぶりだ」
 でも、“ふじうるくぉいぐむんずはー”さんは優しく僕に微笑んでくれた。
「私の“女”に火をつけたのはひでぼん殿だからな……責任とってもらうぞ」
 そう、ぞっとするほど優しく。
「ここは狭い。場所を変えよう」

 次の瞬間、僕と“ふじうるくぉいぐむんずはー”さんは洞窟の外にいた。いつのまに、どうやって移動したのか、人間の僕にはまるでわからない。全身水着すらいつのまにか脱がされているんだ。それよりも僕にとって重要なのは、仰向けに寝かされた僕のそそり立つ肉棒の上に、“ふじうるくぉいぐむんずはー”さんが腰を降ろそうとしている事だ。感嘆を通り越して戦慄を覚える凄まじい美貌に、“つぁとぅぐあ”さんすら上回るサイズの爆乳。そして愛液のしたたる秘所から匂い立つ淫香に、僕の理性は例によって粉々に粉砕されていた。
「40万年ほど昔にも、お前のような“つぁとぅぐあ”に気に入られている男がいた。私も会ったことがあるぞ」
 もう、僕は彼女の話をほとんど聞いていなかった。ただ、あのしっとりと濡れた陰毛の奥に隠れた膣口に、この爆発しそうなペニスをブチこみたい。砂漠で水を求める遭難者のように、ただそれだけを渇望していた。
「“つぁとぅぐあ”のお気に入り、楽しませてもらおう」
 その瞬間、僕のペニスは彼女の秘所に根元まで挿入されていた。
「――っ!!!」
 股間が爆発したような凄まじい快楽に、僕は“ふじうるくぉいぐむんずはー”さんの巨体を持ち上げる勢いで背中を反らせた。彼女が1cmでも膣肉でペニスを擦るたびに、冗談じゃなくて僕は射精していた。あまりの快感に射精が止まらない。イキっぱなしだ。
「んん……いいぞ…ああっ、あ……はあぁ」
 “ふじうるくぉいぐむんずはー”さんは、そのクールな美貌を快楽の火照りに赤く染めて、激しく腰を動かした。削岩機のようにピストンして、次の瞬間には子宮の奥まで深くゆっくりとペニスを咥えこみ、また腰を激しくローリングさせる。『久しぶり』とはとても思えない超絶テクニックの連続に、僕は目の前でぶるんぶるんと揺れる爆乳を鷲掴みにしながら、快感の嵐に翻弄されていた。
 そして――
「んくぅ……うぁあああああ!!……あぁ……あ……」
 ザーメンを最後の1滴まで搾り取るように膣全体を収縮させながら、全身を震わせて、ついに“ふじうるくぉいぐむんずはー”さんは絶頂を迎えてくれた。

「ふふふ……気に入ったわ。私の“女”が完全に目覚めたみたい」
 妖艶にして淫靡、淫魔の女王のように情欲の陰を美貌に宿しながら、“ふじうるくぉいぐむんずはー”さんはずるりとペニスを抜いた。ほかほかと湯気を立てながら、何十発分ものザーメンが糸を引いて滝のようにしたたり落ちる。それを手ですくい取ると、長い舌で艶かしく舐め取った。
「次はどこで出してやろうか? 口かアナルか? 胸でも手でも足でもいいわよ」
 そんな恐ろしい、そして魅惑的な選択を迫られた――その時、
「あぁん……ボクの取っちゃダメですよぉ」
 馴染み深いおっとりとした声が僕の背後から響いて、次の瞬間後ろから僕のペニスをぎゅっと握られてしまった。
「つ、“つぁとぅぐあ”さん?」
「はぁい」
 慌てて振り向くと、あの“つぁとぅぐあ”さんの至上の美貌が、僕をニコニコと見つめていたんだ。いつもの『にへら〜』ではない、魔王の如き艶然とした笑みを浮かべて。
 そして、あのいやらし過ぎる黒のビキニを着たまま!!
「いただきます!!!」
「きゃぁん」
 念願の黒ビキニに我慢できず、僕は“つぁとぅぐあ”さんを砂の上に押し倒した。そのまま彼女に跨って、黒いビキニで淫猥に形を変えた爆乳の谷間に、勃起したペニスを挿入する。

「うううっ!!」
 その瞬間、僕はまた射精していた。黒ビキニで締め付けられた爆乳は、いつものパイズリ以上の圧迫感を僕のペニスに与えてくれる。聖母のように優しく包み込み、同時に娼婦のように精液を搾り取ろうと蠢く、“つぁとぅぐあ”さんのパイズリは本当に最高だ。どんな麻薬よりも僕の魂を蕩かせてくれる。
「ふふふぅ……いつもより元気ですねぇ。叔母上との交わりで発情しちゃったのですかぁ」
 何十発もの射精で美貌と爆乳を白く染めながら、“つぁとぅぐあ”さんは淫猥に微笑んだ。そのまま僕を砂浜に降ろして、今度は四つん這いでお尻を向けた、いわゆる『雌豹のポーズ』で僕を誘惑する。
 ふりふり揺れる“つぁとぅぐあ”さんのボリューム満点で形も最高なお尻は、黒い水着のバタフライ部分で秘所だけを巧妙に隠されている。僕は夢中でその尻肉を抱き押さえて、黒水着ごとペニスを勢いよく挿入した。
「ふぁあああぁん!」
 彼女が歓喜の雄たけびをあげる。僕は情欲に狂いながら腰を叩きつけようとして――
「……私を無視するとはいい度胸だな」
 笑い混じりの不平を漏らしながら、“ふじうるくぉいぐむんずはー”さんが僕の身体を背後からがっしりと押さえ付けていた。その規格外の超乳が、僕の頭を完全に包み込んでしまう。
「あぁん、今はボクの番ですよぉ」
「いつもお前とやっているのだろう? ここは私に譲るのだ」
「そんなぁ……ズルイですぅ。だから叔母上の名前は誰にも覚えてもらえないんですよぉ」
「関係あるかっ!!……なら、2人で味わえばよかろう」
「それはステキですねぇ」
 “つぁとぅぐあ”さんは妖艶に笑うと、僕達の身体に何かをふりかけた。よく見ると、それはあの日焼け止めオイルだ。オイルで全身ヌルヌルになった僕と“つぁとぅぐあ”さんと“ふじうるくぉいぐむんずはー”さん。これから何をするのかと思えば――

「!!??!?」
「ふふふ……」
「あはぁ……」
 何と、2人の爆乳女神様は、僕を間に挟んだまま、激しくその肢体を擦り合わせてきたんだ。赤く火照った白と褐色の極上ボディがニュルニュルと全身に絡み付き、激しく互いを求め合う。もう、どこにペニスが挿入されているとかどこに手が触れているとか、そういう瑣末なレベルの問題じゃない。全身が余す所無く快楽の奔流に巻き込まれて、まるで身体中がペニスになったみたいだ。気持ちいい。とにかくひたすら気持ちいい。あまりの快楽に発狂して、次の瞬間には快楽のあまりに正気に戻るという、無限の快楽螺旋に僕は陥っていた。
(…………あ……)
 恍惚の意識の中、僕は2人の淫肉の狭間から、“いたくぁ”さんに“てぃんだろす”、“しょごす”さんがそんなに離れていない場所で、僕達の饗宴をじっと見ている事に気付いた。うう、流石にちょっと恥ずかしいかも……

「うわァ……すごいですネ」
「くぅん」
 あまりに淫猥な光景に興奮したのか、“しょごす”さんは無意識のうちに己の胸と股間に手を這わせていた。爬虫類柄の競泳水着は手の動きに反応して乳首を浮き立たせて、秘所をぐっしょりと濡らしていく。
 “てぃんだろす”は、白いスクール水着の股のポケット部分から、勃起したペニスの先端を覗かせていた。先走り汁で濡れたピンク色の先端を、真っ赤な顔で押さえ付けている。
 “いたくぁ”さんだけは、平然とした顔で煎餅をバリバリかじっているのは、さすが旧支配者といった所か……単に何も考えていないだけかもしれないけど。
「きゃぉん!?」
「うふふフ、私達も楽しみましょウ」
 突然、“てぃんだろす”が嬌声混じりの悲鳴を上げた。“しょごす”さんが背後からペニスを握ってきたのだ。そのまま右手でスクール水着の上からペニスをしごき、左手は割れ目をクリトリスごとクチュクチュと愛撫している。
「あん、きゃぁん! あおぉん!!」
 たまらず“てぃんだろす”は射精した。白いスクール水着のお腹に、内側からじんわりと染みが広がる。同時に女の部分も達したらしく、まるでお漏らししたみたいに、水着に浮かんだ割れ目から、愛液がぽたぽた滴り落ちた。
「きゅぅぅん!!」
 しかし、“しょごす”さんのいやらしい手の動きは止まらない。快楽の波状攻撃に耐えられなくなった“てぃんだろす”は、おそらく無意識に目の前のものに抱きついた。

「……え……ちょっと……」
 そう、ヒモ水着を着た“いたくぁ”さんの腰に。
「わぉん……きゅぅん!!」
「……あの……え……あぁ……あっ!……」
 無意識なのか故意なのか、“てぃんだろす”は夢中になって、ヒモ水着の上から“いたくぁ”さんの秘所を舐め回していた。初めは抵抗していた“いたくぁ”さんだけど、ついに“てぃんだろす”の超絶舌技に屈したのか、今は自分から水着をずらして秘所を舐めさせていた。でも……
「……なぜ……気持ちいいのに……イけない……?」
 しばらく躊躇していた“いたくぁ”さんは、やがて観念したのか“てぃんだろす”に背を向けて、お尻を突き出した。そのままプリプリとした尻たぶを自分から左右に広げて、
「……お願い……ここを……」
 丸見えになったアヌスが、ひくひく物欲しげに口を開けた。
「わぅん」
「でハ、私モ」
「……はぁうっ……!!」
 懇願する“いたくぁ”さんのアヌスに、“てぃんだろす”と“しょごす”さんの舌が差し込まれた。まさか2人がかりで責められると思わなかったのか、“いたくぁ”さんはまるで電撃に打たれたみたいに腰を浮かせたけど、
「……ふわぁああ……いい……お尻……お尻が……いいの……ぉおお……!!」
 その激しいアナル責めに、快楽の声を漏らしながら悶え狂った。
 顔を寄せ合う2人の美女と美少女にアナルを舐められる“いたくぁ”さん……もうアヌスじゃないと達しない身体になっているんですね。可哀想に……

 と、いつのまにかアナルを舐める顔が“しょごす”さんだけになっているのに気付いた。“てぃんだろす”はどこにいったのかと思ったら――
「はぁあああア!!」
 “いたくぁ”さんの腰に抱きつくために、必然的に中腰になっていた“しょごす”さんのアソコに、バックからペニスを挿入する“てぃんだろす”の姿があった。どうやら、あの子も我慢できなくなったらしい。
「ふわぁあああア!! いいッ! イイですゥ!!」
 その快楽に狂う雌犬のような“しょごす”さんの姿に、いつもの清楚なメイドさんの面影は無かった。いや、あまりに淫乱なその姿こそが、“しょごす”さんの本性なのかもしれない。
「きゃおおん! あん! ああん!!」
「やぁあああン!! もっト……もっとォ!!」
「……ああぁ……おしりが……焼けちゃうぅ……!!」
 横にずらしたTバックが破れそうな勢いで、“しょごす”さんのピンク色の秘所を責める“てぃんだろす”も、責められる“しょごす”さんも、アナル責めされる“いたくぁ”さんも、全員快楽の饗宴に酔い痴れていた。
 そして――
「あぉおおおおおん!!!」
「ふわぁああああア!!!」
「……きゃふぅぅぅ……!!!」
 同時に達した3人は、互いに抱き合いながら恍惚の表情で沙銀の砂浜に崩れ落ちた……

「何処を見ているのですかぁ?」
「余所見とは余裕だな」
 のんびりクールな2人の女神の声に、僕は意識を自分の置かれた状況に戻した。いや、余所に意識を飛ばしていないと、マジで快楽の渦に僕の精神が壊れそうだったんです。
 でも、僕にはそれ以上の快楽の無限地獄が待っていたんだ。いや、地獄じゃなくて天国か。
 空中に仰向けに浮かんでいる僕の、右側に“つぁとぅぐあ”さんが、左側に“ふじうるくぉいぐむんずはー”さんが、それぞれの爆乳を僕の上に乗せて、左右からペニスを挟み込んでいるじゃないか。また“つぁとぅぐあ”さんが不思議パワーでも使ったのか、僕のペニスは信じられないくらいの長さを太さと固さを維持していた。それでも、あの超絶爆乳相手では大部分が埋もれてしまって、先端のカリが顔を覗かせているだけだ。
「それではいきますねぇ」
「ふふふ、覚悟なさい」
 ま、まさか……
「ッッッッッッッ!!!」
 今までで最大級の快感が、僕の魂を直撃して粉砕した。なんと“つぁとぅぐあ”さんと“ふじうるくぉいぐむんずはー”さんが、左右から同時に僕のペニスをパイズリしてきたんだ。ただでさえ至上の快楽を与えてくれる爆乳パイズリが×2。このWパイズリの気持ちよさは、今までの非ではなかった。

「んふふぅ……うぅん」
「ふふふ……んくぅ」
 オイルでヌルヌルになった爆乳が、あらゆる方向から僕のペニスを陵辱する。お互いの手が色違いの爆乳を揉み解すたびに、勃起した乳首が互いに擦れ合って、2人は快楽の声を漏らしていた。
「あむぅ……美味しいですよぉ……」
「んんん……ちゅぅ……あはぁ」
 あまつさえ、爆乳の狭間から顔を出しているペニスの先端を2人で舐めてくれるのだから……絡み合う美神の舌がクチュクチュ音を立てながらカリを舐め回し、快楽の怒涛が僕のペニスに凝縮されて、そして――!!
「うううううっ!!!」
「きゃぁん……あはっ」
「うふふふ……うふぅ」
 ペニスが爆発した――そう錯覚するくらい大量の射精!!
 まるで噴水のように降り注ぐザーメンが、
“つぁとぅぐあ”さんと“ふじうるくぉいぐむんずはー”さん……2人の淫猥な爆乳女神様の、魔王のように美しい顔と極上の爆乳を、白くねっとりと染め上げた……

「――なるほど、これがお前のお気に入りか」
 十数分後、全身の精気を一滴残らず吸い尽くされた僕は、指一本動かせない状態になって、“ふじうるくぉいぐむんずはー”さんの爆乳に挟まれるように抱きかかえられて、介抱されていた。
「お前がここに来たのは、泳ぎに来たのではなく、私にひでぼん殿を紹介する為なのだろう?」
 まるで猫を可愛がるみたいに、僕の頭を優しく撫でながら、“ふじうるくぉいぐむんずはー”さんは“つぁとぅぐあ”さんに妖しい眼差しを向けた。
「どうでしょうかねぇ……」
 “つぁとぅぐあ”さんは『にへら〜』と笑っている。僕はその美貌をかすれた視線で見つめていた。もう精魂尽き果てた僕はほとんど意識を失っていたんだ。
「なるほど……良い――」
 だから、僕は“ふじうるくぉいぐむんずはー”さんの最後の言葉を、ほとんど聞き取れずにいた……

「……あー、まだ体がだるいなぁ」
 1ヶ月後――ようやく起き上がれるようになった僕は、しばらく中断状態だった仕事の打ち合わせの為に、久しぶりに1人で外出していた。
 “つぁとぅぐあ”さんと、その叔母さんである“ふじうるくぉいぐむんずはー”さんとの交わりは、普段以上に僕は精気を消費していたんだ。僕は20日以上も、ベッドから起き上がる事ができなかった。目に見えない“つぁとぅぐあ”さんの恩恵に、“しょごす”さんと“てぃんだろす”の献身的な介護が無かったら、冗談抜きで死んでいたかもしれない。ちなみに、“いたくぁ”さんは僕を指差して無表情に笑いながら、お茶を飲んでいるだけだった。無論、体が回復した後で『48時間耐久アナル地獄プレイ』を満喫させてあげたけど。
 何はともあれ、僕はようやく平穏な日常を取り戻して――
「……赤松 英さんですね」
 ――取り戻すはずだった。
 振り向いた僕の目の前には、赤いスーツを着た綺麗な女の人がいた。美人なんだけど、どこか冷たい眼差しが、僕に警戒の念を抱かせた。
「えーと、どちら様でし――」
 僕は台詞を最後まで続けられなかった。
 無様に路上に崩れ落ちた僕の意識が闇に落ちる刹那、あの赤いスーツの女性が指に青白い放電をまとわせながら、嘲笑を浮かべるのをはっきりと目撃した。

「……うぅ」
「意識が覚醒したようです」
 激しい手首の痛みで、僕の意識は無理矢理覚醒された。痛いのは当然だ。僕は手首を鎖で縛られて、見知らぬ巨大な倉庫の天井から吊るされているのだから。
「やっと捕らえる事ができたわね」
 そして、僕の視界の先には、何十人、いや何百人もの武装した人達が、僕に怪しげな武器と殺気を向けているんだ。
『世界中の退魔組織が、君の命を狙っている』
 今更ながら、僕はゲルダさんの言葉が脳裏に響いた。
「ツァトゥグア神との『接触者』、赤松 英……人類への裏切りのツケを払う時が来たわよ」
 足元の赤いスーツを着ていた女性――今は巫女さんの格好をしている――の言葉を、僕は半分も聞いていなかった。
 こうして大勢の目の前で吊るされている姿――この生贄のようなみじめな姿に、僕はようやく“ふじうるくぉいぐむんずはー”さんが最後に言った言葉を思い出したんだ。
 今、僕の心をを発狂寸前まで蝕んでいる絶望と恐怖は、目の前の退魔師達ではなく、その言葉だった。

『なるほど……良い生贄になるだろうな』

 続く


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